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訓練と訪問客
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「ダンテ様、そろそろ休憩させてくださいまし……」
「いえ、もう少し頑張りましょう。エルリアン嬢は中々筋がよろしい。使いこなせるようになるまであと少しです」
「お褒めの言葉は有難いですが……一朝一夕で習得できるような代物ではないと思いますよ? それに……ここに長くいると気が滅入ってしまいますわ」
あれから数日、皇帝陛下からの賜り物を習得するための訓練を行っている。
ダンテ様の特訓は中々にハードなもので、連日の令嬢らしからぬ運動に私の体は悲鳴をあげていた。
おまけに……この場所は日の光も届かないせいか昼間でも薄暗く黴臭い。
こんな場所に長時間いるだけで精神が参ってしまいそうだ。
「それは致し方ありません。ここ以外に訓練に適した場所がないのですから」
「まあ、それはそうですよ……」
ダンテ様が言うには帝国の宮殿には専用の訓練室があるらしい。
多分、前世の漫画やアニメで見たことがあるような部屋なのだろう。
私だって出来るならそういった専用の部屋がいい。それに代わる場所がここだというのは、納得は出来るが何とも嫌な気持ちになる。
「まあ……罪人でもないのに長時間地下牢に居続けることは確かに精神への負担が大きいですね。分かりました、一旦休憩にしましょう」
そう、私とダンテ様は我が家の地下牢で訓練をしていたのだ。
まさか自分の邸の地下牢にこんな長時間いる羽目になるとは夢にも思わなかった。
(やっと明るい場所に出られる…………)
地下牢の階段を上り、邸の中に入ると窓から差し込んだ日の光が眩しく感じられた。
「あ、お嬢様! お疲れのところ申し訳ございません、実は外にお客様がお見えでして……」
「お客様? 今日は来客の予定はなかったはずだけど……」
「はい、先触れのないお客様なのですが……」
取次にやって来た執事がそっと耳打ちをしてきた。
「は? 宰相閣下が?」
「はい……お嬢様に急ぎでお会いしたいと……」
客人の名を聞いて私は首を傾げた。宰相とミシェルはほとんど面識がなかったと記憶している。王太子の婚約者なら宰相と関りがあるものではないかと思ったが、この国は女性が政治に関わることはほぼ無い為、王妃やミシェルは宰相との関りが薄かった。
「わたくしに何の用が……。まあ、いいわ。応接室にお通して、着替えをするから少し待ってもらってちょうだい」
「いえ、それが……本当に急ぎらしく、すぐにでもお会いしたいと……」
「ええ……? 何それ……失礼ね」
こっちは訓練で汗をかいているうえに簡素な服を身に着けているというのに……。
「まあ……仕方ないわね、分かったわ」
それだけ急いでいるというのなら、何か重要な事なのかもしれない。
いきなり訪ねてきた時点で確実にそうなのだろうが……一体何の話だろう。
「エルリアン嬢、急な訪問にも関わらず応じてくれたこと心から感謝する」
応接室の椅子に座って待っていた宰相はひどく草臥れた姿をしていた。
服装はきちんとしているのに表情や髪質がもう酷いことになっている。
父も最近の忙しさでやつれてはいるが、ここまでではなかった。
「いいえ、急ぎだとお聞きしましたので。それよりも大丈夫でしょうか? 随分とおやつれになられたようですが……」
「はは……お恥ずかしい限りです。私が無能なばかりにお父君にもご迷惑をおかけして……。私ばかりが疲れたなどと言えませんよ」
あれ? なんか会話になっているようでなっていない。
よく見れば目の焦点も合っていないし……大丈夫か、この人?
「時間も無いので早速本題に入らせていただきます。エルリアン嬢……お願いです、どうか一度陛下に会って頂けないでしょうか……?」
「は……………………?」
宰相の懇願に私は目を丸くして驚いた。
陛下に会うって……どうして私があの迷惑で空気の読めないオッサンに会わなくてはならないのだろう?
