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第1章 出会い
閑話2 出発
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結論から言うと、アベルは勝ち上がって、勇者パーティーの一席を手に入れたのだ。
他の者はアイツを見て、嫌な顔をしている。俺もそうだ。いくら実力があろうと、アイツは平民なのだ。貴族たちの不満を買うのは当然だった。
だが、以外にもアベルを擁護しようとしたのは、この国のナンバー2といっても過言ではない宰相であった。彼は奴を否定せず、むしろ好意的に接していた。その様子を見ていた貴族たちの機嫌はより一層悪くなった。
しかし、俺は不満に思うよりもまず、あの平民と宰相の繋がりが気になった。それは当然だろ? 普通は貴族と平民が接する機会など皆無に等しい。
あるとすれば、ギルドに依頼を出したときの依頼者が貴族だった場合、顔を見せるくらいしかない。だが、あの人は宰相だ。わざわざ素性の知れないギルドの人間に依頼を出すとも思えない。
なら、なぜ宰相はあんな奴といるんだ――?
いくら考えてもわからなかった。仕方ない。考えるのは諦めよう。どうせ無駄だ。
俺は視線をアベルたちから外し、他の勝ち上がったメンバーに目を付けた。
こちらは俺の予想通り、全員が貴族だった。だが、意外だったのが、勝ち上がってきた人間が全員女だということだった。
一人目は剣士のエリスという女だ。彼女は赤い髪を後ろでまとめた、いわゆるポニーテールという髪形をしていた。
第一印象は勝気な女。我が強そうな女だ。あんな感じの女は面倒くさい奴らばかりだ。彼女も例外ではないだろう。はぁ……関わりたくないな。それが俺の思ったことだった。
だが、こういう奴に限って関わるんだよなぁ……運命って残酷だ。
二人目はセレナという青い長髪の女だ。彼女の役職はなんと、あの平民と同じ魔術師らしい。だが、彼女のほうが本来あるべき魔術師の姿だ。魔法を使い、遠距離から相手を攻める――俺と相性のよさそうな女だった。
心なしか、歳も俺とあまり変わらないような気がする。それか、俺よりも少し年上――と思いかけたところで、セレナに睨めつけられた。
こ、怖ぇ……これが女の感か。これから気を付けよう。
そして、最後の三人目だ。正直、俺はこの子が一番かわいいと思う。
彼女の名はミア。勇者の俺のパートナーとなる聖女の役職を与えられた女だった。
今回、勇者パーティーに属するために戦いがあったが、聖女だけは例外で、別の方法で審査があったらしい。俺は知らないが、その審査もなかなかつらいものだったらしい。風の噂だが。
彼女は髪を肩まで伸ばしたセミロングで、一番背が低いにもかかわらず、体つきは一番良かった。どこがとは言わない。また睨めつけられるからな。
それで、残りがあの平民魔術師のアベルだ。アイツはこの国では珍しい黒眼黒髪を持っていた。髪も男にしては少し長いという程度で、特に目立ったものではなかった。
そして、重要な顔だ。一言でいうと――平凡だ。なんの特徴もない。不細工というわけでもない。本当に何もない。
悪い点を挙げろと言われても答えられず、かといって、いい点を挙げろと言われても答えられない。そのような顔だ。←(どんな顔だ)
まぁ、パーティーメンバーを言い表すと
イケメン(俺)美女(エリス、セレナ)美少女(ミア)なにこれ? (平民)
といった感じだな。
パーティーメンバーが選ばれてからは早かった。勝ち上がった俺たちはまとめて別室に呼ばれ、これからのことを告げられた。
まず最初に行われたのは武器の継承だ。俺は当然、勇者ということで、魔王を倒したとされる伝説の剣――せいけんエクスカリバーが授けられた。金色に輝く刀身はまさに勇者たる俺にふさわしかった。
次に剣士のエリスだ。彼女には剣こそ与えられなかったが、勇者を守る盾として、名は知らないが、そこそこ質のよさそうな盾をもらっていた。
聖女であるミアには、人々の願いがこもっているといわれているアミュレットが渡された。
で、残る問題なのだが、魔術師枠――ようするに、伝説の英雄が使ったといわれる杖だな。これをセレナか平民のどちらに与えるかが問題になった。
俺は正直、貴族の身として、杖はせレアに与えるべきだと考えていた。ほかの人間も同様のようであった。残るはアベルの反応なのだが――
「別にいい」
受け取らなかったのだ。あの伝説といわれた杖をだ。魔術師ならば、誰でも欲しいものではないのか!?
「たかが武器一つで俺の実力が変わるわけじゃないからな」
と生意気なことを言った。それに俺は少しムカッとした。杖を受け取ったセレナは顔を真っ赤にして、アベルを睨めつける。
やれやれといった表情で、同じ部屋にいた宰相が頭を押さえる。もうどうにでもなれっていった表情だ。本当にこの二人の関係は何なんだ……?
またしても、俺の疑問は解決されず、ギクシャクした空気のまま、魔王討伐の旅に出たのであった。
ギクシャクしている理由はわかるよな? あの平民が言った言葉のせいだ。
――――――――――――――――――――――――――――
忙しくて、更新があいてしまってすいません!
