初恋のつづき、していいですか? 〜未練しかない幼馴染へ〜

ムラサキ

文字の大きさ
11 / 11

緊張なんて、お酒で飛ばせ

しおりを挟む
 年も明け、普段なら正月太りが悩みになる頃。雫は一週間後に同窓会を控え、早くも緊張していた。そんな雫を横目にリビングで餅を頬張る尚美。毎日そわそわしている雫にはすっかり慣れたらしい。

「餅、もうなくなるよ~。食べないの?」
「太るからいい。」
「ふ~ん。餅一個分運動すればいいだけじゃん。」
「も~、あんま誘惑してこないでぇ…。」

痩せる努力をした後に服を買ったのだ。成美のアドバイス通り、ボディラインが出た仕様になっている。このタイミングで正月太りしました!なんて、死んでも言えない。たかが餅一個。されど餅一個。油断は禁物だ。
 雫は、わざとらしく餅を頬張る尚美に少しの苛立ちを抱き、それを隠すように携帯をいじり始めた。

「なおちゃんもそんなに餅食べてたら、彼氏に太ったって言われるよ。」
「ぶっ!!!………なんてこと言うの!!?」
「え?図星?へ~~、そうなんだぁ~~。」

雫。してやったりのにんまり顔。

「なんでそう思ったの?」
「最近、様子明らかに違うし。浮かれてるし?」
「………どんな人か気になる?」
「べっつに~~。まぁ、私はぁ、どんな人でもなおちゃんが選んでるならそれでいいと思うけどぉ?」
「何、その話し方。ムカつく子ね。」
「『お父さん』」
「ん!!?」
「…でもいいと思うけどなぁ~。なんて、ね?」
「………それはどうかなぁ………。」

どうやらこの勝負、雫の勝ちのようだ。尚美は先ほど見せつけるような食べ方をやめ、肩身狭く静かに餅を口に運んだ。
 その途端、雫の手元でスマホが鳴る。画面には『迅』の文字。雫は少し驚いて、電話に出た。

「もしもし。」
<もしも~し。>
「なんかあった?」
<同窓会の送迎のことなんだけどさ、俺と美月の二台でやろうと思って。>
「え?なんで?私ら須美の車で行こうと思ってたんだけど。」
<あ~、やっぱり?でも今度予約してある店、駐車場割と狭いんだよ。人数少ないとは言ってもみんながみんなバラバラに車できたら店の迷惑になるだろ?それにせっかく成人した後に会うんだぜ?できるだけみんなには酒飲んでもらいたいしな。>
「なるほどね~。じゃあ私らは迅の車ってこと?」
<おう。黒川橋から東の地区は俺で、西は美月が迎えに行く。迎えの順番だけど、奥から行くから雫が最初な。>
「オッケ~。……ってことは蓮も!?」
<いや、蓮は別件の帰りに店寄るらしいから迎えに行かない。>
「そっかぁ…。」
<そんな焦んなって。店の中が本番なんだから。>
「たしかに。」
<……なに?緊張なんかしちゃってんの?>
「…だったら、悪い?」
<雫。さっきも言ったけど、俺ら大人だぜ?緊張くらい酒で飛ばせ。>
「いやいや私そんな酒強くない。」
<その時はその時でなんとかするから。な?>
「……おう!!」
<よし!そのいきだ!!>

 迅のアドバイスが吉と出るか凶と出るか。雫の初恋こじらせはどんなつづきを歩むのか。

次回!いよいよお待ちかねの同窓会!乞うご期待!!!
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください

楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。 ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。 ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……! 「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」 「エリサ、愛してる!」 ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

言いたいことは、それだけかしら?

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【彼のもう一つの顔を知るのは、婚約者であるこの私だけ……】 ある日突然、幼馴染でもあり婚約者の彼が訪ねて来た。そして「すまない、婚約解消してもらえないか?」と告げてきた。理由を聞いて納得したものの、どうにも気持ちが収まらない。そこで、私はある行動に出ることにした。私だけが知っている、彼の本性を暴くため―― * 短編です。あっさり終わります * 他サイトでも投稿中

気づいたときには遅かったんだ。

水瀬瑠奈
恋愛
 「大好き」が永遠だと、なぜ信じていたのだろう。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

カモフラージュの恋

湖月もか
恋愛
容姿端麗、文武両道、しかも性格までよし。まるで少女漫画の王子様のような幼馴染な彼。 当たり前だが、彼は今年も囲まれている。 そんな集団を早く終わらないかなと、影から見ている私の話。 ※あさぎかな様に素敵な表紙を作成していただきました!

処理中です...