「いえ、もう少し頑張りましょう。エルリアン嬢は中々筋がよろしい。使いこなせるようになるまであと少しです」
「お褒めの言葉は有難いですが……一朝一夕で習得できるような代物ではないと思いますよ? それに……ここに長くいると気が滅入ってしまいますわ」
あれから数日、皇帝陛下からの賜り物を習得するための訓練を行っている。
ダンテ様の特訓は中々にハードなもので、連日の令嬢らしからぬ運動に私の体は悲鳴をあげていた。
おまけに……この場所は日の光も届かないせいか昼間でも薄暗く黴臭い。
こんな場所に長時間いるだけで精神が参ってしまいそうだ。
「それは致し方ありません。ここ以外に訓練に適した場所がないのですから」
「まあ、それはそうですよ……」
ダンテ様が言うには帝国の宮殿には専用の訓練室があるらしい。
多分、前世の漫画やアニメで見たことがあるような部屋なのだろう。
私だって出来るならそういった専用の部屋がいい。それに代わる場所がここだというのは、納得は出来るが何とも嫌な気持ちになる。
「まあ……罪人でもないのに長時間地下牢に居続けることは確かに精神への負担が大きいですね。分かりました、一旦休憩にしましょう」
そう、私とダンテ様は我が家の地下牢で訓練をしていたのだ。
まさか自分の邸の地下牢にこんな長時間いる羽目になるとは夢にも思わなかった。
(やっと明るい場所に出られる…………)
地下牢の階段を上り、邸の中に入ると窓から差し込んだ日の光が眩しく感じられた。
「あ、お嬢様! お疲れのところ申し訳ございません、実は外にお客様がお見えでして……」
「お客様? 今日は来客の予定はなかったはずだけど……」
「はい、先触れのないお客様なのですが……」
取次にやって来た執事がそっと耳打ちをしてきた。
「は? 宰相閣下が?」
「はい……お嬢様に急ぎでお会いしたいと……」
客人の名を聞いて私は首を傾げた。宰相とミシェルはほとんど面識がなかったと記憶している。王太子の婚約者なら宰相と関りがあるものではないかと思ったが、この国は女性が政治に関わることはほぼ無い為、王妃やミシェルは宰相との関りが薄かった。
「わたくしに何の用が……。まあ、いいわ。応接室にお通して、着替えをするから少し待ってもらってちょうだい」
「いえ、それが……本当に急ぎらしく、すぐにでもお会いしたいと……」
「ええ……? 何それ……失礼ね」
こっちは訓練で汗をかいているうえに簡素な服を身に着けているというのに……。
「まあ……仕方ないわね、分かったわ」
それだけ急いでいるというのなら、何か重要な事なのかもしれない。
いきなり訪ねてきた時点で確実にそうなのだろうが……一体何の話だろう。
「エルリアン嬢、急な訪問にも関わらず応じてくれたこと心から感謝する」
応接室の椅子に座って待っていた宰相はひどく草臥れた姿をしていた。
服装はきちんとしているのに表情や髪質がもう酷いことになっている。
父も最近の忙しさでやつれてはいるが、ここまでではなかった。
「いいえ、急ぎだとお聞きしましたので。それよりも大丈夫でしょうか? 随分とおやつれになられたようですが……」
「はは……お恥ずかしい限りです。私が無能なばかりにお父君にもご迷惑をおかけして……。私ばかりが疲れたなどと言えませんよ」
あれ? なんか会話になっているようでなっていない。
よく見れば目の焦点も合っていないし……大丈夫か、この人?
「時間も無いので早速本題に入らせていただきます。エルリアン嬢……お願いです、どうか一度陛下に会って頂けないでしょうか……?」
「は……………………?」
宰相の懇願に私は目を丸くして驚いた。
陛下に会うって……どうして私があの迷惑で空気の読めないオッサンに会わなくてはならないのだろう?
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