魔滅術

檸檬牛乳(みるく)

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0魔.黒き者⑥

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 後ろで大きな爆発音がした。
目を開けると、俺は人化したニーズヘッグに小脇に抱えられていた。

 崖の方では、馬車に乗っていた者達も出てきてこちらを驚いた様子で見ていた。

「……ニーズヘッグ? 俺、何か怒らせたか? 怒らせたなら謝る」

 そう言うと、ニーズヘッグは俺の方を見ながらため息をつき、騎士達の方を睨みつけた。
次の瞬間、騎士達は気絶し、次々と落馬していった。

 危ないと思い、俺は騎士達のいる地面に魔術で雲を作った。
騎士達は雲の上に落下した。
その様子を見て、俺はふぅっと息をついた。

「ニーズヘッグ、何をしたんだ? 怪我をしたら危ないだろ!」

「危なかったのはグレイ、お前の方だぞ。奥にいる魔剣士が魔術でお前ごと俺を吹き飛ばそうとしたのだからな」

 さっきの爆発は向こうにいる騎士の攻撃を相殺したわけか。
それにしても……騎士のくせに実力差もわからねえのかよ……

 ニーズヘッグはちらりとこちらを見ながら、クックっと笑った。

「まあそう言ってやるな。人間は愚かな生き物だが、それ故に面白い。そうだ、小僧、取引をしないか?」

「取引って何をだよ?」

「決まっているだろ? グレイ、俺と契約しろ。契約を拒めば、奴ら全員の命をいただくとしよう」
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