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第一章 今、天使って言った?
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「おはよう」
慎くんがあいさつを返すと、私と慎くんのあいだに入り込むように安永さんが立った。
安永さんは、すらりとした美人さんだ。頭もいいし人気もある。来年の児童会長は、安永さんか慎君になるだろうって言われている。
そんな二人が並ぶと、美男美女でそれはそれは豪華な組み合わせだ。
「ねえ、朝の時間、一緒に図書館行きましょうよ。昨日話してた参考書、持ってきたの。例の問題、詳しく教えてくれる?」
「ごめん。今朝は僕、にわとり当番なんだ」
「今日? 慎君の当番て、来週じゃなかった?」
「本当はね。今日は、美優さんの代わり。彼女が今日の当番なんだけど、けがしちゃったから」
「けが?」
安永さんと菊池さんが、私の視線を追って膝のけがに気づいた。菊池さんがあきれたように眉をひそめた。
「たいしたことないじゃない。それくらいで慎くんに当番代わってもらうの? がんばれば、にわとりの世話くらいできるわよ」
少しとげのある言い方に、ひゅ、と息がつまる。
そうだねって言った方がいいのかな。痛いから無理って言った方がいいのかな。
何か言いたくても、喉が詰まって言葉が出てこない。
これが、莉子ちゃんや萌ちゃんなら言えるのに。
うつむいた私の代わりに、慎くんが答えた。
「僕が代わるって言ったんだよ。ばいきんが入ったりしたら大変だから、すぐ手当てしてもらった方がいいし。だから、今朝はごめん。またにしてくれる?」
「慎君、やさしー」
ちらりと私を見て、菊池さんが続ける。視線が痛い。
「うっせえな、慎がいいって言うからいいんだよ。てめえらには関係ないだろ」
乱暴に颯太が言って、慎くんの手を引っ張ると歩き始めた。
「ちょっと。まだ話してる途中じゃない」
「早く行かないと、時間なくなるんだよ。美優、さっさと保健室行けよ」
「あ、うん。ありがと。慎くんも、ありがと!」
慎くんは振り向いてにっこり笑うと、手を振りながら颯太に引きずられて行ってしまった。あとから安永さんたちもついていく。
「相変わらずもてるねえ、慎之介」
ゆっくり歩く私に合わせてくれながら、莉子ちゃんが笑った。
「慎君に迷惑かけちゃったかな、私。安永さんと勉強する約束あったみたいだし」
「ないない。あったら、慎之介が言うでしょう」
「そうかなあ」
話しながら歩きはじめたら、だんだんと足がズキズキ痛み出して考えがまとまらなくなってきた。
「足、やっぱり痛くなってきたかも……」
ぽつりと言ったら、萌ちゃんが支えるように私の腕をつかんでくれる。
「すり傷だから痛むのよね。早く保健室行きましょう」
冷たい風が吹く中、私たちは急いで保健室へとむかった。
☆
ひざの手当てをしてもらってから教室に向かうと、教室にはもうほとんどみんながそろっていた。
「おはよー」
「おはよ、莉子。今日はおそいんだね。美優ちゃん、おはよ」
「おはよー……って、菜月ちゃん?!」
莉子ちゃんに続いて教室に入った私は、目を丸くした。
「わあ、髪切ったんだ!」
金曜日に見た時は、あんなに長かった菜月ちゃんの髪が、ばっさりと肩のあたりまで短くなっている。
慎くんがあいさつを返すと、私と慎くんのあいだに入り込むように安永さんが立った。
安永さんは、すらりとした美人さんだ。頭もいいし人気もある。来年の児童会長は、安永さんか慎君になるだろうって言われている。
そんな二人が並ぶと、美男美女でそれはそれは豪華な組み合わせだ。
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「ごめん。今朝は僕、にわとり当番なんだ」
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少しとげのある言い方に、ひゅ、と息がつまる。
そうだねって言った方がいいのかな。痛いから無理って言った方がいいのかな。
何か言いたくても、喉が詰まって言葉が出てこない。
これが、莉子ちゃんや萌ちゃんなら言えるのに。
うつむいた私の代わりに、慎くんが答えた。
「僕が代わるって言ったんだよ。ばいきんが入ったりしたら大変だから、すぐ手当てしてもらった方がいいし。だから、今朝はごめん。またにしてくれる?」
「慎君、やさしー」
ちらりと私を見て、菊池さんが続ける。視線が痛い。
「うっせえな、慎がいいって言うからいいんだよ。てめえらには関係ないだろ」
乱暴に颯太が言って、慎くんの手を引っ張ると歩き始めた。
「ちょっと。まだ話してる途中じゃない」
「早く行かないと、時間なくなるんだよ。美優、さっさと保健室行けよ」
「あ、うん。ありがと。慎くんも、ありがと!」
慎くんは振り向いてにっこり笑うと、手を振りながら颯太に引きずられて行ってしまった。あとから安永さんたちもついていく。
「相変わらずもてるねえ、慎之介」
ゆっくり歩く私に合わせてくれながら、莉子ちゃんが笑った。
「慎君に迷惑かけちゃったかな、私。安永さんと勉強する約束あったみたいだし」
「ないない。あったら、慎之介が言うでしょう」
「そうかなあ」
話しながら歩きはじめたら、だんだんと足がズキズキ痛み出して考えがまとまらなくなってきた。
「足、やっぱり痛くなってきたかも……」
ぽつりと言ったら、萌ちゃんが支えるように私の腕をつかんでくれる。
「すり傷だから痛むのよね。早く保健室行きましょう」
冷たい風が吹く中、私たちは急いで保健室へとむかった。
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ひざの手当てをしてもらってから教室に向かうと、教室にはもうほとんどみんながそろっていた。
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「おはよ、莉子。今日はおそいんだね。美優ちゃん、おはよ」
「おはよー……って、菜月ちゃん?!」
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「わあ、髪切ったんだ!」
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