他の者はアイツを見て、嫌な顔をしている。俺もそうだ。いくら実力があろうと、アイツは平民なのだ。貴族たちの不満を買うのは当然だった。
だが、以外にもアベルを擁護しようとしたのは、この国のナンバー2といっても過言ではない宰相であった。彼は奴を否定せず、むしろ好意的に接していた。その様子を見ていた貴族たちの機嫌はより一層悪くなった。
しかし、俺は不満に思うよりもまず、あの平民と宰相の繋がりが気になった。それは当然だろ? 普通は貴族と平民が接する機会など皆無に等しい。
あるとすれば、ギルドに依頼を出したときの依頼者が貴族だった場合、顔を見せるくらいしかない。だが、あの人は宰相だ。わざわざ素性の知れないギルドの人間に依頼を出すとも思えない。
なら、なぜ宰相はあんな奴といるんだ――?
いくら考えてもわからなかった。仕方ない。考えるのは諦めよう。どうせ無駄だ。
俺は視線をアベルたちから外し、他の勝ち上がったメンバーに目を付けた。
こちらは俺の予想通り、全員が貴族だった。だが、意外だったのが、勝ち上がってきた人間が全員女だということだった。
一人目は剣士のエリスという女だ。彼女は赤い髪を後ろでまとめた、いわゆるポニーテールという髪形をしていた。
第一印象は勝気な女。我が強そうな女だ。あんな感じの女は面倒くさい奴らばかりだ。彼女も例外ではないだろう。はぁ……関わりたくないな。それが俺の思ったことだった。
だが、こういう奴に限って関わるんだよなぁ……運命って残酷だ。
二人目はセレナという青い長髪の女だ。彼女の役職はなんと、あの平民と同じ魔術師らしい。だが、彼女のほうが本来あるべき魔術師の姿だ。魔法を使い、遠距離から相手を攻める――俺と相性のよさそうな女だった。
心なしか、歳も俺とあまり変わらないような気がする。それか、俺よりも少し年上――と思いかけたところで、セレナに睨めつけられた。
こ、怖ぇ……これが女の感か。これから気を付けよう。
そして、最後の三人目だ。正直、俺はこの子が一番かわいいと思う。
彼女の名はミア。勇者の俺のパートナーとなる聖女の役職を与えられた女だった。
今回、勇者パーティーに属するために戦いがあったが、聖女だけは例外で、別の方法で審査があったらしい。俺は知らないが、その審査もなかなかつらいものだったらしい。風の噂だが。
彼女は髪を肩まで伸ばしたセミロングで、一番背が低いにもかかわらず、体つきは一番良かった。どこがとは言わない。また睨めつけられるからな。
それで、残りがあの平民魔術師のアベルだ。アイツはこの国では珍しい黒眼黒髪を持っていた。髪も男にしては少し長いという程度で、特に目立ったものではなかった。
そして、重要な顔だ。一言でいうと――平凡だ。なんの特徴もない。不細工というわけでもない。本当に何もない。
悪い点を挙げろと言われても答えられず、かといって、いい点を挙げろと言われても答えられない。そのような顔だ。←(どんな顔だ)
まぁ、パーティーメンバーを言い表すと
イケメン(俺)美女(エリス、セレナ)美少女(ミア)なにこれ? (平民)
といった感じだな。
パーティーメンバーが選ばれてからは早かった。勝ち上がった俺たちはまとめて別室に呼ばれ、これからのことを告げられた。
まず最初に行われたのは武器の継承だ。俺は当然、勇者ということで、魔王を倒したとされる伝説の剣――せいけんエクスカリバーが授けられた。金色に輝く刀身はまさに勇者たる俺にふさわしかった。
次に剣士のエリスだ。彼女には剣こそ与えられなかったが、勇者を守る盾として、名は知らないが、そこそこ質のよさそうな盾をもらっていた。
聖女であるミアには、人々の願いがこもっているといわれているアミュレットが渡された。
で、残る問題なのだが、魔術師枠――ようするに、伝説の英雄が使ったといわれる杖だな。これをセレナか平民のどちらに与えるかが問題になった。
俺は正直、貴族の身として、杖はせレアに与えるべきだと考えていた。ほかの人間も同様のようであった。残るはアベルの反応なのだが――
「別にいい」
受け取らなかったのだ。あの伝説といわれた杖をだ。魔術師ならば、誰でも欲しいものではないのか!?
「たかが武器一つで俺の実力が変わるわけじゃないからな」
と生意気なことを言った。それに俺は少しムカッとした。杖を受け取ったセレナは顔を真っ赤にして、アベルを睨めつける。
やれやれといった表情で、同じ部屋にいた宰相が頭を押さえる。もうどうにでもなれっていった表情だ。本当にこの二人の関係は何なんだ……?
またしても、俺の疑問は解決されず、ギクシャクした空気のまま、魔王討伐の旅に出たのであった。
ギクシャクしている理由はわかるよな? あの平民が言った言葉のせいだ。
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