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………そう 自分を押し付けるようなことをしない人……だったはずなのに。
今、私は“彼の主張”の全てに拒む事を許されず頷かされていた。
甘い声で囁かれる私を求める言葉に私は首を横に振れないで、彼の体を弄る手を拒む事もできない。
“君が好き…ずっと好きだった”
“明日死ぬかもしれないんだから自分の思いくらい告げてもいいでしょ”
“もうこの世界にいるのは君と僕だけなんだから”
本来孤独な人間が遭難という不安な精神状態の中で、そう囁かれ続けたら…
もし孤独の中で本当に明日死んでしまうかもしれないなんて想ったら…
その時、抱きしめられて愛を囁いてくれる優しい温もりがあったら、それを拒める人がいるだろうか。
私は……拒めなかった。
彼の主張と彼の手の動き。
情欲に支配されて獰猛な雄の色を帯びてくる彼の瞳。
彼の服越しに伝わる固くなった下半身の滾り。
口内を蹂躙しつくした長く深いキスの後、彼は私の頬を両手で包み込み乞うように口を開いた。
『ねぇ… 僕の名前呼んで…… 』
そう切なげに訴える彼に私は恐る恐る彼の名を呼ぶ。
『お… 鳳さん… 』
その瞬間、切なげに眉を寄せる端正な面立ち。
『違う… 下の名前… 誠也って呼んで…』
そう縋られて私は躊躇う。
『で… でも…… 』
そんな私の困惑をまた彼は、先ほどからの言葉で遮る。
『お願い… もしさ… 明日死んじゃったら… 聞けないでしょ? 瑞穂ちゃんの唇から僕の名前が紡がれるの…』
『っ……』
私はまた絶句する。
(わ…判らないこの人が… どこまでが本気なのか… でも、こんな状況なんだ…
この人だってパニック状態でぶっ飛んじゃってるのかも知れない……
きっと元々… 育ちが良すぎて苦労って慣れてないだろうし……)
『ねぇ… お願い… 』
そう言われて私は躊躇いがちに彼の求めに応じて彼の名を呼んだ。
『せ…誠也さ…ん、…ん…』
そう言った瞬間もう一度唇を塞がれた。
『…ぅ さん… いらない…。 瑞穂… 好きだよ… 』
熱い彼の唇にこれ以上なく戸惑いながら、必死に私は息をしようと身体を彼から反らそうと身を捻る。
(だ… 駄目だ… 完全にこの人 “恋愛モード” スイッチ入っちゃってる…
死を恐れる余りの…現実逃避かな?)
わ…私だって怖いよ、死んじゃうとかあり得ない。
でも、確かにそうだよね…
そんな事ばっかり考えたら早いうちから気が狂ってしまいそうだった。
耳元を食まれて、舐められてそのまま舌が首筋を這う。
その時、鎖骨の辺りにチクっとする痛みを感じて私は眉を寄せた。
『っ⁈ いた!!… 鳳さん?』
そう非難の目を向けた私むしろ彼は苦々しく見据えた。
『……誠也……』
何故こんなにも名前に拘るのだろう。
『せ… 誠也さん…ちょ… あ…跡が残りますから…そ…そういうのはちょっと…』
こんな時なのに、妙に真面目な心配をする自分に呆れながらも彼に訴えた。
不吉な想像はしたくないけれど、もしもこのまま死んでしまったら、死体検分でキスマーク一杯というのは長年、意図せず処女を貫いてきた自分には不本意極まりない恥辱だろうと思う。
『なんで……?』
少し、不機嫌な様子の誠也さんが問いかける。
この人の不機嫌に顰められた顔をそう言えば初めて見た気がする。
『だって… その…もし死んでしまったら… 恥ずかしいし…
誠也さんだって困りますよね? 知られたくない人だっていらっしゃるでしょうし…』
『いない… むしろ死んでも知らしめたい。 君が僕のものだって… 』
『は!?… 』
そう言った瞬間、彼は少し拗ねたように唇を尖らせたかと思うと、私から上半身のウエアを剥ぎ取った。
『ひっ!!…』
上半身ブラだけになった羞恥に震えた私は、彼から遠ざかろうと身を仰け反らせた。
その瞬間、彼の手が私の腰に廻って私は引き寄せられた。
彼は顔を私の胸の谷間に埋めた。
その瞬間、再びチクッてして私は目を見開く。
『…柔らかい。あったかい…』
そのまま、私の頭を庇うように上に乗りかかった彼は、ブラの上から私の両の胸を鷲づかんで上下に揺すった。
