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あの夜の続きを
⑦
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奏の優しくも容赦のない執拗な攻め立てに、穂乃香の身体は抗うことなく、愉悦の波に翻弄されたゆたい続ける。
大小様々な愉悦の波に翻弄され呑み込まれて、もう何度目かもわからない絶頂へと導かれた。穂乃香は為す術なく力の抜けきった肢体をシーツの波間へと投じた。
「あっ……や、はぁん……!」
呼吸は乱れに乱れ、微かに開いた唇の端からは唾液がだらしなく垂れている。
けれどそんなものに気を配っているような余裕などとっくに奪われてしまっている。奏の眼前で豊かな胸を悩ましげに揺らめかせながら浅い呼吸を繰り返す。
「はぁ……はぁ……」
穂乃香が呼吸を整えていると、ふいに足が大きく押し開かれてしまう。
「穂乃香の身体はどこもかしこも綺麗だが、甘い蜜で潤ったココは格別だな。一滴残らず啜りあげて、食らい尽くしたくなるよ」
奏の言葉を噛み砕いた際には、蜜孔に肉厚な舌が這わされていた。
(……ヤダ。お風呂もまだなのに)
穂乃香は驚きに目を見開き、あられもない声音を放つ。
「――ひゃんッ⁉」
視界には、じゅるっ、ジュルルッ、と窄ませた舌で淫靡な水音をたてつつ蜜を味わっている奏の姿が映し出されている。
「あんっ……やぁ……だ、あっ……はぁん」
とんでもない羞恥に襲われ真っ赤になった穂乃香は、今にも爆ぜてどうにかなってしまいそうだ。だというのに、圧倒的な色香を湛えた奏の端正な相貌に惹きつけられて、どういうわけか目を逸らすことができない。
ならいっそ、このまま高みに押し上げられて意識を手放せればいいのに。
そう思うのに、奏は次々溢れくる愛蜜を啜りあげるだけで、触れて欲しいと思う場所には触れてなどくれない。
まるで穂乃香の意識を繋ぎとめようとでもするかのように。
散々喘がされた上に焦らされているせいで、お預けを食らっている最奥が切ないぐらいに疼いてしまう。
――早く満たして欲しい。
そう催促でもするかのように、蜜口までもがヒクついてどうしようもない。
(――もうヤダ。焦らさないで! 早く満たして)
奏にそう訴えたくとも、いつもの頑固さと微かに残った理性と羞恥とが邪魔をする。絶え間のない快感の緩やかな波の狭間で、欲望とそれを阻む感情とがせめぎ合っている。
そんな最中、奏は形のいい唇に弧を描く。穂乃香が不審に思っていると、意地の悪い声音が放たれた。
「穂乃香、俺に何か言いたいことがあるんじゃないか?」
「……べ、別に」
「そんな物欲しそうな顔をして、強情だな。なら、ずっとこのまま蜜を吸い尽くすまでだが、どうする?」
どうやら奏は、穂乃香の口から、〝奏自身で満たして欲しい〟と言わせたいらしい。
そうとわかっていながら、降参できるはずがない。
ムッとした穂乃香は奏をキッと強い視線で睨みつける。
すると予想に反して、何とも切なげな表情でこちらの様子を窺っている、奏が待ち受けていた。
(――え? どうしたの?)
胸をズキンと鋭い痛みに襲われ困惑していると、奏の切なげな声音が耳に届く。
「あの夜は身代わりでも構わなかったのに。穂乃香が口にしたあの男の名前が頭から離れない。一度でいい。一度でいいから、俺の名前を呼んでくれないか? そうしたら身代わりでも何にでもなってやる」
「ど、どうして、そこまでして……」
驚愕しつつも、そう口走ってしまってから穂乃香はハッとする。
こんなの愚問だ。好きだからに決まっている――
大小様々な愉悦の波に翻弄され呑み込まれて、もう何度目かもわからない絶頂へと導かれた。穂乃香は為す術なく力の抜けきった肢体をシーツの波間へと投じた。
「あっ……や、はぁん……!」
呼吸は乱れに乱れ、微かに開いた唇の端からは唾液がだらしなく垂れている。
けれどそんなものに気を配っているような余裕などとっくに奪われてしまっている。奏の眼前で豊かな胸を悩ましげに揺らめかせながら浅い呼吸を繰り返す。
「はぁ……はぁ……」
穂乃香が呼吸を整えていると、ふいに足が大きく押し開かれてしまう。
「穂乃香の身体はどこもかしこも綺麗だが、甘い蜜で潤ったココは格別だな。一滴残らず啜りあげて、食らい尽くしたくなるよ」
奏の言葉を噛み砕いた際には、蜜孔に肉厚な舌が這わされていた。
(……ヤダ。お風呂もまだなのに)
穂乃香は驚きに目を見開き、あられもない声音を放つ。
「――ひゃんッ⁉」
視界には、じゅるっ、ジュルルッ、と窄ませた舌で淫靡な水音をたてつつ蜜を味わっている奏の姿が映し出されている。
「あんっ……やぁ……だ、あっ……はぁん」
とんでもない羞恥に襲われ真っ赤になった穂乃香は、今にも爆ぜてどうにかなってしまいそうだ。だというのに、圧倒的な色香を湛えた奏の端正な相貌に惹きつけられて、どういうわけか目を逸らすことができない。
ならいっそ、このまま高みに押し上げられて意識を手放せればいいのに。
そう思うのに、奏は次々溢れくる愛蜜を啜りあげるだけで、触れて欲しいと思う場所には触れてなどくれない。
まるで穂乃香の意識を繋ぎとめようとでもするかのように。
散々喘がされた上に焦らされているせいで、お預けを食らっている最奥が切ないぐらいに疼いてしまう。
――早く満たして欲しい。
そう催促でもするかのように、蜜口までもがヒクついてどうしようもない。
(――もうヤダ。焦らさないで! 早く満たして)
奏にそう訴えたくとも、いつもの頑固さと微かに残った理性と羞恥とが邪魔をする。絶え間のない快感の緩やかな波の狭間で、欲望とそれを阻む感情とがせめぎ合っている。
そんな最中、奏は形のいい唇に弧を描く。穂乃香が不審に思っていると、意地の悪い声音が放たれた。
「穂乃香、俺に何か言いたいことがあるんじゃないか?」
「……べ、別に」
「そんな物欲しそうな顔をして、強情だな。なら、ずっとこのまま蜜を吸い尽くすまでだが、どうする?」
どうやら奏は、穂乃香の口から、〝奏自身で満たして欲しい〟と言わせたいらしい。
そうとわかっていながら、降参できるはずがない。
ムッとした穂乃香は奏をキッと強い視線で睨みつける。
すると予想に反して、何とも切なげな表情でこちらの様子を窺っている、奏が待ち受けていた。
(――え? どうしたの?)
胸をズキンと鋭い痛みに襲われ困惑していると、奏の切なげな声音が耳に届く。
「あの夜は身代わりでも構わなかったのに。穂乃香が口にしたあの男の名前が頭から離れない。一度でいい。一度でいいから、俺の名前を呼んでくれないか? そうしたら身代わりでも何にでもなってやる」
「ど、どうして、そこまでして……」
驚愕しつつも、そう口走ってしまってから穂乃香はハッとする。
こんなの愚問だ。好きだからに決まっている――
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