空色日記

そらまる

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空はどんな色?

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みんなには空はどんな色に見えてるんだろう。
どこを見ても真っ青なのかな。
それとも夕焼けのオレンジ色かな
もしかしたら、夜の暗闇なのかな...

そしてその空をどんな気持ちで見ているんだろう。
悲しい気持ち?
嬉しくて、楽しい気持ち?
それとも苦しくて助けを求めているの?

あなたの隣には誰がいますか?
家族?
友達?
将来を約束した大切な相手?

どんな気持ちでいても、誰と見ても空はいつも流れている。
私は嬉しいときも、悲しいときも、苦しいときも空を見てきた。
だって見てると落ち着くでしょ?
また明日も頑張ろうっていう気持ちになれる。
だから毎日頑張って生きてこれるんだ


「雫~?起きてる?」
カーテンの隙間から差し込める日に光と、下から聞こえる母の声で私の眠りは覚めた。
カーテンを開けると、雲一つ無い真っ青な空が広がっていた。
まるで「今日も頑張れ」とでも言っているかのように
私は制服に着替えて、家族が待っているであろうリビングに向かう。
家が古いこともあって、階段を下りるたびにミシッミシッといった音が響き渡る
「おはよう、雫」
忙しそうにキッチンでお弁当を作っているおかあさん。
「おはよ、寝すぎじゃないか?豚になるぞ」
座りながらスマホをいじって、嫌みを吐くお兄ちゃん。
「雫、もう少し早く起きれないのか?」
座って新聞を読むお父さん。
いつもの光景だな...
何も変わって無いことに安心している自分と、つまらないと残念がっている私がいる。
この気持ちはなんなんだろう...
「雫?どうかしたの?」
なにも答えずただたっているだけの私に心配したのか、こちらにかけよってくる
顔を覗きこんで「風邪かしら?」とおでこに手をあてる
少しひんやりしてすごく気持ちがいい
「大丈夫だよ?寝ぼけてるだけだよ(笑)」
「そう?しんどいなら言いなさいよ?」
「大丈夫だって(笑)」
「わかったわ..座ってご飯食べましょっ」
「は~い」
そうだ母は昔からすごく心配性だ。
少し熱が出ただけなのに病院につれてくし..
母の心配性は家族も呆れていた
私が椅子につくと同時に料理が全て並べられた。
パンにサラダにスープ。どれも美味しそうだな~
「いただきまーす!」
朝は時間があまり無いけれどみんなそれぞれのんびり食べている
会話も昨日何があったとか、今日の夜ご飯なにがいいだとかそんなことばかりだ。
まあ、普通一番だと人はいうけれど私はそんな風には思わない。
なぜならつまらないから。
寝て、起きて、食べて、しゃべって、学校行って、勉強して、帰って、寝る。
大体誰もがこれの繰り返しだろう。
でもこんなのでも生きていこうと思えるのは空があるから。
どこまでも続いているあの空があるからなんだ
「雫~社会のノート貸してくんね?」
「えーっなんで~」
「昨日、寝てて書けてないんだよ」
「も~、ちゃんと返してよ?」
兄とは双子で生まれてきたはずなんだけど、全く似てない。
性格も反対だし。
私は勉強できるほうだし、大人しい性格
兄は勉強じゃなく運動が出来て、活発な性格だ。
ここまで反対に生まれてくることがあるんだろうか?
「二人ともっそろそろ時間よ?」
「ほんとだ~!」
「やべっ早くいくぞ雫!」
「はいはいっ」
私たちは鞄をもって家を出た。
いつも私は兄の自転車で送ってもらっている
理由は1つだよ...歩くのがめんどくさいから。ただそれだけ
兄は最初は嫌がっていたが、だんだんとそれが習慣になっていった。
おかげで学校では仲良しカップルとまで噂されている
カップルじゃないのに...こんなのが彼氏だなんて。
なんていうと兄に殴られるから心のなかだけの内緒なんだけど(笑)
「お前太った?」
「はあ?人は誰だって太るでしょっ」
私は自転車をこぐ兄の背中を思いっきり叩いた
案外いい音なったので、スッキリした(笑)
「いってーなっ落とすぞ!」
「落としたら母さんに言いつけるから」
「なっ..お前」
兄の弱点は母だ。
どうやら昔物凄く怒られたらしくて、それから母は怖いらしい
何をして怒られたのかは教えてくれなかったけれど..
母の名を口にすると兄は必ずと言っても良いほど怯える
その姿を見るのはとてもしがすがしい
「ねえ~」
「なんだよ」
「兄ちゃんには空って何色に見える?」
不意に思ったんだ。
自分から見えてる空と他人から見えてる空は違うのかなって
そりゃあ青色だと思うけど。
すると兄からは意外な言葉が返ってきた
「普通は青って答えるよな~」
「だよね」
「でも俺は、虹色に見えるよ」
「虹色?」
「ああ。だって今は最高に楽しいから」
「そっか」
人は楽しいときに空を見ると虹色に見えるのかな?
私はゆっくりと空を見上げてみた
やっぱり見えるのは青色と雲の白。
でも、なぜかキラキラしていて虹色にみえる
不思議だな~。
「雫はさ?」
「うん」
「空って何色だと思う?」
「え?う~ん..」
兄からの唐突な質問に少しビックリしたけれど、想像してみた。
真っ白なキャンバスに私は何色を塗るだろうか
やっぱり青色?
夕焼け空のオレンジ?
暗闇に包まれてる空の黒?
色んな色が思い浮かんだけど私はあえてこう答えた。
「白...かな」
「白?なんでだよ?」
「だって、見るときの気持ちとか誰と見るかとかで色って変わるじゃない?
だから私は白だと思う。」
「なるほどな~」
なぜそんなことを私に聞いたのかは聞けなかった。
いや、聞きたくなかったんだ
なんでかはわかんないけど、そう思ってしまったの
それからはなにも話すことなく、学校に着いてしまった。
「帰るとき教室まで迎えに行くからな」
「りょーかい」
それからはいつもどうり授業を受け、友達としゃべって、兄とは一緒に帰った。
やっぱり学校は楽しくない。
友達と言ってもそんなに存在が大きいものでもない。
居ても居なくても同じだと思う。それぐらい存在が薄いもの。
私は自分の部屋に行き、一冊の買ったばかりのノートを取り出した
空の絵が印刷されている、可愛いノート。
この前一目惚れして買ったんだけど使わずにしまっておいたんだ
私はこのノートに日記をつけることにした。
高校を卒業するまでの後2年間。
嘘偽りなく本音を書いていこう
私は最初の1ページ目をめくった

5月24日

今日から日記をつけていく!
完成したら家族に見てもらおうと考えてる
私が体験したこと、思ったことを知ってもらいたいから。
だから...頑張ろうと思ってる。


私は見つからないように引き出しの奥にしまった。
まだ悲しい渡しかたになるとも知らずに。
しることができずに。
でも..少し予感していたのかもしれないけれど
私はそれを見ないようにしていたのかもしれない...
                                                                                                         続く
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