『ん… だ…め… 』
これ以上進んでは、おかしくなってしまう。
彼だけではなく、きっと私も…
そう言って首を振る私を、誠也さんは茶褐色の瞳で真っ直ぐに見つめた。
『駄目… 逃がさないから… 瑞穂… 僕の顔ちゃんと見て… 』
そう言われて長い睫にスッとした鼻筋。
薄くて形のいい唇を見つめる。
(綺麗……)
そう思ってしまう自分に眉を寄せて、私は彼から目を反らそうとした。
だけどその瞬間、顎を掴まれて元の位置に顔を戻された。
そこには先ほどより少し悲しげに表情を歪めて私を見下ろす彼の顔があった。
(あぁ…この人でもこんなに人間臭い顔するんだ… )
何故かそんな風に思った。
『瑞穂… 頼むから目を反らさないで… 抱くよ… たとえ嫌がられたって…俺引かないから。』
彼の物言いに私は眉を寄せた。
私たちは遭難したから…
偶々居合わせたのがここに居る私なのに、どうしてそんな事をいうんだろう。
どうして…
そんなに切なげに私をみつめるんだろう。
そんな顔をされたら勘違いしてしまいそうで怖くなる。
そうだ勘違いしてはいけない。
今私たちは正常な精神状態ではないのだから…
『…また 逃げようとしてる。』
そう言われた瞬間ギュッと抱きしめられた。
そして耳元で囁かれた。
『…悪いけど、逃がす気なんてないから… これから先もずっと。
だから、瑞穂……
しっかり目を開いて見てて。
今誰の腕の中なのか、これから君を感じさせるのが誰の手なのか、君の体を埋め尽くすのが誰のモノなのか… 』
私が目を見開いて彼を見つめた瞬間彼がフッと切なく目を細めると共に、背中からプチンと音がした。
その瞬間、身に纏っていたブラが頼りなく役割を失い、あっという間に彼の手によって剥ぎ取られた。
そして、再び押し倒された揺れる果実のような私の双丘を両手で鷲掴んだ彼は、その頂にむしゃぶりついた。
『っひ!! 待って… 誠也さん… 待って…』
『待たない…… これ以上待っても無駄だって判ったから…』
(ちょっと待って… さっきから言ってる事がおかしいよね… これじゃまるで…
誠也さんが私の事好きみたいだよね? )
そう思って、私は眉間に皺を寄せて伺うように誠也さんを見つめた。
私の胸から、顔を上げて私の顔を見つめた誠也さんは、少し皮肉に笑った。
『……ようやく少しだけ気付いてもらえたのかな。』
『な…何を言ってるんですか…』
『だから… 僕が君のことをどう想ってるかってこと… 』
『……』
『好きだよ… 言っておくけど、北海道で君に出会ってからじゃないから…』
『え……』
私は驚愕に固まった…
『やっぱり… そうだよね… そうだと思ったけど…
流石に本人前にしてそんな顔されると傷つくな… 本当に君って人は… 』
誠也さんは傷ついたように押し黙り溜息をつく。
判らない…
一体何を言っているのだろうか。
『何を…』
『もう……いい。いいんだ。瑞穂。君がどうしてそうなったのか…もう判ったから。』
そう言って、悲しげに私を見つめる瞳は、私の胸元を再び見つめ、とがった頂きを口に含むうちに獰猛な雄のものに変っていた。
『せ… 誠也さん?』
私に覆いかぶさる誠也さんはさっきより激しく強い力で私の胸を揉みしだき私を翻弄する。
私のものとは比べようも無い大きな手に服従するように形を変える乳房に、舌を這わせ私を貪る誠也さん。
押えようとしても自然に漏れる声。
『あ…っん… あ…… ふあ!』
そんな私を情欲の目で見下ろして、耳の中に舌を押し込んだ誠也さんは囁く。
『それでいい… 瑞穂… 俺を感じて… もっともっと感じて…』
今まで“僕”と言っていた言葉は“俺”に変り、私を呼び捨てる荒々しい彼。
これが…鳳リゾートの御曹司という仮面を取り去った本当の彼なのだろうか。
そう切なそうに囁く彼の指先が、胸から離れて、下半身を包みこむウエアにかかると呆気なくそれは取り払われた。
いつの間にか熱を持っていた肌が冷気に晒され一瞬ヒヤッと全身を震わせた。
それと共に、既に身体を覆うものがショーツだけになっている現実に羞恥する。
