どうして許されると思ったの?

わらびもち

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その感覚はよろしくない

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「旦那様の幼馴染みは三名ほどおりまして……先ほどいらしたアリー様に、ゼット男爵家のメグ様、バルタ男爵家のパメラ様です」

「全員女性なのね……。ちなみに年齢は? 結婚はしているの?」

「確か旦那様と近いご年齢だったかと……。そして皆さま未婚のご令嬢です」

 結婚適齢期をとうに過ぎた未婚の令嬢が、既婚者の男の家に足繫く通う。

 それはつまり……

「彼女達は旦那様の愛人狙いなのね。いえ、もしかしてすでに愛人関係にある……とか?」

「いえ、奥様、それはないかと。旦那様は彼女達をただの幼馴染みとしか見ておられないようです。その……失礼ですが旦那様は女性の外見にうるさい方かと。前の奥様もお綺麗な方でしたし……」
 
 つまりその幼馴染みのご令嬢方は夫基準で美しくないということか。
 好みでもない、愛人にするわけでもない未婚の令嬢が邸へ訪れることを夫は何故容認しているのだろう。

「旦那様はその幼馴染みのご令嬢方の訪問をどう思っているのかしら?」

「はあ……おそらくは友人が家に遊びに来ているくらいの感覚なのかと……」

「旦那様のご年齢でその感覚はよろしくないわね……」

 いい年をした男、しかも貴族家当主がいつまでもそんな幼子のような感覚では困る。
 それに夫が不在と知って帰るならばまだいいが、何故か居座ろうとするところも迷惑でしかない。

 だいたい、成人を過ぎたに軽々しく遊びにくるなんて許されない。配下に軽んじられているなんて、領地を治める長としての面目丸つぶれではないか。

「旦那様がお帰りになったらきちんと話さないとね。このままではよくないわ」

***

「旦那様、お帰りなさいませ」

「ただいま、システィーナ。先ほど執事に聞いたのだが、今日屋敷にアリーが来たのかい?」

「はい。しばらくいらっしゃいましたね」

 嘘は言っていない。
 相手をしていないだけで、しばらく居たのは事実だから。

「そうか。アリーは私の幼馴染みなんだ。システィーナも仲良くしてくれると嬉しい」

「あら、何故わたくしが仲良くしなくてはなりませんの? と」

 突き放すような口調にレイモンドはシスティーナを怒らせてしまったと焦った。

「い、いや、その……アリーは同性の友人も少なくて……」

「左様でございますか。ですが、それは旦那様が気を配ることではございません。旦那様はこの伯爵領の民全てに気を配らねばならない御方。一家臣の娘の交友関係に気を配る暇などございませんことよ?」

 表情一つ変えず淡々と説明するシスティーナ。
 自分よりも一回りも年下の妻に正論を吐かれ、レイモンドは唖然とした。
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