わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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真摯に

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「なら、サフィナ!お入りなさい」

 王太后様の澄んだ声が広間に響いてガチャンと音がする。
 目の前のドアが開くと、そこにはあのボルドー色の髪を結んで白いシャツに黒いスラックス、白衣を着たサフィナが立っていた。
 驚きで涙なんて引っ込んだ俺は戸惑ってリューラを見る。
 だが、リューラも知らなかったらしく、俺たちはコツコツと靴音を立てて歩いてくるサフィナをただ目で追った。

「聞こえた?」
「……はい。残念ながら」

 深々と頭を下げるサフィナはヒドく憔悴しているように見える。

「今日は仕事はいいから。話が済んだら屋敷でゆっくりお休みなさいね?」

 立ち上がった王太后様が話し掛けて更に耳元で囁くと、サフィナはまた頭を下げて涙を滲ませた。
 囁いた言葉はわからない。

「シーバス。あなたはこちらに……私たちは親のやるべきことを致しましょう?」

 サフィナの手にハンカチを握らせた王太后様は父さんに声を掛けて控えていたロットルにもいくつか指示を出す。

「では、私も失礼致しますね。しっかりお話なさって下さい」

 リティナも去るとすぐに王太后様と父さんとリティナの皿などが片付けられ、リューラの前にサフィナの席が用意された。

「母さんもやってくれるね」

 さすがにリューラもため息を吐くと、サフィナは「失礼します」と頭を下げてロットルに支えられながら席に着く。
 朝の日差しは柔らかい光を注いでいるのに、俺は頭の中がグチャグチャで事態がうまく飲み込めなかった。
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