再び、片方の胸を掴みながらその頂を舌で弄び始めた誠也さんの動きに仰け反った。
それに気をとられているうちに、反対側の手で太ももを撫であげられて、その手が下着越しに秘部に触れた。
その瞬間背中に雷のような痺れを感じた。
『ん…いや…ぁあ!!』
下着越しに何度も割れ目をなぞるように上下する動きに溜まらなくなった私は、目に涙をためて首を横に振ってイヤイヤするように身悶える。
『ふっ…よかった…ちゃんと濡れてる。』
悦に入ったように、ウットリとその感触を確認した彼は、私から最後の砦のショーツを剥ぎ取った。
あまりの羞恥に泣きそうになっていると、いきなり両膝を抱えられるように足を開かされた私は目を見開いた。
『い…いや… 駄目… み…見ないで』
そう掠れた悲鳴を上げかけた時、私に更なる驚愕が襲った。
誠也さんはそのまま、私の脚の間に顔を埋めて、私の秘部 に唇を這わせた。
体中がさっきの比ではないくらいの痺れに似た強烈な刺激が走る。
『い…イヤイヤ… 止めて! そんなところ舐めないで… 汚いから…見ないで…』
私はもう半泣きだった。
『…そんなことない。綺麗だよ。瑞穂… ほら、こうすると、奥からどんどん溢れてくるよ…
君は僕を拒もうとするけれど、ほら…ここは受け入れる準備をしてくれてる…
もっと早く… こうしていればよかった… 』
そんな言葉を囁かれて、誠也さんの舌の感触を感じる。
初めての強い感覚に、身体がビクンピクンと反応して、視界から入る卑猥極まりない自分の姿、耳からはいるピチャピッチャ…という止め処ない水音にあちらこちらから犯されている気分になる。
『ん…っは…あ… ぁぁあああ!…や… だ…め… ッむあ…』
もはや全く押える事ができなくなった自分の声にさえ犯されそうだ。
『はぁ… 瑞穂ビチャビチャだね… 声も…すごい可愛い… もっと感じて…俺の事ちゃんと見てて…』
いつの間にか誠也さんの声にも余裕の色が無くなっていて、激しい息遣いが秘部を更に犯す。
クチュクチュと舌の先が秘部に押し入る感覚で身を仰け反らせる。
そのままでもおかしくなってしまいそうなのに、誠也さんの親指が花蕾を捏ねるように押しつぶす。
『あぁぁぁぁぁ… ダメ…ダメダメダメぇ!!』
上り詰めて息が整わない私は初めての感覚に呆然自失となった。
(今の…何?…)
そんな私を満足そうに眺めている誠也さんは、『いい子だ…』
そう言って、私の頭を撫でた。
その瞬間、蜜壷に固い何かが挿入されて私は仰け反った。
どうやら誠也さんの指のようだ。
『痛っ…』
私は、先ほどまでの快楽とは全く別の異物感と痛みに顔を引き攣らせた。
『せまいな…… でも、これって………
初めて………そうなの?』
そう問いかける誠也さんに、私は真っ赤になって小さく頷いた。
その瞬間誠也さんは安心したように小さく顔を綻ばせた。
『そっか… 相手にされなかったのは… 俺だけじゃなかったか…』
そう言って誠也さんは、目を細めてまるで恋人同士のそれのように私の上唇を甘噛みして唇を舐め上げた。
『……大丈夫。優しくするから… 愛してる…瑞穂……俺を刻ませて。 』
どうしてこの人はこんなにも甘いのだろうか。
私は……この人の特別?
それともこれが警戒しなければならない甘い罠?
でも…
もう何にも考えられなかった。
身体が解かされ、熱を帯び、彼の熱い眼差しと暖かい言葉が耳を…身体を…心を支配していた。
(もう…いい… 守らなきゃならないのが一人の日々なら… 愛されて…愛されなくなっても… 一人だから…)
そう思った瞬間…
溜まらなく切なくなった。
やはりそうではないと思ったから。
誰かを好きになった後の一人は、愛される事を知らなかった頃の一人よりもきっと寂しいのだ。
『瑞穂……怖がらないで… 大丈夫…… 俺を… 信じて。』
そう言って優しく唇が塞がれた。
優しく優しく頭を撫でられた。
誰かに撫でられるなんて何時以来だろう…
気持ちいい…
この人との触れあいは気持ちいい…
もっと欲しい…
この人となら深く繋がってみたい。
自然とそんな気持ちになった。
そうすると今まで強張っていた身体から力が抜けるのを感じた。
