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第1章 出会い
閑話3 せいけんエクスカリバー
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正直言って、あの後から会話らしい会話は起こらなかった。理由はいわずとも、平民であるアベルが混ざっているからだ。
俺は当然だか、他の女どもも貴族の人間で、得体の知れない平民であるアベルのことは簡単には受け入れることができなかった。特にセレナはアベルに馬鹿にされた(と思っている)ため、一切話そうとしなかった。
うむ、これは困ったな。別に個々の事情など、どうでもよかったが、この戦いは魔王を倒すための重要なものなのだ。ただ気に入らないという個人の理由だけで、崩壊させるわけには行かないのだ。
だから、俺はパーティーの雰囲気をよくするため、パーティーメンバー全員に対して、平等に接し始めたのだ。もちろん、アベルもだ……
だが、俺は知らなかった。この後、俺たちのパーティーが崩壊することを――
――1年後――
ははははははははっははははっははははははっはははははははは――――――ッ!
邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ――――――ッ!
どうやったら、あの邪魔者を消すことができる――ッ!? 殺すか!? コロスか――ッ!? ははははっはははっはははっははっはははははははっはっはははははっは――――――――――ッ!
追い出すか。追い出すか? いいねぇ、それ。ははっはっははっはっはははっはははっははははっははははあっはははははっはははっは――――――――ッ!
そうと決まればやろう。なあに、奴を追い出す手段などいくらでもある。まずは、あの女どもを味方につけるか。
あいつらは俺のことは嫌っていらず、むしろ、この長い旅で好意すら抱いてくれたと確信している。あの平民を追い出すと言ったら、喜んで味方してくれるだろう。くっくっく……奴の驚く顔が楽しみだな!
そうとなれば、早速あいつらを、俺のせいけんでひれ伏せてやろうじゃないか――ッ!
――さらに数か月後――
ついにこの時がやってきた。あいつを追い出す時が。
俺はこの数か月で、女どもを全員虜にしてやった。流石はせいけんエクスカリバー。その威力は伊達ではなかった。あの刺々しかったエリスでさえ、せいけんエクスカリバーで一突きしてやれば、一瞬で俺の下僕となった。ふん! 他愛のない奴め!
他の女どもは、もっと張り合いがなかった。特にミアに関しては、待ってましたといわんばかりの表情だった。ふん! ビッチめ!
セレナは……知らん。あんな年増。自分から迫ってきても無視してやった。
まぁ、そんなことがあったが、俺はやっと準備を整えることができたのだ。これでようやく、あの邪魔者を追い出すことができたのだッ!
あいつの顔が歪んでなかったのが気に食わなかったが、これで俺の野望がかなったのだ!
はははッははっははははっははははっははははっはははっはっははっははははっはははっははははははっははははははっははははははっはははははっはっはははは――――――――――――ッ!
そしてついに! ついに俺はやった! あの邪魔だった平民を追い出すことができた! これでやっと、この女どもを好きにできる! ハハッハハハハハッはははハハハハハハッハハハッハハハハハハハハハハハハハハハっハハハハハっハハハハハはっハハハハハはっハハハハハハハッハハハハハっはハハハハハハハハハハハハッハハハハハは――――――――――――――――――――ッ!
