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地下室の狼
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結局、金城先輩につけられた痕は水で流しても布で拭いても取れなかった。
仕方なく痕に絆創膏をつけそのまま学校へ向かった。
ガラッ
「ゆきおはよー!どうしたの?その首にある絆創膏」
「ちょっと虫に刺されちゃって」
「そうなんだ」
虫に刺されたと称してなんとか誤魔化す。
「真奈、ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
「なーに?」
「あのさ、男の子が好きな女子につける痕って何?」
「そりゃあ、キスマークでしょ!自分の物だって証だよ。それがどうかしたの?」
「い、いや何でもない!ただ気になっただけだから」
「そう?」
返ってきた答えにビックリしすぎて声が裏返る。
キスマークって…あのキスマーク?!
なんてものつけてくれてんだ、あの黒王子は!
今度、あの黒王子の下で仕事する時は一発ぶん殴る。絶対に。
昼休みに入りいつものように真奈と教室で食べていると気になった話がとんできた。
「ねぇ、ゆき…あの話知ってる?」
「あの話?」
「使われていない地下室で誰かがギターを弾いているって話」
「どういう事?」
「元はね、音楽室だったんだけど新しく出来た校舎に音楽室が移動になって地下室はただの物置になって誰も近づかなくなったんだけど今年に入って地下室で誰かがギターを弾いているって噂になったの」
「誰か分からないの?」
「怖いから誰も近づかないって噂だから誰が弾いてるか誰も知らないと思うよ」
「そうなんだ」
「興味あるんだったら、これからみにいってみれば?私も行きたいけど部活の先輩にこれから呼ばれてるから行けないけど…」
「うん、そうする。興味あるし」
「誰か分かったら教えてね!」
「うん、いってらっしゃい」
真奈と別れると噂の地下室へと向かった。
地下室への階段は薄暗くすぐにでも何か出てきそうな雰囲気のある場所だった。
地下室の扉に辿り着くと扉はコンクリートで作られており周りの壁一面もコンクリートに覆われていた。
思いきってドアノブに手をかけると壁の向こうからギターの音が聞こえてきた。
ほんとにギターの音だ…
はやく誰が弾いているのか気になってドアノブに手をかけそっと覗くとそこにはギターを片手に弾いているくせっ毛のある銀色の髪に黒い目をもつ同じ制服を着た少年だった。
どことなく生徒会長である金城先輩に似ている彼は覗いていた私を見るとあからさまに顔をしかめた。
「あの…どうして地下室でギター弾いてるの?それに、同じ制服着てるしここの学校の生徒だよね?」
「おまえに答える筋合いはない。俺にかまうな…どっか行け」
うわぁ…性格も金城先輩にそっくりだ…
「せっかくここまで来たのに、理由も聞かずにここから出ていくなんて出来ません。」
「ちっ…勝手にしろ」
彼はまたギターを持ち直し弾き始めた。
中に入ると防音室で固められた赤い部屋を見渡しクッション性のあるソファに腰を下ろした。
ギターを弾く彼は子供のような目でまるでギターと遊んでいるかのように楽しそうに弾いていた。
凄い…上手い…
圧巻される演奏に目を奪われていた私は、演奏が終わると同時にめいいっぱいの拍手をした。
パチパチパチ
拍手に気づいて振り返った彼は、汗で滴る髪が部屋に差すライトに照らされ綺麗な顔がさらに綺麗にみえた。
「凄い!綺麗な音がいっぱい響いて全身鳥肌で震えちゃったよ」
「そんなに凄かったか?」
「うん!」
その言葉にしかめていた顔に少しの笑顔がみえた。
「おまえも弾いてみるか?」
「え、でもギターなんて弾いたことないし…」
「教えてやるよ」
彼はギターを肩から下ろすと私の隣に座りギターを差し出した。
「初めはこうするんだ」
彼の手が私の指を取りギターの弦に当てる。
触れる指先と鼻の先にある顔に心臓が鳴り止まない。
まるで一秒が一時間に感じるような感覚にめまを感じているとそこに助け舟がでた。
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなるチャイムがなると彼は私の指から手を離しギターをケースに入れた。
「また弾きたかったらここに来たらいい。教えるくらいはしてやる」
バタン…
そう言い残し彼は地下室から出ていった。
まるで白銀の狼…
私の彼に対する第一印象だった…
仕方なく痕に絆創膏をつけそのまま学校へ向かった。
ガラッ
「ゆきおはよー!どうしたの?その首にある絆創膏」
「ちょっと虫に刺されちゃって」
「そうなんだ」
虫に刺されたと称してなんとか誤魔化す。
「真奈、ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
「なーに?」
「あのさ、男の子が好きな女子につける痕って何?」
「そりゃあ、キスマークでしょ!自分の物だって証だよ。それがどうかしたの?」
「い、いや何でもない!ただ気になっただけだから」
「そう?」
返ってきた答えにビックリしすぎて声が裏返る。
キスマークって…あのキスマーク?!