そっと唇を離した誠也さんが凄く優しく笑って私をギュッと握り締めた。
『何か…今、ようやく捕まえた気がした。もう…離さないから。』
そう言って再び私に唇を重ねた誠也さんの指は再び蜜口にあてがわれて、指を差し込まれた。
さっきまでの自分より今度は容易にその指を飲み込んだ…。
水音の中で蜜壷がかき回された。
唇を合わせながら、その指が一点を擦った時、私は身を仰け反らせた。
その瞬間誠也さんは、クスッと笑った。
『見つけた… 』
その次の瞬間、秘部に今までと違う感触を受けた。
少し眉を寄せた私に、誠也さんが大丈夫?と言う目を向けたから、私はコクコクと小さく頷いた。
指が増やされて蜜壷を容赦なく掻き回されて激しい刺激が身体中を襲う。
『あ…はぁっ…やぁん…』
私は身を仰け反らせた。
二本の指を使ってさっきの一点を執拗に擦りあげる。
確かな痛みすら感じるのに、何故か気持ちよかった。
いつの間にか指は三本に増やされていた。
花蕾を同時に舌で潰されるように捏ね繰り回された私は堪らなくなって二度目の絶頂を迎えた。
『はぁっ…はぁっ…はぁっ… 』
大きく肩で息をする私の傍で、誠也さんが服を脱ぎ一糸纏わぬ姿になった。
初めて見る男の一物は赤黒く凶悪な大きさでパンパンに天に向っていた。
彼のその辺の女性より端正な美貌には相応しくないくらいの大きな一物の先からは透明な液体が光っていてそれが彼の情欲を私に知らしめた。
『これが… 私に… 』
目を見開いて引き攣っている私に、誠也さんは困ったように小さく笑った。
『んー…実はちょっとだけ、人よりサイズ大きいかも…… だから、初めてだとちょっと大変かな。でもごめんね。これだけは他の人に慣らしてもらう訳にもいかないから……』
私は冷や汗を垂らして、後ずさった…
(む…無理だよ… 絶対無理… )
その瞬間、誠也さんの手が伸びて腰を抱えられ引き寄せられた。
『逃がさないって…言ったよね?…大丈夫。出来るだけ痛くしない。すぐによくしてあげられるように頑張るから…』
そう言って誠也さんは、私の腰を引き寄せたまま、私の胸の頂に齧り付いて乳首を潰す様に舌を這わせて、そのまま乳房に甘く歯を立てた。
『ん…っはあ… あああ…』
その痺れるような衝撃に私は、声を上げて身悶えた。
『あぁ…瑞穂 俺もう堪らない… っ…もう…許して… 』
そう言って誠也さんは、胸の刺激で再び上り詰めた私の膝を開いて、そそり立った自身を押し当てた。
その熱に私は驚いて目を見開く。
誠也さんは宥めすかすように私の髪を撫で付けながら小さく微笑んだ。
同時にそれが宛がわれた私の蜜口からは、ヌチャピチャとお互いの濡れた性器が触れ合う淫猥な音がする。
『入れるね…』
そう汗を浮かべて熱い瞳で私を見つめた、誠也さんの顔は、今までのような余裕なんて感じられなくて、焦らされた獰猛な雄のようだった。
その切羽詰った表情を見たとき私は悟った。
---もう、逃げられない。
そう思った瞬間、誠也さんは私の腰を引き寄せた。
そして自身の腰をぐっと前に進め、熱い塊が蜜口を彷徨った次の瞬間には、私は身体を熱いもので割かれるような強烈な痛みに襲われた。
『あ!ぁぁぁあああああああ~ いや~ 抜いて~』
一気に貫かれた私は、余りの圧迫感に呼吸をすることもできず、激しい痛みに引き攣った身体で硬直し、涙で濡れた視界の中で首を振った。
『っはぁ…すごい。 こんな時に残酷だけど、ごめん…瑞穂の中、熱くて狭くて…良すぎる…』
そう言って、切なげに眉を寄せながら、誠也さんは私の唇を食んで、少しずつ腰を動かし始めた。
『痛いよね。ごめん でも… っ…は…ぁ… 瑞穂とずっとこうなりたかった。 』
痛みで朦朧とする中でそんな誠也さんを見つめる。
痛む腹部がとても辛くて一刻も早くこの痛みから解放されたいはずなのに、自分の上で切なげに…
それでも凄く気持ち良さそうに時々切なげな声を上げる誠也さんは、今まぎれもなく私の中で快楽を得ている。
それが私にはとても不思議で、何だか幸せな事のような気がして。
私は、痛みの中、縋るように誠也さんの背中に手を回した。
(この人は、本当に私がいいの…? なんで…私なの…?)
