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予期せぬ出来事とほころび

#12

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予期せぬ事態となってしまった、あのマリッジブルーの一件から、早いもので一週間が過ぎようとしている。


あの一件から、私と要さんは結婚に向けての話し合いを毎晩のようにするようになって。


結婚の具体的なことについては、お互いの家族に会ってから、要さんの家族も交えて相談しながら決めていこうということになった。


私のお祖母ちゃんへの挨拶の日程も八月に入ってすぐの土日に決まり。


その翌週、要さんのお母さんである社長の麗子さんにお会いすることも決まった。


勿論、会長夫婦にも改めてお会いすることになって。


その時に、都合がつけば、要さんより二歳下の弟で、専務である隼さんにもお会いすることになるらしいのだけれど……。


要さん曰く、隼さんは少々我が儘なところがあって、歳も近い所為か要さんに対抗心があり、小さい頃から何かと突っ掛かってきて、些細な喧嘩が絶えなかったらしい。


まぁ、それも、

『俺に構ってほしいなら、そういえばいいのに、仕方ないやつだなぁ』

と、構ってあげてたらしい要さんも、高校生になる頃には、相手にもしなくなって。


大学生になった要さんがマンションで独り暮らしを始めるようになり、二年後、隼さんも同じように家を出たため、それからますます疎遠になって、現在に至るらしい。


まぁ、きっとお互い大人になったということだろうけれど。


要さんの話をここまで聞いた私が、

『お互い我が儘な性格ゆえに、どっちも譲らなかったから喧嘩になっていたのでは・・・』

そう思ったことは内緒だ。


それはさておき、疎遠になったとは言っても、お互い自社の重役だから、仕事では顔をあわせる機会があるため、仕事の話もするらしいけれども……。


表面上は爽やかな好青年の皮を被ってはいるが、少々あざといところもあって、本音を見せないため、隼さんが実のところ何を考えているかよく分からないらしい。


だから、

『隼にはくれぐれも気を付けてほしい』

と、要さんに言われてしまい。


ただでさえ社長との初のご対面で緊張してしまうというのに、私は違う意味での緊張感にも襲われてしまうことになった。


「なーに、そんなに心配することはない。

俺の母親は、社長なんて役職についてはいるが、実際のところ、重要な仕事は俺や隼に割り振っておいて、

『要、仕事ばっかりしてないで、速く結婚して社長になって、私を仕事から解放してちょうだい』

なんて言って、自分はフランス人の恋人と出張のついでに旅行するような、ただの我が儘なオバサンだから、大丈夫だ。

まったく、どっちがついでなんだか……」

「……」


緊張感に襲われてしまってる私のことを気遣おうとしてくれる優しい要さんの腕のなかで。またまた唖然とさせられた私は、要さんの"少々子供っぽく傍若無人な性格"は、どうやら社長である母親の遺伝子であるということを確信したのだった。


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