わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

宣言

3

　そんな様々な反応の中でもリューラは堂々としている。

「身分だけでなく、性別も……それぞれの想いを尊重できる“自由恋愛”をここに宣言したいと思います！」

　迷うこともなく、力強く宣言された言葉を聞いてざわつきは大きくなった。
　そもそもが婚姻は親が決めることがほとんどで、これまではずっと同じ身分同士でしか結婚することはできなかったのだ。
　それが急に自由、しかも、性別もだなんて困惑するだろう。
　“自由恋愛”という言葉に期待する若者は多そうだが、これまでその規律の中で生活してきた世代からしたら複雑かもしれない。
　中にはそれで諦めた想いもあっただろうから。
　それでもリューラが口を閉じてゆっくり全体を見渡すとすぐにまたその場が静まる。

「自由に恋をすること、それを望む声は大きいと感じたのですが……どうでしょうか？」

　王の一方的な宣言だけではなく、民衆の声も聞く姿勢。
　先王とはかなり違うがリューラらしいとも思う。
　しかも、一気に湧き上がったのはその宣言を歓迎する喜びの声。
　反応はまちまちに見えたが、実際に望む声は多かったのか、リューラのまっすぐな言葉が届いたのか。
　リティナと王太后様もリューラの横に並んで拍手をすると、辺り一帯は一気に拍手と歓声で包まれた。
　振り返ってこっちを見るリューラ。
　さすがに手で払って前を向かせると、リューラは民衆たちに手を振って応えてからローブにあるアメジストのピンにそっとキスをした。