端正な顔を色っぽく歪めた誠也さんの顔と、私の目の前を何度も行き来する胸板と腹筋は逞しい男の人のもので、凄く綺麗だと思った
。それを見ているとぞくぞくしてくるのは何故だろう。
出し入れされる熱くて大きな塊に身体を揺さぶられ、揺れる果実のような胸を両手で激しく揉まれながら、私はどれだけ続くのか判らない彼の激情を受け入れる他に術はなかった。
『ん…はぁぁぁああん… あ… ああん……ふ……あ……
いつの間にか、彼の動きは激しさを増していきパンッ!パンッ!と強くお互いの肌が打ち合う音が部屋中に鳴り響き、私は羞恥と共に身体の奥深くから快感を感じ始めた。
『あっ!あっ!だめー。せ…せいやさ…ん…ふ、あ… お願い…も…だ…め… 』
その瞬間彼の熱を帯びた肉棒がビクンビクンと震えてその重量を増した。
ギュッと抱きしめられた私に誠也さんは、囁いた。
『メッチャ幸せ… 瑞穂…瑞穂……もっと呼んで? 俺の名前…』
そう言って誠也さんは一層激しく私に腰を打ち付けてきた。
痛みとも快感とも判らない刺激が、何度も何度もこみ上げて、彼が一層腰を進めた子宮口を捏ね繰り回されるように腰を深く押し付けられた瞬間私は、彼の名を何度も呼びながら初めての絶頂に達した。
『あああぁぁっぁ---っ… もうダメぇ』
『瑞穂… 俺も… 一緒に…っ ぅは…』
その瞬間、膣奥で彼のモノが一際大きくなり、熱い液体が爆せられた。
まるで生き物のような熱い液体は私の中には納まりきらず、ぬぷっと蜜口から溢れ太ももを伝った。
その瞬間私は、呆然とする意識の中で呟いた。
『あ…赤ちゃんできちゃう…』
こんな状況で避妊具などないから止むを得ないことだったのだろうか。
“今日が最後の夜”ということが前提で求められた身体。
だからもし子供がなんて考えても仕方がないことなのだろうか。
そう思うと、心が冷えそうだった。
『なんて顔してるの… 言っとくけど “態と”だから… 中に出したの。』
『へ!?……』
その言葉に固まった。
それはそれで酷い話で、どう解釈したらいいのか判らない答えだ。
『欲しかったから… 瑞穂が… ずっと一緒にいたいとも想ってる。
だから… 俺と瑞穂の子供なら、できていて欲しい。 そしたら瑞穂もう俺から逃げられないよね? 』
そう言って誠也さんは私を背中からギュッと抱きしめた。
『瑞穂…好きなんだ。ずっと一緒にいよ……』
『……』
『………』
『瑞穂!?…』
『………』
『ずっと……一緒? ずっと“明日死ぬんだったら”…って言ってたよね??』
『え……っいや…そ…れは…』
『もしかして…私……騙されてたの?』
『っ…ご… ごめん』
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今、私は“彼の主張”の全てに拒む事を許されず頷かされていた。
甘い声で囁かれる私を求める言葉に私は首を横に振れないで、彼の体を弄る手を拒む事もできない。
“君が好き…ずっと好きだった”
“明日死ぬかもしれないんだから自分の思いくらい告げてもいいでしょ”
“もうこの世界にいるのは君と僕だけなんだから”
本来孤独な人間が遭難という不安な精神状態の中で、そう囁かれ続けたら…
もし孤独の中で本当に明日死んでしまうかもしれないなんて想ったら…
その時、抱きしめられて愛を囁いてくれる優しい温もりがあったら、それを拒める人がいるだろうか。
私は……拒めなかった。
彼の主張と彼の手の動き。
情欲に支配されて獰猛な雄の色を帯びてくる彼の瞳。
彼の服越しに伝わる固くなった下半身の滾り。
口内を蹂躙しつくした長く深いキスの後、彼は私の頬を両手で包み込み乞うように口を開いた。
『ねぇ… 僕の名前呼んで…… 』
そう切なげに訴える彼に私は恐る恐る彼の名を呼ぶ。
『お… 鳳さん… 』
その瞬間、切なげに眉を寄せる端正な面立ち。
『違う… 下の名前… 誠也って呼んで…』
そう縋られて私は躊躇う。
『で… でも…… 』
そんな私の困惑をまた彼は、先ほどからの言葉で遮る。
『お願い… もしさ… 明日死んじゃったら… 聞けないでしょ? 瑞穂ちゃんの唇から僕の名前が紡がれるの…』
『っ……』
私はまた絶句する。
(わ…判らないこの人が… どこまでが本気なのか… でも、こんな状況なんだ…
この人だってパニック状態でぶっ飛んじゃってるのかも知れない……
きっと元々… 育ちが良すぎて苦労って慣れてないだろうし……)
『ねぇ… お願い… 』
そう言われて私は躊躇いがちに彼の求めに応じて彼の名を呼んだ。
『せ…誠也さ…ん、…ん…』
そう言った瞬間もう一度唇を塞がれた。
『…ぅ さん… いらない…。 瑞穂… 好きだよ… 』
熱い彼の唇にこれ以上なく戸惑いながら、必死に私は息をしようと身体を彼から反らそうと身を捻る。
(だ… 駄目だ… 完全にこの人 “恋愛モード” スイッチ入っちゃってる…
死を恐れる余りの…現実逃避かな?)