……あれ? 俺って何のために旅をしてたんだっけ? ま、いっか。
「……失礼します」
「うむ、許可する」
部屋の外から、声が聞こえる。私はその者の入室を許可し、表情を他人と接するときのものに変えた。つまり、宰相の時の顔だ。
部屋に入ってきたのは、私より少し若い――私に仕える人間の一人であった。彼は若いながらも、私の数少ない信頼できる人物だ。
私とて、宰相である身だ。他人から狙われることは多々ある。まぁ、すべて返り討ちにするのだがな。そのたびに、私の護衛に叱られるのは気に食わないが。
「今日はどうした?」
「はっ! 今日は重要な報告が……」
そう言って、彼は懐から一枚の紙を出す。声には出さない。つまり、私がアベルにつけた監視からのものだろう。このことは当然、私と私の信頼の置ける者しか知らない。当然、王も知らない。
私は彼から報告書を受け取り、その中身を確認する。その中身は……
「ほう……」
報告書の中身は、勇者パーティーからアベルが抜けたことだった。そして、アベル追放を行ったのが、勇者パーティーのリーダーであるギルバートということであった。
「ついにやりおったか。まぁ、仕方ないか。あの聖剣エクス……いや、魔剣エクスカリバーに憑りつかれたのだから――」
はぁ、と私はため息をついた。本当に自分の予想が当たってしまったことを悔やむように――
この聖剣エクスカリバー。一般では、魔王を倒した伝説の剣と言われているが、実際にそれだけではない。
確かに魔王を倒したことは事実だ。だが、その魔王を倒した際に、その聖剣は呪われてしまったのだ。その呪いこそが、性剣化だ。文字通り、性剣エクスカリバーとなるのだ。
ちなみに、ギルバートの性剣は親指ほどの大きさだったようだ…………ブフ――ッ! ちっさ!
倒された魔王は色欲の王と呼ばれる淫魔族だったのだ。彼? 彼女? が最後に放った呪いは、精力を爆発的に上げるというものであった。精力だけであればよかった。だが、そうではなかった。
そもそも精力の定義が曖昧だったのだ。ここからは性的欲求と言い直そう。
性的欲求の満たし方は人それぞれだ。単に性行為をだけで済ます者もいれば――大体の者がそうだな。他に犯罪を犯したり、人を殺したりすることで、性的欲求を満たす者もいるらしい。曰く、人を殺したときの高揚感が性行為で果てたときの快感と同じらしい。
ギルバートの場合は、平民であるアベルがいたことで、ムズムズとしていたのだろう。性行為であれば、イカされる寸前でずっと止められている状態だ。性剣の後押しがあれば、果てたいと思う気持ちを抑えることはできないだろう。
彼はアベルを追放した優越感に浸ることで、性的欲求を満たしたのだ。本人にその気がなくとも、実際にそうなったのだから、性剣は見事に役目を果たしたのだった。
「だから、やめるべきだといったのに……」
当然、王族や偉い人間は、この件の存在を知っていた。私はやめるべき言ったのだが、彼らは誰一人、私の言葉に耳を傾けなかったのだ。王でさえも。
王はこの後のことを考えず、目先のこと――魔王を倒すことばかりを考えていたのだ。呪いのことも、意思がしっかりしている貴族であれば大丈夫だと、私の考えを否定したのだ。その結果がこれだ。
全く、この魔王討伐は、アベルがいてこそ成しえることができるのに――
「あぁ、リーゼロッテ。すまないなぁ……」
私はかつて、娘のようにかわいがっていた子のことを思い出す。
彼女はこの国の王族であり、王位継承権も第一位と約束された将来があった。だが、彼女は平民の騎士と恋に落ち、そのまま駆け落ちしたのだ。
そして、彼女は子供を身ごもった。わかるだろう? その子供がアベルだ。
リーゼロッテはアベルを生んだ後、そのまま……
自由にやってますけどね! それも、現在進行形ですよッ!
リーゼロッテの結婚自体、反対はされなかったよ! むしろ、可愛い娘のことだから、前国王も喜んで賛成していたよ! だって、不出来な息子に王位を継がせたくないだろ!? それが今の国の現状だから! あのバカ息子が国を継いだせいで、私が大変な思いをしているんだ!
だが、リーゼロッテは誰の手にも負えないやんちゃっ子。それも、天才と呼ばれる部類の。しかも、それが無自覚ときたものだ。彼女は自分の行動が普通のものと思っており、なんでもやらかすのだ。
確かにやっていることは普通なのだが、規模が違う。試験で初級魔法を使えと言ったのに、最上級魔法並の魔法を撃って校舎を破壊したし、魔導士という魔法を極める天才どもですら解けなかった問題を、さも当然かのように解きやがった。その時の魔導士たちの顔を今でも忘れない。
そして、彼女はやらかした。結婚式の前、彼女はその男と駆け落ちした。一枚の置手紙を残して。
全員が焦った。誰もが認めていた結婚式だ。どこに不満があった! などと騒ぎ立てながら、その手紙を読んだ。
――王族なんて面倒くさい。冒険者になります――
全員がポカーンとした。私もだ。
…………はぁ――ッ!? 何言ってんだコイツ!?
