わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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デート

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「どう?」

 得意げな言い方になるのも納得ではある。
 途中の道は険しい岩場も狭い植物の入り組んだ道もあって、ロットルは早々と脱落したほどだった。
 この道を選ぶのもだが、知っていても誰もが辿り着ける場所ではない。
 そしてちょうど夕日の沈むこの時間は街がオレンジに染まってめちゃくちゃ綺麗だった。

「さすがに冷えるけどね」

 後ろから抱き寄せられてドキッとするのに、そのままピタリとくっつかれて目の前の景色なんて見ていられない。

「大丈夫?寒くない?」

 耳元でそんな声が聞こえて俺は逃げるようにリューラから距離を取った。

「何でそんなに逃げるのさ?さすがに外で変なことはしないよ?」
「当たり前だっ!!」

 喚きつつ、中ではするつもりか?と少し警戒もする。
 別にくっつくのは嫌ではない。
 ドキドキはするが安心もする。
 でも、恥ずかしくて、慣れなくて……その先を求められるのは怖かった。

「サラ!手だけ……ダメ?」

 差し出されてそれくらいなら……と近付く。
 パッと握ると、リューラは微笑んでまた街を見下ろした。
 夕日はどんどん沈んでその空の色の変化と共に景色も変わる。

「ここから街を見てるとね……頑張らなきゃな、って思うんだ」

 キリッとした声を聞いてそのまま体をぶつけてやった。

「だから、今日は休暇だっつの!頑張る日じゃねぇ」
「ふふ、なら甘やかしてくれる?」

 軽く笑うリューラに背伸びをしてその頰にキスをしてやる。
 顔を綻ばせたリューラと目が合って、逃げる俺をキツく抱き締めてきた。
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