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聞いてくれ
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「アーリンの最期の願い、聞くんでしょう?」
グラスに口を付けて、その喉がゆっくりと動く。
「聞いたから最期の時を共に過ごしましたが?」
父さんが片眉を吊り上げると、王太后様はグラスを置いてくすくすと笑った。
先王が崩御する前、三日ほど父さんが帰って来なかったのは城に留まっていたからなのは知っていた。
あの山葡萄のジュースが最期に口にしたものだということも。だが、
「最期にあなたから口移ししてもらって嬉しそうだったわね」
まさかの事実に俺はスコーンを喉に詰まらせそうになる。
父さんは咳払いをして誤魔化したつもりかもしれないが聞こえてしまった。
「でも、私が聞いた最期の願いは『誰もが自由に幸せを手にできる国に』よ?」
父さんの顔は“もうやめろ!”と訴えているようだが、王太后様は止まらない。
「ずっと一緒に居てあなたとアーリンを見てきたのよ?またそれを繰り返すのは辛いわ」
王太后様は元々は公爵家の令嬢だからかもしれない。
父さんとの会話はその慣れた昔馴染みの様子も窺える。
「聞いて、シーバス」
「聞いていますよ」
諦めたように父さんがため息を吐いた。
「息子たちの声を、よ?」
そんな父さんに王太后様はリューラ、俺、リティナと順に見る。
父さんもこっちを向くと、リューラはゆっくりナイフとフォークを置いた。
「朝食くらい和やかに食べたかったけど……仕方ないね」
呟いて一度伏せた目を開ける。
そのキリッとした横顔は思わず見惚れてしまった。
グラスに口を付けて、その喉がゆっくりと動く。
「聞いたから最期の時を共に過ごしましたが?」
父さんが片眉を吊り上げると、王太后様はグラスを置いてくすくすと笑った。
先王が崩御する前、三日ほど父さんが帰って来なかったのは城に留まっていたからなのは知っていた。
あの山葡萄のジュースが最期に口にしたものだということも。だが、
「最期にあなたから口移ししてもらって嬉しそうだったわね」
まさかの事実に俺はスコーンを喉に詰まらせそうになる。
父さんは咳払いをして誤魔化したつもりかもしれないが聞こえてしまった。
「でも、私が聞いた最期の願いは『誰もが自由に幸せを手にできる国に』よ?」
父さんの顔は“もうやめろ!”と訴えているようだが、王太后様は止まらない。
「ずっと一緒に居てあなたとアーリンを見てきたのよ?またそれを繰り返すのは辛いわ」
王太后様は元々は公爵家の令嬢だからかもしれない。
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諦めたように父さんがため息を吐いた。
「息子たちの声を、よ?」
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「朝食くらい和やかに食べたかったけど……仕方ないね」
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