……こうして彼女は冒険者になった。そして、今でも現役で活躍している。ランク? もちろんSランクですよ? 逆に、あれ以上の化け物なんて存在しませんよ?
……まぁ、リーゼロッテの回想はこれで終わらせよう。で、問題はアベルだ。あの子は見事にリーゼロッテの血を受け継ぎやがった。それも、リーゼロッテ以上の力を持って。
私はなんとかして、アベルに教え込んだよ。リーゼロッテの二の舞にならないように。多分、無駄だったけど。だって彼、学園で貴族をフルボッコにしたもん。やっぱりリーゼロッテの息子だ。やってることが非常識だ。
彼曰く、お父さんから売られた喧嘩は買えって言われたって。あの父親も原因だったわ。やっちまったなぁ。
余談だが、リーゼロッテの子供がアベルだと知っている人間は少ない。だから、今まで平民として過ごすことができたのだ。
魔王討伐の際、私はアベルが自分の力を思う存分発揮できると思い、彼を推薦した。アベルなら突破できるだろうと。もちろん、突破できたよ。一人の貴族の息子が再起不能になったが。ご愁傷さまです。
そして、このざまだ。追放だと。何してんの?
「はぁ、書類、面倒くさいなぁ……」
「……頑張ってください」
他の人がいることも忘れて、私の仮面は剥がれていたのだった。はぁ、宰相やめようかなぁ……?
――――――――――――――――――――――――
これで一応、最低限まで書きたいとこまで書いたので、次回から二章に入ります。この話の細かいところは後々に追加する予定です。
ついでにお気に入りが1000超えました! ありがとうございます!
俺は当然だか、他の女どもも貴族の人間で、得体の知れない平民であるアベルのことは簡単には受け入れることができなかった。特にセレナはアベルに馬鹿にされた(と思っている)ため、一切話そうとしなかった。
うむ、これは困ったな。別に個々の事情など、どうでもよかったが、この戦いは魔王を倒すための重要なものなのだ。ただ気に入らないという個人の理由だけで、崩壊させるわけには行かないのだ。
だから、俺はパーティーの雰囲気をよくするため、パーティーメンバー全員に対して、平等に接し始めたのだ。もちろん、アベルもだ……
だが、俺は知らなかった。この後、俺たちのパーティーが崩壊することを――
――1年後――
ははははははははっははははっははははははっはははははははは――――――ッ!
邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ――――――ッ!
どうやったら、あの邪魔者を消すことができる――ッ!? 殺すか!? コロスか――ッ!? ははははっはははっはははっははっはははははははっはっはははははっは――――――――――ッ!
追い出すか。追い出すか? いいねぇ、それ。ははっはっははっはっはははっはははっははははっははははあっはははははっはははっは――――――――ッ!
そうと決まればやろう。なあに、奴を追い出す手段などいくらでもある。まずは、あの女どもを味方につけるか。
あいつらは俺のことは嫌っていらず、むしろ、この長い旅で好意すら抱いてくれたと確信している。あの平民を追い出すと言ったら、喜んで味方してくれるだろう。くっくっく……奴の驚く顔が楽しみだな!
そうとなれば、早速あいつらを、俺のせいけんでひれ伏せてやろうじゃないか――ッ!
――さらに数か月後――
ついにこの時がやってきた。あいつを追い出す時が。
俺はこの数か月で、女どもを全員虜にしてやった。流石はせいけんエクスカリバー。その威力は伊達ではなかった。あの刺々しかったエリスでさえ、せいけんエクスカリバーで一突きしてやれば、一瞬で俺の下僕となった。ふん! 他愛のない奴め!