なんてものつけてくれてんだ、あの黒王子は!
今度、あの黒王子の下で仕事する時は一発ぶん殴る。絶対に。
昼休みに入りいつものように真奈と教室で食べていると気になった話がとんできた。
「ねぇ、ゆき…あの話知ってる?」
「あの話?」
「使われていない地下室で誰かがギターを弾いているって話」
「どういう事?」
「元はね、音楽室だったんだけど新しく出来た校舎に音楽室が移動になって地下室はただの物置になって誰も近づかなくなったんだけど今年に入って地下室で誰かがギターを弾いているって噂になったの」
「誰か分からないの?」
「怖いから誰も近づかないって噂だから誰が弾いてるか誰も知らないと思うよ」
「そうなんだ」
「興味あるんだったら、これからみにいってみれば?私も行きたいけど部活の先輩にこれから呼ばれてるから行けないけど…」
「うん、そうする。興味あるし」
「誰か分かったら教えてね!」
「うん、いってらっしゃい」
真奈と別れると噂の地下室へと向かった。
地下室への階段は薄暗くすぐにでも何か出てきそうな雰囲気のある場所だった。
地下室の扉に辿り着くと扉はコンクリートで作られており周りの壁一面もコンクリートに覆われていた。
思いきってドアノブに手をかけると壁の向こうからギターの音が聞こえてきた。
ほんとにギターの音だ…
はやく誰が弾いているのか気になってドアノブに手をかけそっと覗くとそこにはギターを片手に弾いているくせっ毛のある銀色の髪に黒い目をもつ同じ制服を着た少年だった。
どことなく生徒会長である金城先輩に似ている彼は覗いていた私を見るとあからさまに顔をしかめた。
「あの…どうして地下室でギター弾いてるの?それに、同じ制服着てるしここの学校の生徒だよね?」
「おまえに答える筋合いはない。俺にかまうな…どっか行け」
うわぁ…性格も金城先輩にそっくりだ…
「せっかくここまで来たのに、理由も聞かずにここから出ていくなんて出来ません。」
「ちっ…勝手にしろ」
彼はまたギターを持ち直し弾き始めた。
中に入ると防音室で固められた赤い部屋を見渡しクッション性のあるソファに腰を下ろした。
ギターを弾く彼は子供のような目でまるでギターと遊んでいるかのように楽しそうに弾いていた。
凄い…上手い…
圧巻される演奏に目を奪われていた私は、演奏が終わると同時にめいいっぱいの拍手をした。
パチパチパチ
拍手に気づいて振り返った彼は、汗で滴る髪が部屋に差すライトに照らされ綺麗な顔がさらに綺麗にみえた。
「凄い!綺麗な音がいっぱい響いて全身鳥肌で震えちゃったよ」
「そんなに凄かったか?」
「うん!」
その言葉にしかめていた顔に少しの笑顔がみえた。
「おまえも弾いてみるか?」
「え、でもギターなんて弾いたことないし…」
「教えてやるよ」
彼はギターを肩から下ろすと私の隣に座りギターを差し出した。
「初めはこうするんだ」
彼の手が私の指を取りギターの弦に当てる。
触れる指先と鼻の先にある顔に心臓が鳴り止まない。
まるで一秒が一時間に感じるような感覚にめまを感じているとそこに助け舟がでた。
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなるチャイムがなると彼は私の指から手を離しギターをケースに入れた。
「また弾きたかったらここに来たらいい。教えるくらいはしてやる」
バタン…
そう言い残し彼は地下室から出ていった。
まるで白銀の狼…
私の彼に対する第一印象だった…
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