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豪邸と入学式
悪役令嬢は覚醒する
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目覚めたらベットにいたものだから、さっきまでの話は不思議な某かと錯覚してしまった。そもそも外になんて出るわけがないじゃないか無職なのに。にしても女子高生にキスされる夢なんて、そろそろ末期だなと真人は呆れたため息をついてしまった。目をごしごしとこすると、ようやく視界が開けてきた。開けない方が、現実が見えなくてよかったのかもしれないが。
部屋のいたるところに花の彫り物が置かれていた。
白一色の部屋に大きな絵画が飾られていた。
ベットがシングルどころかダブルよりも大きいのではないかと思うほど広かった。
自分の指先が細くてすっと伸びていた。
0歳の時から住み続けている自宅の部屋ではないことは確実に分かった。ベットが広いということはもしかしてホテルだろうか。あの少女に運ばれてきたのだろうか。そんな仮説はすぐに砕け散った。
部屋の壁に飾られていた立ち見の鏡は、女性を映していた。長い金色の髪が垂れていた。白色の寝間着は、アメリカのテレビドラマに出てくるセレブが着るものと酷似していた。誰だこいつはと、ベットから降りようとした真人に連動したかのように、鏡の中の女性もベットから降りた。
え????え????もしかして……
頬に手を置いたら、鏡の女性も手を頬に置いた。髪を触れたら、髪を触れる。ならばと思って、思い切って寝間着に手をかけた。やることは1つだ。性別だけは、どんなに寝ぼけていても間違えない。そう言って服を大胆に脱いだ瞬間、目の前に飛び込んできたのは豊満な乳房だった。
鏡でその姿を見た瞬間に、ドアがコンコンと二階ノックされた。
「お嬢様!!そろそろ起きていただきますか?」
あわあわと腰が受けてしまっているというのに、真人にはその声に返事する言葉が見つからなかった。
「今日は国立魔法院学院の入学式でございましょう?早く起きてくださりませんと……」
「い、今すぐ着替えます!!」
まるで自分の声とは思えないほどの、甲高い声だった。聞きなれない。いつもの低いだみ声はどこに行ってしまったのか。とりあえず服を着ようと思ってベットに戻ろうとしたら、部屋に紺色のメイド服を着た女性が入ってきた。ベットで半裸になっている真人を見て、メイドさんは叫び声を上げた。
「そんなはしたない!!自分でお着換えなされるなんて、学院の中だけにしていただけませんか!?!?」
へ?と戸惑っていたら、そのまま風呂場へと連れて行かれた。その途中の道路も、まるで王宮のごとく豪華絢爛だった。そして風呂場ではシャワーを浴びつつ体の隅々を洗われてしまった。歯を磨くのだって従者が何人がかりかで行い、下着すら自分でつけることはなかった。まあその方が、ブラジャーのつけ方なんてわかっていなかったからよかったのだけれども。
「ではこちらを失礼します」
しかしながら腹にコルセットを巻かれたのは流石にしんどかった。知識としては理解していたものの、ここまで胃と腸を圧迫するのかと舌を巻いてしまった。というか舌が飛び出るほどしんどかった。
「あの…メイドさん」
「メイドさん?どなたですか?私、ということでよろしいのですか?」
真人は最初にドアをノックしたメイドさんに声をかけたつもりだったが、それだと判別ができないようだ。といっても名前がわからないから何とも言えない。
聞きたいことはいろいろあった。ここはどこなのか、この家は誰のものなのか、これから自分はどこへ行き何をさせられるのか。色々聞きたかった結果、最初に口をついたのは
「朝ごはんは、何ですか?」
こんな三大欲求に忠実な質問だった。メイドさんは呆れて、
「心配なさらないで下さい。お嬢様の好きなエスカルフォッカチオとクイーンポタージュを準備しておりますよ」
と答えてくれたが、どんな食事なのか全く想像できなかった。
部屋のいたるところに花の彫り物が置かれていた。
白一色の部屋に大きな絵画が飾られていた。
ベットがシングルどころかダブルよりも大きいのではないかと思うほど広かった。
自分の指先が細くてすっと伸びていた。
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部屋の壁に飾られていた立ち見の鏡は、女性を映していた。長い金色の髪が垂れていた。白色の寝間着は、アメリカのテレビドラマに出てくるセレブが着るものと酷似していた。誰だこいつはと、ベットから降りようとした真人に連動したかのように、鏡の中の女性もベットから降りた。
え????え????もしかして……
頬に手を置いたら、鏡の女性も手を頬に置いた。髪を触れたら、髪を触れる。ならばと思って、思い切って寝間着に手をかけた。やることは1つだ。性別だけは、どんなに寝ぼけていても間違えない。そう言って服を大胆に脱いだ瞬間、目の前に飛び込んできたのは豊満な乳房だった。
鏡でその姿を見た瞬間に、ドアがコンコンと二階ノックされた。
「お嬢様!!そろそろ起きていただきますか?」
あわあわと腰が受けてしまっているというのに、真人にはその声に返事する言葉が見つからなかった。
「今日は国立魔法院学院の入学式でございましょう?早く起きてくださりませんと……」
「い、今すぐ着替えます!!」
まるで自分の声とは思えないほどの、甲高い声だった。聞きなれない。いつもの低いだみ声はどこに行ってしまったのか。とりあえず服を着ようと思ってベットに戻ろうとしたら、部屋に紺色のメイド服を着た女性が入ってきた。ベットで半裸になっている真人を見て、メイドさんは叫び声を上げた。
「そんなはしたない!!自分でお着換えなされるなんて、学院の中だけにしていただけませんか!?!?」
へ?と戸惑っていたら、そのまま風呂場へと連れて行かれた。その途中の道路も、まるで王宮のごとく豪華絢爛だった。そして風呂場ではシャワーを浴びつつ体の隅々を洗われてしまった。歯を磨くのだって従者が何人がかりかで行い、下着すら自分でつけることはなかった。まあその方が、ブラジャーのつけ方なんてわかっていなかったからよかったのだけれども。
「ではこちらを失礼します」
しかしながら腹にコルセットを巻かれたのは流石にしんどかった。知識としては理解していたものの、ここまで胃と腸を圧迫するのかと舌を巻いてしまった。というか舌が飛び出るほどしんどかった。
「あの…メイドさん」
「メイドさん?どなたですか?私、ということでよろしいのですか?」
真人は最初にドアをノックしたメイドさんに声をかけたつもりだったが、それだと判別ができないようだ。といっても名前がわからないから何とも言えない。
聞きたいことはいろいろあった。ここはどこなのか、この家は誰のものなのか、これから自分はどこへ行き何をさせられるのか。色々聞きたかった結果、最初に口をついたのは
「朝ごはんは、何ですか?」
こんな三大欲求に忠実な質問だった。メイドさんは呆れて、
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