モブキャラCの私は乙女ゲーム世界で助言役を勝ち取りました

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二章 《林間合宿編》

揺れるヒロインの心〜甘い告白は熱を込めて

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「ねぇ、れ~くん…いい加減素直に従ったら?」

「それはりんりんの方でしょ?」

言い合いながら互いの手をにぎり合う国光 林檎と木通 檸檬の姿にその場にいる誰もが思っただろう…かと

「もうっ!二人とも言い合いしないでちゃんとお題に従わなきゃでしょ?」

ヒロインである星七 苺はほおふくらませると二人の目の前に”五分間ハグ”と書かれた紙を見せつけた。

「れ~くん、苺ちゃんの言う通りちゃんと従わなきゃでしょ?」

「りんりんこそ握る力弱めて素直に従いなよ?」

まさしく、火に油だな

苺の仲裁ちゅうさいが油となり更に火花散る二人に私は遠目で事の成り行きをただ見つめていく。

「じゃあ、俺がする」

「へ?うわっ!?」

木通 檸檬の背後から梅木 ライチの手が伸びそのまま抱きつくと肩にあごをのせほおを寄せた。

「っ~~~~!?ちょ、これはこれで流石さすがにヤバいんだけどっ!?」

その場にいる一同の視線がライチと檸檬にそそがれ中にはその光景に頬を赤くめる者までいる始末だ。

そりゃあヤバいのはヤバいだろうな…ある意味

「んー…安心する」

「安心するしないじゃなくて、お願いだから離れてっ!抱きつくならりんりんにお願い!」

「え、やだ。仮にも先輩なんだからそれくらい我慢がまんしなよ?」

「仮にもって…ちゃんと先輩だし!今にでも勘違かんちがいされそうなのにこれ以上されたら俺のきずき上げてきた地位が…っ」

「そんな地位あったけ~?あるとしたら女遊びの地位じゃん」

「ひどっ!?」

「ふふっ、ライくんはれ~くんに甘えたいだけだと思うよ?だから、少しこのまま我慢してあげて?ね?」

「…苺ちゃん」

苺に言われてはそれ以上反論も出来ず檸檬は五分間ほどライチに抱きつかれ続けたのだった。

これで赤・黄・紫・茶・橙・朱・白・青の八箱が終わり、残るはヒロインと攻略対象者が関係する緑と黒の二箱か……

「じゃあ、次は緑行くよ~!」

緑か…緑は確か………
 
「お題は”ひざ枕”!やる人は…」

「私、緑だよ!」

「…俺も」

嬉しそうに紙を見せ手を上げる苺を他所よそに戸惑いじりに紙を見せる梅木 ライチがいた。

「ライくんとひざ枕かぁ…少しずかしいけどよろしくね!」

「あ……うん」

もしかして、あまり乗り気ではないのか?

予想とは違いあまり乗り気でないような様子にいぶかしみながらも、ヒロインの言葉に否定はしない為流される様に椅子いすを使い横たわるとヒロインのひざの上に頭を乗せる梅木 ライチの姿に少しだけむねで下ろす。

「ふふっ、そんなに固まらなくてもいいのに。可愛いライく…あ!ごめんね、一応先輩なんだからライチ先輩って呼ばなきゃいけないのに…っ」

ライチ先輩って…名前呼びでも普通はまずいと思うのだが

「…ライでいい」

「え、でも…」

「苺にはそう呼ばれたい」

「っ……嬉しい」

んー…やっぱりヒロインなら何でも許すになるのかぁ…凄いなーヒロイン、さすがはヒロイン(棒読み)

周りを置いてけぼりにするほどに二人だけの空間になってしまった状況の中で、唯一ゆいつそれを打ちやぶる者がいた。

「あー!もうっ!ライチくんだけズルいよ!先生も苺ちゃんにひざ枕してもらいたいよー!!!」

そう、それはそれは空気の読めない二面性教師が

「棗先生、大人気ないですよ」

「好きに大人も子供も関係ないのですっ!」

あきれ気味に言う小豆に対し胸を張ってドヤ顔で言い放つ棗 杏子にヒロインだけは笑顔で手を差し伸べた。
 
「ライくんが終わった後ならいくらでもいいですよ」

「ほんとー?やったー!じゃあ、た~くさんしてもらおっと!」

「ふふっ、た~くさんしてあげます!」

二人して楽しそうに手をたたいて喜んでいると苺の膝の上にいたライチがばつが悪そうに口を開いた。

「じゃあ、俺はもういいや」

「え、でもまだ少ししかしてないのに…」

「その…もう少しこうしていたいのはあるけどこれ以上は…えっと……は、恥ずかしい」

「っ…ライくん」

耳まで真っ赤にして言うライチの姿にキュンときたらしいヒロインはあっさりと受け入れ甘いライチとのひざ枕は終わり棗 杏子をひざ枕する事にしたのだった。

まぁ、あんな風に言われたらヒロインじゃなくてもキュンとくるだろう……私はないが

「わ~い!苺ちゃんのひざ枕嬉しいな~!」
 
「もうっ!はしゃぎすぎですよ、棗先生」

「だって嬉しいんだも~ん!」

何故だろう?ヒロインが大人で棗 杏子が子供に見える

大の大人が生徒の膝の上ではしゃぐ姿に大人と子供が逆に見え頬が引きった。

「……あれ?先生これどうしたんですか?…赤くなってる」

棗 杏子の髪を撫でていた苺がふとわずかに赤くなっている耳を見つけ思わず疑問の声をらした。それもそのはずで、恥ずかしさや嬉しさで耳が赤いというわけでもなくまるで何かにみつかれたかのようなあとだったからだ。

「それは……」

ヒロインに何て答えるのか気になり棗 杏子を凝視ぎょうししているとふと視線があってしまった。 

ん…?