わ…私だって怖いよ、死んじゃうとかあり得ない。
でも、確かにそうだよね…
そんな事ばっかり考えたら早いうちから気が狂ってしまいそうだった。
耳元を食まれて、舐められてそのまま舌が首筋を這う。
その時、鎖骨の辺りにチクっとする痛みを感じて私は眉を寄せた。
『っ⁈ いた!!… 鳳さん?』
そう非難の目を向けた私むしろ彼は苦々しく見据えた。
『……誠也……』
何故こんなにも名前に拘るのだろう。
『せ… 誠也さん…ちょ… あ…跡が残りますから…そ…そういうのはちょっと…』
こんな時なのに、妙に真面目な心配をする自分に呆れながらも彼に訴えた。
不吉な想像はしたくないけれど、もしもこのまま死んでしまったら、死体検分でキスマーク一杯というのは長年、意図せず処女を貫いてきた自分には不本意極まりない恥辱だろうと思う。
『なんで……?』
少し、不機嫌な様子の誠也さんが問いかける。
この人の不機嫌に顰められた顔をそう言えば初めて見た気がする。
『だって… その…もし死んでしまったら… 恥ずかしいし…
誠也さんだって困りますよね? 知られたくない人だっていらっしゃるでしょうし…』
『いない… むしろ死んでも知らしめたい。 君が僕のものだって… 』
『は!?… 』
そう言った瞬間、彼は少し拗ねたように唇を尖らせたかと思うと、私から上半身のウエアを剥ぎ取った。
『ひっ!!…』
上半身ブラだけになった羞恥に震えた私は、彼から遠ざかろうと身を仰け反らせた。
その瞬間、彼の手が私の腰に廻って私は引き寄せられた。
彼は顔を私の胸の谷間に埋めた。
その瞬間、再びチクッてして私は目を見開く。
『…柔らかい。あったかい…』
そのまま、私の頭を庇うように上に乗りかかった彼は、ブラの上から私の両の胸を鷲づかんで上下に揺すった。
『ん… だ…め… 』
これ以上進んでは、おかしくなってしまう。
彼だけではなく、きっと私も…
そう言って首を振る私を、誠也さんは茶褐色の瞳で真っ直ぐに見つめた。
『駄目… 逃がさないから… 瑞穂… 僕の顔ちゃんと見て… 』
そう言われて長い睫にスッとした鼻筋。
薄くて形のいい唇を見つめる。
(綺麗……)
そう思ってしまう自分に眉を寄せて、私は彼から目を反らそうとした。
だけどその瞬間、顎を掴まれて元の位置に顔を戻された。
そこには先ほどより少し悲しげに表情を歪めて私を見下ろす彼の顔があった。
(あぁ…この人でもこんなに人間臭い顔するんだ… )
何故かそんな風に思った。
『瑞穂… 頼むから目を反らさないで… 抱くよ… たとえ嫌がられたって…俺引かないから。』
彼の物言いに私は眉を寄せた。
私たちは遭難したから…
偶々居合わせたのがここに居る私なのに、どうしてそんな事をいうんだろう。
どうして…
そんなに切なげに私をみつめるんだろう。
そんな顔をされたら勘違いしてしまいそうで怖くなる。
そうだ勘違いしてはいけない。
今私たちは正常な精神状態ではないのだから…
『…また 逃げようとしてる。』
そう言われた瞬間ギュッと抱きしめられた。
そして耳元で囁かれた。
『…悪いけど、逃がす気なんてないから… これから先もずっと。
だから、瑞穂……
しっかり目を開いて見てて。
今誰の腕の中なのか、これから君を感じさせるのが誰の手なのか、君の体を埋め尽くすのが誰のモノなのか… 』
私が目を見開いて彼を見つめた瞬間彼がフッと切なく目を細めると共に、背中からプチンと音がした。
その瞬間、身に纏っていたブラが頼りなく役割を失い、あっという間に彼の手によって剥ぎ取られた。
そして、再び押し倒された揺れる果実のような私の双丘を両手で鷲掴んだ彼は、その頂にむしゃぶりついた。
『っひ!! 待って… 誠也さん… 待って…』
『待たない…… これ以上待っても無駄だって判ったから…』
(ちょっと待って… さっきから言ってる事がおかしいよね… これじゃまるで…
誠也さんが私の事好きみたいだよね? )
そう思って、私は眉間に皺を寄せて伺うように誠也さんを見つめた。
私の胸から、顔を上げて私の顔を見つめた誠也さんは、少し皮肉に笑った。
『……ようやく少しだけ気付いてもらえたのかな。』
『な…何を言ってるんですか…』
『だから… 僕が君のことをどう想ってるかってこと… 』
『……』
『好きだよ… 言っておくけど、北海道で君に出会ってからじゃないから…』
『え……』
私は驚愕に固まった…
『やっぱり… そうだよね… そうだと思ったけど…
流石に本人前にしてそんな顔されると傷つくな… 本当に君って人は… 』
