わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

祝福

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　それからは怒涛の日々。
　オリバーに指輪を準備させ、リオッター家に協力を求めたり、共にオリバーの実家まで行ったり。
　領主も村にリオッター家の令嬢が、しかも、村の専属医師として住むことを喜び、資金提供までしてきた。
　俺とリューラからも弾んだため、潤沢な資金で用意されるアレコレ。
　人が増えてきて活気付いてきた村は更に明るく華やかになっていた。

「いいか！明日は……頼んだぞ！」

　声を掛けると、「オーっ!!」と気合いの入った声も聞こえてくる。
　初めてこの村に来た時には考えられなかったことだ。
　俺のことは陰でコソコソと文句を言い、ジュースはよくても未来は感じなかった村。
　父さんがなぜこの村に肩入れするのか理解ができなかった。
　だが、確かなパン作りをする腕のいい職人と、果物に恵まれ加工の技術も備わった村。
　新たな焼き菓子という名物も加わり、数年のうちに隣国からの客たちも迎える入り口の村になる。
　明日、サフィナがこの村に正式に越してくる時にサプライズで行う結婚式。
　それも美しい自然の中で行うリゾート挙式として話題になればいい。

「サライド様！ブーケはこんな感じでどうですか？」

　ハロルドがレオナルドと共にやってきて、その豪華な花に軽く感動した。

「これ、どうしたんだ？」
「この古傷のせいで私は仕事に出られませんから……陛下が即位される時に仰っしゃられたでしょう？」

　右肩に触れるハロルドが微笑んでブーケを手渡してくれる。
　即位してまだ一年。
　だが、戴冠式あの日植えられた種と苗はこんなにも美しい花を咲かせているらしい。