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甘くて苦いビターチョコのように

#28

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♪゜・*:.。. .。.:*・♪ 


ほどなくして、私が意識を取り戻したのは、大好きな要さんの逞しい腕の中で。

要さんは私のことを愛おしそうに優しい眼差しで見つめながら何度も優しく髪を撫でてくれていて。

ーーあぁ、良かった。夢じゃないんだ。

そう実感することができた私は、心底ホッと安堵して、もうそれだけで、嬉しくて堪らなくて。

私は無意識に声にだしてしまってたようで。

「……夢じゃなくて、良かったぁ」

そしたら、それを聞いた要さんの優しい手の動きが急に止まってしまって。

名残惜しいやら寂しいやら、どうしたのかと思った私がキョトンと要さんを見つめ返せば……。

要さんは何故か、フウと盛大な溜め息を吐き出していて。

ーーあれ、この光景、さっき見たなぁ、なんてことをぼんやりと考えていたら。

やれやれって感じで私のことを見つめている割には、思いのほか優しい眼差しを向けてくれていて。

「そんな可愛いこと言って、俺に足腰立たなくなるまで抱かれたいのか?」

なんて、とびきり優しい甘い声で、少しばかり意地悪なことを言われても、嫌だなんて思う筈がない。

ーーもっともっと、夢じゃないんだってことを教えて欲しい。

ーーこれから先、私が不安なんて感じないくらい、頭の中を要さんで一杯にして欲しい。

「はい。夢じゃないんだって、もっともっと、教えてください」

まさか、私がそんなことを言うとは思わなかったらしい要さんが驚いて、大きく瞳を見開いているけれど。

私は構わず、要さんの首に両腕を絡めて、要さんの綺麗なお顔を自分の方へ引き寄せて、要さんの無防備な唇にそっと優しく口づけて。

「約束通り、一生、離れられなくしてください」

唇を離した刹那、私がそう言えば、要さんの表情がキリッと切り替わって、ミルミル妖艶さを取り戻していく。

そんな色気半端ない要さんの綺麗なお顔で見つめられているだけで、期待で、胸はドキドキと高鳴って、恥ずかしいけど、際奥までキューンと疼くのが自分でも分かる。

「……そんなこと言っても、初めてだったんだし、身体、辛いだろ?」

それでも、どこまでも優しい要さんは、こうやって、私の身体のことを気遣ってくれる。

それは、とっても嬉しいことだし、とっても幸せなことでもあるんだけれど。

それに、確かに身体は少し重くて怠い感じはするけれど、そんなのどうってことない。

ーーそれよりも、大好きな要さんとずっとずっとくっついていたい、って思っちゃうんだもん。

ーー少しでも長い時間、大好きな要さんと繋がっていたい、って思っちゃうんだもん。

要さんだって、『我が儘を言って欲しい』って言ってくれたんだし、これくらいの我が儘だったら、言ってもいいよね?

「もう、平気です。だから、私の我が儘きいてくれますよね?」

相も変わらず心配そうな様子の要さんに、少し拗ねた口調でそう言って上目遣いで見つめ返せば……。

「そこまで言うなら、分かった。

美菜のお望み通り、朝までたーっぷりと可愛がってやるから、覚悟しろ」

いつもの調子を取り戻した要さんがこれまたいつものお決まりのセリフを口にして。

私が返事の代わりに、ゆっくりと瞼を閉じれば、私の頬を両手でそっと包み込むようにして優しい手つきで支えると、私の唇にゆっくりと口づけてきた。

こうして、私と要さんとの初めての甘くて蕩けるような夢のような幸せな一時は、明け方まで続いたのだった。

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