ロマンチック・トラップ

るっぴ

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今までの生活 柊side

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 「ねえ柊くん、今夜どぉ?」

鼻につくような甘ったるい声で眼鏡を抜き取られる。

 「ええ、もちろん。」


 今までは求められれば誰だって応えていた。ランクが高いゆえに、どうせもう自分が満たされようなどと愚かな考えは捨てるのがオチだ。だから、数えきれないほどの不特定多数のSubを相手にしていた。そこに恋愛感情などきらめいたものはなく、ただ淡々とcommandを吐いて、満たされるSubの姿を満たされないまま目にしていた。今思えばこの行為は自分を重ねたsubへの同情だったのかもしれない。
 一度だけ、Dom専用のplayサービスに頼ったこともあるが、その時のsubを泣かせるほど怖がらせてしまい、そのことにむなしくなってそれっきり行くのをやめた。当たり前だ。この瞳を持ってして、自分を意のままに支配できてしまう存在ほど怖いものなんてない。自分の性はひどく欲深い。それでもいまだに希望を捨てきれていないのだ。『ランクが高いと羨ましい』なんて言われることもあるが、結局は自分だけのsubを手に入れることなど叶わない、かわいそうなDomってだけだ。

 それでも、

 
――――『いえ、きれいです。』

この瞳をきれいだといってくれた。てっきり飛んでくるのは申し訳なさそうな沈黙だと思っていて。たった二度のplayでspaceに入ってくれたことで今までにないほど君というSubが愛おしく思えた。こんなに薄汚れた僕を本能のままに求めてくれる子なんて君ぐらいだよ、蓮都。自分のcommandにこたえてくれるたびにすごく心地が良くなる。体と心を擦り切れるまでボロボロになってしまった蓮都が自分だけを見ている。これほどうれしいことはない。

space中の蓮都はとにかく甘えたになる。僕に抱きつき、眠ったかと思えばぱちりと目を覚まして僕だけを探し、撫でることを要求する。そのさらさらとした髪の毛をなでると、ふにゃりと嬉しそうに蓮人は笑った。いつか、spaceに入っていなくてもこのように求めてくれるようになるといいのだけど。蓮人はplayで付けた首輪を嬉しそうになぞっている。そのうちすぅすぅと寝息を立てて眠っていしまった。蓮人の少しはねている髪を手櫛で整えてやり、二人でベッドに寝転がった。


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