他の女どもは、もっと張り合いがなかった。特にミアに関しては、待ってましたといわんばかりの表情だった。ふん! ビッチめ!
セレナは……知らん。あんな年増。自分から迫ってきても無視してやった。
まぁ、そんなことがあったが、俺はやっと準備を整えることができたのだ。これでようやく、あの邪魔者を追い出すことができたのだッ!
あいつの顔が歪んでなかったのが気に食わなかったが、これで俺の野望がかなったのだ!
はははッははっははははっははははっははははっはははっはっははっははははっはははっははははははっははははははっははははははっはははははっはっはははは――――――――――――ッ!
そしてついに! ついに俺はやった! あの邪魔だった平民を追い出すことができた! これでやっと、この女どもを好きにできる! ハハッハハハハハッはははハハハハハハッハハハッハハハハハハハハハハハハハハハっハハハハハっハハハハハはっハハハハハはっハハハハハハハッハハハハハっはハハハハハハハハハハハハッハハハハハは――――――――――――――――――――ッ!
……あれ? 俺って何のために旅をしてたんだっけ? ま、いっか。
「……失礼します」
「うむ、許可する」
部屋の外から、声が聞こえる。私はその者の入室を許可し、表情を他人と接するときのものに変えた。つまり、宰相の時の顔だ。
部屋に入ってきたのは、私より少し若い――私に仕える人間の一人であった。彼は若いながらも、私の数少ない信頼できる人物だ。
私とて、宰相である身だ。他人から狙われることは多々ある。まぁ、すべて返り討ちにするのだがな。そのたびに、私の護衛に叱られるのは気に食わないが。
「今日はどうした?」
「はっ! 今日は重要な報告が……」
そう言って、彼は懐から一枚の紙を出す。声には出さない。つまり、私がアベルにつけた監視からのものだろう。このことは当然、私と私の信頼の置ける者しか知らない。当然、王も知らない。
私は彼から報告書を受け取り、その中身を確認する。その中身は……
「ほう……」
報告書の中身は、勇者パーティーからアベルが抜けたことだった。そして、アベル追放を行ったのが、勇者パーティーのリーダーであるギルバートということであった。
「ついにやりおったか。まぁ、仕方ないか。あの聖剣エクス……いや、魔剣エクスカリバーに憑りつかれたのだから――」
はぁ、と私はため息をついた。本当に自分の予想が当たってしまったことを悔やむように――
この聖剣エクスカリバー。一般では、魔王を倒した伝説の剣と言われているが、実際にそれだけではない。
確かに魔王を倒したことは事実だ。だが、その魔王を倒した際に、その聖剣は呪われてしまったのだ。その呪いこそが、性剣化だ。文字通り、性剣エクスカリバーとなるのだ。
ちなみに、ギルバートの性剣は親指ほどの大きさだったようだ…………ブフ――ッ! ちっさ!