誠也さんは傷ついたように押し黙り溜息をつく。
判らない…
一体何を言っているのだろうか。
『何を…』
『もう……いい。いいんだ。瑞穂。君がどうしてそうなったのか…もう判ったから。』
そう言って、悲しげに私を見つめる瞳は、私の胸元を再び見つめ、とがった頂きを口に含むうちに獰猛な雄のものに変っていた。
『せ… 誠也さん?』
私に覆いかぶさる誠也さんはさっきより激しく強い力で私の胸を揉みしだき私を翻弄する。
私のものとは比べようも無い大きな手に服従するように形を変える乳房に、舌を這わせ私を貪る誠也さん。
押えようとしても自然に漏れる声。
『あ…っん… あ…… ふあ!』
そんな私を情欲の目で見下ろして、耳の中に舌を押し込んだ誠也さんは囁く。
『それでいい… 瑞穂… 俺を感じて… もっともっと感じて…』
今まで“僕”と言っていた言葉は“俺”に変り、私を呼び捨てる荒々しい彼。
これが…鳳リゾートの御曹司という仮面を取り去った本当の彼なのだろうか。
そう切なそうに囁く彼の指先が、胸から離れて、下半身を包みこむウエアにかかると呆気なくそれは取り払われた。
いつの間にか熱を持っていた肌が冷気に晒され一瞬ヒヤッと全身を震わせた。
それと共に、既に身体を覆うものがショーツだけになっている現実に羞恥する。
再び、片方の胸を掴みながらその頂を舌で弄び始めた誠也さんの動きに仰け反った。
それに気をとられているうちに、反対側の手で太ももを撫であげられて、その手が下着越しに秘部に触れた。
その瞬間背中に雷のような痺れを感じた。
『ん…いや…ぁあ!!』
下着越しに何度も割れ目をなぞるように上下する動きに溜まらなくなった私は、目に涙をためて首を横に振ってイヤイヤするように身悶える。
『ふっ…よかった…ちゃんと濡れてる。』
悦に入ったように、ウットリとその感触を確認した彼は、私から最後の砦のショーツを剥ぎ取った。
あまりの羞恥に泣きそうになっていると、いきなり両膝を抱えられるように足を開かされた私は目を見開いた。
『い…いや… 駄目… み…見ないで』
そう掠れた悲鳴を上げかけた時、私に更なる驚愕が襲った。
誠也さんはそのまま、私の脚の間に顔を埋めて、私の秘部 に唇を這わせた。
体中がさっきの比ではないくらいの痺れに似た強烈な刺激が走る。
『い…イヤイヤ… 止めて! そんなところ舐めないで… 汚いから…見ないで…』
私はもう半泣きだった。
『…そんなことない。綺麗だよ。瑞穂… ほら、こうすると、奥からどんどん溢れてくるよ…
君は僕を拒もうとするけれど、ほら…ここは受け入れる準備をしてくれてる…
もっと早く… こうしていればよかった… 』
そんな言葉を囁かれて、誠也さんの舌の感触を感じる。
初めての強い感覚に、身体がビクンピクンと反応して、視界から入る卑猥極まりない自分の姿、耳からはいるピチャピッチャ…という止め処ない水音にあちらこちらから犯されている気分になる。
『ん…っは…あ… ぁぁあああ!…や… だ…め… ッむあ…』
もはや全く押える事ができなくなった自分の声にさえ犯されそうだ。
『はぁ… 瑞穂ビチャビチャだね… 声も…すごい可愛い… もっと感じて…俺の事ちゃんと見てて…』
いつの間にか誠也さんの声にも余裕の色が無くなっていて、激しい息遣いが秘部を更に犯す。
クチュクチュと舌の先が秘部に押し入る感覚で身を仰け反らせる。
そのままでもおかしくなってしまいそうなのに、誠也さんの親指が花蕾を捏ねるように押しつぶす。
『あぁぁぁぁぁ… ダメ…ダメダメダメぇ!!』
上り詰めて息が整わない私は初めての感覚に呆然自失となった。
(今の…何?…)
そんな私を満足そうに眺めている誠也さんは、『いい子だ…』
そう言って、私の頭を撫でた。
その瞬間、蜜壷に固い何かが挿入されて私は仰け反った。
どうやら誠也さんの指のようだ。
『痛っ…』
私は、先ほどまでの快楽とは全く別の異物感と痛みに顔を引き攣らせた。
『せまいな…… でも、これって………
初めて………そうなの?』
そう問いかける誠也さんに、私は真っ赤になって小さく頷いた。
その瞬間誠也さんは安心したように小さく顔を綻ばせた。
『そっか… 相手にされなかったのは… 俺だけじゃなかったか…』
そう言って誠也さんは、目を細めてまるで恋人同士のそれのように私の上唇を甘噛みして唇を舐め上げた。
『……大丈夫。優しくするから… 愛してる…瑞穂……俺を刻ませて。 』
どうしてこの人はこんなにも甘いのだろうか。
私は……この人の特別?
それともこれが警戒しなければならない甘い罠?
