わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい

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 翌日、朝食後に少し現場を確認してリバーと打ち合わせてからエミリオの運転でやってきたのは村の一番北にある山の麓。
 聞いていた通り野生動物が荒らしたような痕があちこちにあって、とても安心して住める場所とは思えなかった。

「これは……酷いだろ」

 思わず呟くと、ジョンは頬を掻いて笑う。

「でも、ここでは隠れる必要もなく堂々とありのままの自分で居られるので……幸せですよ?」

 いくつか家があって男も女も年齢も様々だし子供だっているのはここには色んな訳アリが住んでいるからだ。
 同性愛だけではなく身分違いも。
 むしろ、戸籍上だけなら違う組み合わせのカップルも多いはずだ。
 このジョンだって、表向きは伯爵令嬢と結婚していることになっている。

「周りからも認められるならこの場所から出るか?」
「うーん……どうでしょうね。長く住んでいてここももう愛着があるので」

 穏やかにそこから見える家々を見るジョンの言葉に嘘はない気がした。

「あっ!!サライド様、もういらっしゃってたんですかっ!?」

 近くのドアが開いて茶髪のネロが顔を出す。

「ただいま」

 微笑むジョンと少し頬を膨らませてコソコソ言うネロの空気はみんなで食事をしたあの時より甘さがあった。
 それはやはり外では離れて隣り合わないように意識して、その空気を絶っているからかもしれない。
 ただ愛する者同士が一緒に居るだけなのに……。
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