「クスッ………少し可愛い白猫に噛まれただけだよ」

な……っ!?

「白猫?いいな~!そんなに可愛い白猫なら私も噛まれてみたい!」

「ん~…可愛くてもうそつくし怒ったら毛を逆立てて威嚇いかくしてくるしさわらせてもらうのも大変だからおすすめはしないかな~」

ふざけんなっ!?嘘ついてるのはそっちじゃないか!天然よそおって裏は度の越えたヤンデレなくせに!それに怒らせるような事をする方が悪い!

「お姉様?何か嫌な事でもあったんですか?眉間みけんしわが寄っていますわ」

「へ?な、何でもないよ。少しイラッとしただけで」

「イラッと?」

「な、何でもない事でたまにイラッとしちゃったりする時があるというかないというか…」

「ふふふっ…」

っ…!?今すぐにでもヒロインの膝から引きづり落としてやりたいぐらいムカつくんだけど、あの二面教師っ!

慌ててココナに弁解する私を他所よそにヒロインの膝の上で楽しそうに笑う棗 杏子の姿が異常に腹正しくて仕方がなかった。

「先生?どうしたの?何か面白い事でも言った?」

「ん~ん、何でもないよ。あの白猫が威嚇してる姿を思い出したらつい面白くなっちゃって……ふふふっ」

「チッ…」

「あははははっ、やっぱり思い出し笑いって楽しいね…?」

ヒロインに答えつつしたを出してこちらを見る棗 杏子の行動に舌打ちをするだけでは怒りは収まらなかった。

「……コホンッ!そろそろ最後のお題にいきたいので、ひざ枕は後でやってもらってもよろしいでしょうか?」

中々、最後のお題までいきそうにない二人の雰囲気ふいんきにしびれを切らした小豆が止めるようにとうながすが止める気などないようで…

「え~…もう少しひざ枕したい~!!!」

「先生が我儘わがまま言わないで下さい!ひざ枕なら後でいくらでも苺にしてもらえばいいでしょ?」

「いくらでもしてあげたいのは山々なんだけど、やっぱりさすがに私の膝が持たなくなっちゃうかも…」

「じゃあ、私が代わりにするわ」

「え!?それはそれで先生がい…」

「私じゃ不満ですか?」

「いえっ!全然嬉しいです!!!」

するどい目付きで小豆ににらまれ慌てて飛び起きると首を横に振った。

「なら、早く最後のお題にいきますので大人しくしていて下さいね?」

「は、はいっ!!!」

目が笑っていない笑顔での小豆の言葉は表の棗 杏子にとっては恐怖効果があったらしい。

「はぁ~…では、改めて最後は黒いきま~す!お題は…………秘密暴露ばくろです。引いた二人にはそれぞれの秘密にしている事を暴露してもらいます!」

「”え!?”」

小豆の説明に生徒や教師全員の驚きの声が一同に漏れた。

そりゃあ、秘密暴露なんてもし自分だったらと思うと嫌でならないよね

「じゃあ、黒を引いた人~?前に出てきて」

「分かりました」

「う、うん」

「”えぇ!?”」

黒と書かれた紙を持つ星七 苺と柿本 蜜柑が前に出るやいなや先程よりはるかに高い驚きの声が響いた。

ゲーム通りなら柿本 蜜柑の秘密暴露の内容は分かるが……

不安気な顔で前に出るヒロインの顔を見つめ顔をしかめる。

……問題はヒロインの内容だ

ゲーム内では攻略する対象の一人を選びその人にそって好感度を上げるための言動を言うのだが、今回の”秘密暴露”のイベントもそもそもは一人の攻略対象者に向けて言うものだ。
だが、ヒロインは今までの行動や言動からして全員攻略ルートしか考えられない。全員攻略ルートでの”秘密暴露”イベントはその時点での好感度が低い攻略対象者に向けてのセリフになるのだが、ただのモブキャラの私が誰の好感度が一番低いなど分かるはずもない。だからこそヒロインが誰に向けてセリフを言うのか分からないのだ。

「じゃあ、まず私から言いましょうか…」

「えっ!?蜜柑先輩の秘密ってヤバいやつなんじゃ…」

「檸檬、人を勝手なイメージで言うのは許しませんよ?」

「す、すみませんでした」

にこやかな笑顔で制する蜜柑に威圧感を感じたのか直ぐにあやまった檸檬の顔は引き攣っていた。

「では、気を取り直して私の秘密は…」

蜜柑は言いながら視線をヒロインにうつすと戸惑うひとみを熱のこもった瞳で見つめ大切な物をいつくしむ様に笑みを向け続きを口にする。

「…あなたが愛おしい……ことですかね…?」

「っ…」

告白ともとれる甘くららせないほどの熱はヒロインをときめかせるには十分過ぎた。

私としてはゲーム通りなこの状況は嬉しい限りだけど、あいつは……

甘い空気…そして、戸惑いの空気が流れる中で一人視線を林の方へと逸らし悲しげな表情を見せる鳳梨 グアバへと目を向ける。

分かっていた…こうなる事くらい。あのヘタレ暴君が他人が見ても胸が痛いくらい悲しげな表情をする事が。でも、一番分かってしまうのは彼がこういう状況を目の当たりにする度にという事

「私は……」

少しの間が空きヒロインが蜜柑の言葉に口を開けた瞬間、グアバの肩が少しビクつきその場にいた全員が固唾かたずを飲んだ。




 

































































    
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