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信じていたのは……
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「だって酷いじゃない! 私と貴方はただの幼馴染なのに、変な嫉妬で邸に入れないようにするなんておかしいわ! そのせいで私はこんな場所まで来なくてはならなかったのよ?」
「妻の判断は何もおかしくない。おかしいのは成人しても距離感を改めなかった私達の方だ……。責任ある立場でありながらいつまでも幼い頃のままの関係性で許されるはずがないと気づきもしなかった私達がおかしい」
「なっ……!? なんでそんなことを言うの? 私達の絆はそんなつまらないことで壊れるようなものじゃないわ!」
「……貴族としての責任や立場を“つまらないこと”と言って切り捨てるつもりか?」
子供じみた発言にレイモンドは軽蔑の目をメグへと向ける。
働かずとも優雅な生活を送ってきた貴族がその責任や立場を果たそうとしない姿というのはこうも情けないものなのかとレイモンドは過去の自分と重ねて恥ずかしくなった。
(私もシスティーナに同じようなことを言ってしまったが、彼女もきっとこんな気持ちだったんだな……)
偉そうに妻に向かって「身分を越えた友情を育んできた」と言ってしまった自分を思い出してその場で転げまわりたくなるほどの羞恥を感じた。今、それと同じことを言ったメグをひどく子供じみて恥ずかしいと思ったように、妻も同じ感情を自分に抱いたに違いないと。
つくづく自分が情けなくなった。
貴族家当主としても立場を弁えず異性の幼馴染と友情ごっこを続けた結果、二人の妻とその生家にまで多大な迷惑をかけた自分が。そしてその尻拭いを一回りも下の妻にさせてしまっていることも情けない。
「それに……ただの幼馴染だと馬鹿みたいに信じていたのは私だけだろう? 君達はただ私の愛人の座を狙って会いに来ていただけじゃないか……」
その言葉に動揺するメグの姿を見て悲しくなった。
システィーナから指摘されたことで理解していたとはいえ、騙されていたような嫌悪感は拭えない。
本当は彼女達自身に否定してほしかった。幼馴染以外の感情を向けていないと。
愛人などというこちらを利用して甘い汁を吸いたいだけの関係を求めていないと信じたかった。
「……図星なんだな。悲しいよ、結局君は私を金蔓としか見ていなかったんだな……」
「ち……ちが、ちがうわ! そんなことない! わ、わたしは……ずっと前からレイ、貴方のことを……」
「いい、その続きは聞きたくない」
「ひ……ひどい! 私に恥をかかせる気!?」
「……先に恥をかかせたのは君達の方だろう? 私の愛人を装い馴染みの商会から物を購入し、その請求を当家に押し付けるという恥ずかしい真似をしたのは誰だ?」
「え……!? な、なんでそれを知って……」
「侍女長だよ。彼女が君達の悪行を全部吐いた。まさか侍女長が君達の手先だったなんてな……。信じていた者達皆に騙されて情けない限りだよ……」
「え? 侍女長……? 何で侍女長が……?」
どうしてここでその名が出てくるのかと言わんばかりにメグは首を傾げた。
「とぼけないでくれ! 侍女長は君達の協力者なのだろう? 今思えば彼女の行動はおかしかった。先触れなく押し掛けた君達を勝手に邸に入れてしまうし、やたらと私の妻に会わせようとするし……」
思い返せばどうしてその当時に侍女長の行動がおかしいと気づかなかったのか。
鈍感が過ぎる自分がつくづく情けない。
「妻の判断は何もおかしくない。おかしいのは成人しても距離感を改めなかった私達の方だ……。責任ある立場でありながらいつまでも幼い頃のままの関係性で許されるはずがないと気づきもしなかった私達がおかしい」
「なっ……!? なんでそんなことを言うの? 私達の絆はそんなつまらないことで壊れるようなものじゃないわ!」
「……貴族としての責任や立場を“つまらないこと”と言って切り捨てるつもりか?」
子供じみた発言にレイモンドは軽蔑の目をメグへと向ける。
働かずとも優雅な生活を送ってきた貴族がその責任や立場を果たそうとしない姿というのはこうも情けないものなのかとレイモンドは過去の自分と重ねて恥ずかしくなった。
(私もシスティーナに同じようなことを言ってしまったが、彼女もきっとこんな気持ちだったんだな……)
偉そうに妻に向かって「身分を越えた友情を育んできた」と言ってしまった自分を思い出してその場で転げまわりたくなるほどの羞恥を感じた。今、それと同じことを言ったメグをひどく子供じみて恥ずかしいと思ったように、妻も同じ感情を自分に抱いたに違いないと。
つくづく自分が情けなくなった。
貴族家当主としても立場を弁えず異性の幼馴染と友情ごっこを続けた結果、二人の妻とその生家にまで多大な迷惑をかけた自分が。そしてその尻拭いを一回りも下の妻にさせてしまっていることも情けない。
「それに……ただの幼馴染だと馬鹿みたいに信じていたのは私だけだろう? 君達はただ私の愛人の座を狙って会いに来ていただけじゃないか……」
その言葉に動揺するメグの姿を見て悲しくなった。
システィーナから指摘されたことで理解していたとはいえ、騙されていたような嫌悪感は拭えない。
本当は彼女達自身に否定してほしかった。幼馴染以外の感情を向けていないと。
愛人などというこちらを利用して甘い汁を吸いたいだけの関係を求めていないと信じたかった。
「……図星なんだな。悲しいよ、結局君は私を金蔓としか見ていなかったんだな……」
「ち……ちが、ちがうわ! そんなことない! わ、わたしは……ずっと前からレイ、貴方のことを……」
「いい、その続きは聞きたくない」
「ひ……ひどい! 私に恥をかかせる気!?」
「……先に恥をかかせたのは君達の方だろう? 私の愛人を装い馴染みの商会から物を購入し、その請求を当家に押し付けるという恥ずかしい真似をしたのは誰だ?」
「え……!? な、なんでそれを知って……」
「侍女長だよ。彼女が君達の悪行を全部吐いた。まさか侍女長が君達の手先だったなんてな……。信じていた者達皆に騙されて情けない限りだよ……」
「え? 侍女長……? 何で侍女長が……?」
どうしてここでその名が出てくるのかと言わんばかりにメグは首を傾げた。
「とぼけないでくれ! 侍女長は君達の協力者なのだろう? 今思えば彼女の行動はおかしかった。先触れなく押し掛けた君達を勝手に邸に入れてしまうし、やたらと私の妻に会わせようとするし……」
思い返せばどうしてその当時に侍女長の行動がおかしいと気づかなかったのか。
鈍感が過ぎる自分がつくづく情けない。
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