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第1章 出会い
飛んで火に入る夏の虫
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「これからどうすっかな……」
勢いよくパーティーを抜けたのはいいものの、魔王を倒すといった目標を失ったため、特に何をするかということが決まっていなかった。
「とりあえず近くの街に行くか……」
俺は〈探索〉の魔法を使い、人間の街――魔力が多い方角を探す。
結果、魔力源は目の前の道をまっすぐにあるそうだ。
確かこっちの方角は次に俺たちが目標としていた街の方角だな。
もしかすると、次の街であの勇者パーティーと再び出会うかもしれない……彼らが生きていればの話だが。
まぁ、生き延びることは可能だろう。いくら彼らが強くないといえど、弱いわけではない。どちらかというと、強い部類に入ってしまう。残念なことに。
だから、次の街で出会ってしまうのは避けられないだろう。俺が早く街を出れば問題ないだろうが、あの短時間で俺が必要だと気づかれたら面倒だ。
そこまでの頭はないと信じたいが、念には念を入れて、早めに街を出ることにしよう。
「しかし、何もないなぁ。魔物の一匹ぐらい、出てきてくれてもいいのに」
俺はこの時点で少し苛ついていた。あのパーティーに思い入れがなかったとはいえ、あのような待遇を受けたのだ。
いかに俺が冷静に対処しようとしても、俺の深層意識は思うようになってくれない。
気晴らしに一発、強力な魔法を打ちたかった。もちろん、何もいない状態でそんなことをすれば、ギルドから喝を入れられるのでごめんだ。
だから、運よく魔物が――
「きゃ――ッ! 助けて――ッ!」
突如、目の前を一人の少女が横切り、その後ろを狼の魔物が追いかけていたのだ。
その光景を見て一言……
「……獲物、発見」
「きゃ――ッ! 助けて――ッ!」
私は今まで出したことのないような大きな声を出していた。
理由は単純だ。今、私の後ろには……
「グルワァッ!」
「もう来ないで~!」
狼の魔物――それもかなり大きなサイズのものが涎を垂らしながら追いかけてきていたのだ。
恐らく、私のことを餌か何かだろ思ってるんだろう。
「どうしてウインドウルフがいるのよッ!」
私は思わず叫んでいた。
ウインドウルフはこの辺りでは出現しない魔物のはずであったが、何かの間違いでこの森に迷い込んだらしい。
ここでは比較的、弱い魔物しかいない……らしい。だからこそ、私は親の反対を乗り切って、ここに来たのに……
「全然安全じゃないじゃないッ! ふぇ――?」
急に体が軽くなる感覚を覚える。
この感覚は知っている。それはもう、ついさっきまで空を飛んでいたのだ。それと同じだ。
つまり、私は今、地面に足をつけていない。そう、木の根っこにつまずいてしまったのだ。
「ぶへ――ッ!」
すると見事、私は受け身を取ることができないまま、地面に倒れ込んでしまったのだ。
顔、体全身に走る痛み。だが、私にそんなことを気にする余裕はなく、慌ててウインドウルフの方に振り返る。
「グルルル……」
ウインドウルフは荒く鼻息を立てて、ゆっくりと私を追い詰めるように歩いてくる。
十分に襲える距離がいるのに、すぐには襲ってこないのは、私の頭と背中にあるものがあるからだろう。
それがなければ、ウインドウルフは迷わず私を襲っていたはずだ。
しかし、それも大して意味はなかった。
私を襲うことを決めたウインドウルフは短く吠えて、私に飛びかかってきた。
もう駄目だろうと体を強ばらせた瞬間――
「ギャウン――ッ!」
「…………え?」
そこで私はあり得ないものを見てしまった。
勢いよくパーティーを抜けたのはいいものの、魔王を倒すといった目標を失ったため、特に何をするかということが決まっていなかった。
「とりあえず近くの街に行くか……」
俺は〈探索〉の魔法を使い、人間の街――魔力が多い方角を探す。
結果、魔力源は目の前の道をまっすぐにあるそうだ。
確かこっちの方角は次に俺たちが目標としていた街の方角だな。
もしかすると、次の街であの勇者パーティーと再び出会うかもしれない……彼らが生きていればの話だが。
まぁ、生き延びることは可能だろう。いくら彼らが強くないといえど、弱いわけではない。どちらかというと、強い部類に入ってしまう。残念なことに。
だから、次の街で出会ってしまうのは避けられないだろう。俺が早く街を出れば問題ないだろうが、あの短時間で俺が必要だと気づかれたら面倒だ。
そこまでの頭はないと信じたいが、念には念を入れて、早めに街を出ることにしよう。
「しかし、何もないなぁ。魔物の一匹ぐらい、出てきてくれてもいいのに」
俺はこの時点で少し苛ついていた。あのパーティーに思い入れがなかったとはいえ、あのような待遇を受けたのだ。
いかに俺が冷静に対処しようとしても、俺の深層意識は思うようになってくれない。
気晴らしに一発、強力な魔法を打ちたかった。もちろん、何もいない状態でそんなことをすれば、ギルドから喝を入れられるのでごめんだ。
だから、運よく魔物が――
「きゃ――ッ! 助けて――ッ!」
突如、目の前を一人の少女が横切り、その後ろを狼の魔物が追いかけていたのだ。
その光景を見て一言……
「……獲物、発見」
「きゃ――ッ! 助けて――ッ!」
私は今まで出したことのないような大きな声を出していた。
理由は単純だ。今、私の後ろには……
「グルワァッ!」
「もう来ないで~!」
狼の魔物――それもかなり大きなサイズのものが涎を垂らしながら追いかけてきていたのだ。
恐らく、私のことを餌か何かだろ思ってるんだろう。
「どうしてウインドウルフがいるのよッ!」
私は思わず叫んでいた。
ウインドウルフはこの辺りでは出現しない魔物のはずであったが、何かの間違いでこの森に迷い込んだらしい。
ここでは比較的、弱い魔物しかいない……らしい。だからこそ、私は親の反対を乗り切って、ここに来たのに……
「全然安全じゃないじゃないッ! ふぇ――?」
急に体が軽くなる感覚を覚える。
この感覚は知っている。それはもう、ついさっきまで空を飛んでいたのだ。それと同じだ。
つまり、私は今、地面に足をつけていない。そう、木の根っこにつまずいてしまったのだ。
「ぶへ――ッ!」
すると見事、私は受け身を取ることができないまま、地面に倒れ込んでしまったのだ。
顔、体全身に走る痛み。だが、私にそんなことを気にする余裕はなく、慌ててウインドウルフの方に振り返る。
「グルルル……」
ウインドウルフは荒く鼻息を立てて、ゆっくりと私を追い詰めるように歩いてくる。
十分に襲える距離がいるのに、すぐには襲ってこないのは、私の頭と背中にあるものがあるからだろう。
それがなければ、ウインドウルフは迷わず私を襲っていたはずだ。
しかし、それも大して意味はなかった。
私を襲うことを決めたウインドウルフは短く吠えて、私に飛びかかってきた。
もう駄目だろうと体を強ばらせた瞬間――
「ギャウン――ッ!」
「…………え?」
そこで私はあり得ないものを見てしまった。
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