倒された魔王は色欲の王と呼ばれる淫魔族だったのだ。彼? 彼女? が最後に放った呪いは、精力を爆発的に上げるというものであった。精力だけであればよかった。だが、そうではなかった。
そもそも精力の定義が曖昧だったのだ。ここからは性的欲求と言い直そう。
性的欲求の満たし方は人それぞれだ。単に性行為をだけで済ます者もいれば――大体の者がそうだな。他に犯罪を犯したり、人を殺したりすることで、性的欲求を満たす者もいるらしい。曰く、人を殺したときの高揚感が性行為で果てたときの快感と同じらしい。
ギルバートの場合は、平民であるアベルがいたことで、ムズムズとしていたのだろう。性行為であれば、イカされる寸前でずっと止められている状態だ。性剣の後押しがあれば、果てたいと思う気持ちを抑えることはできないだろう。
彼はアベルを追放した優越感に浸ることで、性的欲求を満たしたのだ。本人にその気がなくとも、実際にそうなったのだから、性剣は見事に役目を果たしたのだった。
「だから、やめるべきだといったのに……」
当然、王族や偉い人間は、この件の存在を知っていた。私はやめるべき言ったのだが、彼らは誰一人、私の言葉に耳を傾けなかったのだ。王でさえも。
王はこの後のことを考えず、目先のこと――魔王を倒すことばかりを考えていたのだ。呪いのことも、意思がしっかりしている貴族であれば大丈夫だと、私の考えを否定したのだ。その結果がこれだ。
全く、この魔王討伐は、アベルがいてこそ成しえることができるのに――
「あぁ、リーゼロッテ。すまないなぁ……」
私はかつて、娘のようにかわいがっていた子のことを思い出す。
彼女はこの国の王族であり、王位継承権も第一位と約束された将来があった。だが、彼女は平民の騎士と恋に落ち、そのまま駆け落ちしたのだ。
そして、彼女は子供を身ごもった。わかるだろう? その子供がアベルだ。
リーゼロッテはアベルを生んだ後、そのまま……
自由にやってますけどね! それも、現在進行形ですよッ!
リーゼロッテの結婚自体、反対はされなかったよ! むしろ、可愛い娘のことだから、前国王も喜んで賛成していたよ! だって、不出来な息子に王位を継がせたくないだろ!? それが今の国の現状だから! あのバカ息子が国を継いだせいで、私が大変な思いをしているんだ!
だが、リーゼロッテは誰の手にも負えないやんちゃっ子。それも、天才と呼ばれる部類の。しかも、それが無自覚ときたものだ。彼女は自分の行動が普通のものと思っており、なんでもやらかすのだ。
確かにやっていることは普通なのだが、規模が違う。試験で初級魔法を使えと言ったのに、最上級魔法並の魔法を撃って校舎を破壊したし、魔導士という魔法を極める天才どもですら解けなかった問題を、さも当然かのように解きやがった。その時の魔導士たちの顔を今でも忘れない。
そして、彼女はやらかした。結婚式の前、彼女はその男と駆け落ちした。一枚の置手紙を残して。
全員が焦った。誰もが認めていた結婚式だ。どこに不満があった! などと騒ぎ立てながら、その手紙を読んだ。
――王族なんて面倒くさい。冒険者になります――
全員がポカーンとした。私もだ。
…………はぁ――ッ!? 何言ってんだコイツ!?
……こうして彼女は冒険者になった。そして、今でも現役で活躍している。ランク? もちろんSランクですよ? 逆に、あれ以上の化け物なんて存在しませんよ?
……まぁ、リーゼロッテの回想はこれで終わらせよう。で、問題はアベルだ。あの子は見事にリーゼロッテの血を受け継ぎやがった。それも、リーゼロッテ以上の力を持って。
私はなんとかして、アベルに教え込んだよ。リーゼロッテの二の舞にならないように。多分、無駄だったけど。だって彼、学園で貴族をフルボッコにしたもん。やっぱりリーゼロッテの息子だ。やってることが非常識だ。
彼曰く、お父さんから売られた喧嘩は買えって言われたって。あの父親も原因だったわ。やっちまったなぁ。
余談だが、リーゼロッテの子供がアベルだと知っている人間は少ない。だから、今まで平民として過ごすことができたのだ。
魔王討伐の際、私はアベルが自分の力を思う存分発揮できると思い、彼を推薦した。アベルなら突破できるだろうと。もちろん、突破できたよ。一人の貴族の息子が再起不能になったが。ご愁傷さまです。
そして、このざまだ。追放だと。何してんの?
「はぁ、書類、面倒くさいなぁ……」
「……頑張ってください」
他の人がいることも忘れて、私の仮面は剥がれていたのだった。はぁ、宰相やめようかなぁ……?
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これで一応、最低限まで書きたいとこまで書いたので、次回から二章に入ります。この話の細かいところは後々に追加する予定です。
ついでにお気に入りが1000超えました! ありがとうございます!
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