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真摯に
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父さんはリューラの話を聞いた後、真っすぐこっちを見てきた。
「サライド、お前はそこまでの覚悟はあるのか?」
その鋭い目に怖気づきそうになる。
覚悟、そう問われると……
弱気になりかけた俺が崩れなかったのはテーブルの下でリューラが手を繋いでくれたからだった。
ずっと自分の気持ちがわからなかった。
結婚相手は自分で決めるものではなく、同じ公爵家の令嬢と結婚すればいいと思ってきたから。
でも、リューラは自分の気持ちを真っすぐ伝え続けてくれて、いつもちゃんと俺を見ていてくれた。
どんなにキツく跳ね除けても変わらず伝え続けてくれた想い。
“この国を変える!”その言葉はただの理想ではない。
激務の中でも、本当にそうしようと俺の知らないところでかなり動いてくれている。
俺は……
「不安だらけで……覚悟、と問われたらハッキリ申し上げることはできないかもしれません」
情けないことに声が震えて今にも消えてしまいそうだった。
だが、こんなことを言っているのにリューラはしっかりと俺の手を握っていてくれる。だから、
「でも……」
顔を上げると王太后様も小さく頷くいてくれた。
「私はサフィナ様との未来は考えられません。このリューラと……」
リューラの方を向くとリューラは微笑んでくれる。
「リューラの横に居て……リューラの傍で支えになりたいです」
涙が込み上げて声は掠れてしまった。
それでもリューラは俺の涙を拭って優しく抱き寄せてくれる。
「まだ言わせる?」
王太后様が聞くと、父さんの諦めたようなため息が聞こえてきた。
「サライド、お前はそこまでの覚悟はあるのか?」
その鋭い目に怖気づきそうになる。
覚悟、そう問われると……
弱気になりかけた俺が崩れなかったのはテーブルの下でリューラが手を繋いでくれたからだった。
ずっと自分の気持ちがわからなかった。
結婚相手は自分で決めるものではなく、同じ公爵家の令嬢と結婚すればいいと思ってきたから。
でも、リューラは自分の気持ちを真っすぐ伝え続けてくれて、いつもちゃんと俺を見ていてくれた。
どんなにキツく跳ね除けても変わらず伝え続けてくれた想い。
“この国を変える!”その言葉はただの理想ではない。
激務の中でも、本当にそうしようと俺の知らないところでかなり動いてくれている。
俺は……
「不安だらけで……覚悟、と問われたらハッキリ申し上げることはできないかもしれません」
情けないことに声が震えて今にも消えてしまいそうだった。
だが、こんなことを言っているのにリューラはしっかりと俺の手を握っていてくれる。だから、
「でも……」
顔を上げると王太后様も小さく頷くいてくれた。
「私はサフィナ様との未来は考えられません。このリューラと……」
リューラの方を向くとリューラは微笑んでくれる。
「リューラの横に居て……リューラの傍で支えになりたいです」
涙が込み上げて声は掠れてしまった。
それでもリューラは俺の涙を拭って優しく抱き寄せてくれる。
「まだ言わせる?」
王太后様が聞くと、父さんの諦めたようなため息が聞こえてきた。
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