でも…
もう何にも考えられなかった。
身体が解かされ、熱を帯び、彼の熱い眼差しと暖かい言葉が耳を…身体を…心を支配していた。
(もう…いい… 守らなきゃならないのが一人の日々なら… 愛されて…愛されなくなっても… 一人だから…)
そう思った瞬間…
溜まらなく切なくなった。
やはりそうではないと思ったから。
誰かを好きになった後の一人は、愛される事を知らなかった頃の一人よりもきっと寂しいのだ。
『瑞穂……怖がらないで… 大丈夫…… 俺を… 信じて。』
そう言って優しく唇が塞がれた。
優しく優しく頭を撫でられた。
誰かに撫でられるなんて何時以来だろう…
気持ちいい…
この人との触れあいは気持ちいい…
もっと欲しい…
この人となら深く繋がってみたい。
自然とそんな気持ちになった。
そうすると今まで強張っていた身体から力が抜けるのを感じた。
そっと唇を離した誠也さんが凄く優しく笑って私をギュッと握り締めた。
『何か…今、ようやく捕まえた気がした。もう…離さないから。』
そう言って再び私に唇を重ねた誠也さんの指は再び蜜口にあてがわれて、指を差し込まれた。
さっきまでの自分より今度は容易にその指を飲み込んだ…。
水音の中で蜜壷がかき回された。
唇を合わせながら、その指が一点を擦った時、私は身を仰け反らせた。
その瞬間誠也さんは、クスッと笑った。
『見つけた… 』
その次の瞬間、秘部に今までと違う感触を受けた。
少し眉を寄せた私に、誠也さんが大丈夫?と言う目を向けたから、私はコクコクと小さく頷いた。
指が増やされて蜜壷を容赦なく掻き回されて激しい刺激が身体中を襲う。
『あ…はぁっ…やぁん…』
私は身を仰け反らせた。
二本の指を使ってさっきの一点を執拗に擦りあげる。
確かな痛みすら感じるのに、何故か気持ちよかった。
いつの間にか指は三本に増やされていた。
花蕾を同時に舌で潰されるように捏ね繰り回された私は堪らなくなって二度目の絶頂を迎えた。
『はぁっ…はぁっ…はぁっ… 』
大きく肩で息をする私の傍で、誠也さんが服を脱ぎ一糸纏わぬ姿になった。
初めて見る男の一物は赤黒く凶悪な大きさでパンパンに天に向っていた。
彼のその辺の女性より端正な美貌には相応しくないくらいの大きな一物の先からは透明な液体が光っていてそれが彼の情欲を私に知らしめた。
『これが… 私に… 』
目を見開いて引き攣っている私に、誠也さんは困ったように小さく笑った。
『んー…実はちょっとだけ、人よりサイズ大きいかも…… だから、初めてだとちょっと大変かな。でもごめんね。これだけは他の人に慣らしてもらう訳にもいかないから……』
私は冷や汗を垂らして、後ずさった…
(む…無理だよ… 絶対無理… )
その瞬間、誠也さんの手が伸びて腰を抱えられ引き寄せられた。
『逃がさないって…言ったよね?…大丈夫。出来るだけ痛くしない。すぐによくしてあげられるように頑張るから…』
そう言って誠也さんは、私の腰を引き寄せたまま、私の胸の頂に齧り付いて乳首を潰す様に舌を這わせて、そのまま乳房に甘く歯を立てた。
『ん…っはあ… あああ…』
その痺れるような衝撃に私は、声を上げて身悶えた。
『あぁ…瑞穂 俺もう堪らない… っ…もう…許して… 』
そう言って誠也さんは、胸の刺激で再び上り詰めた私の膝を開いて、そそり立った自身を押し当てた。
その熱に私は驚いて目を見開く。
誠也さんは宥めすかすように私の髪を撫で付けながら小さく微笑んだ。
同時にそれが宛がわれた私の蜜口からは、ヌチャピチャとお互いの濡れた性器が触れ合う淫猥な音がする。
『入れるね…』
そう汗を浮かべて熱い瞳で私を見つめた、誠也さんの顔は、今までのような余裕なんて感じられなくて、焦らされた獰猛な雄のようだった。
その切羽詰った表情を見たとき私は悟った。
---もう、逃げられない。
そう思った瞬間、誠也さんは私の腰を引き寄せた。
そして自身の腰をぐっと前に進め、熱い塊が蜜口を彷徨った次の瞬間には、私は身体を熱いもので割かれるような強烈な痛みに襲われた。
『あ!ぁぁぁあああああああ~ いや~ 抜いて~』
一気に貫かれた私は、余りの圧迫感に呼吸をすることもできず、激しい痛みに引き攣った身体で硬直し、涙で濡れた視界の中で首を振った。
『っはぁ…すごい。 こんな時に残酷だけど、ごめん…瑞穂の中、熱くて狭くて…良すぎる…』
そう言って、切なげに眉を寄せながら、誠也さんは私の唇を食んで、少しずつ腰を動かし始めた。
『痛いよね。ごめん でも… っ…は…ぁ… 瑞穂とずっとこうなりたかった。 』
痛みで朦朧とする中でそんな誠也さんを見つめる。
痛む腹部がとても辛くて一刻も早くこの痛みから解放されたいはずなのに、自分の上で切なげに…
それでも凄く気持ち良さそうに時々切なげな声を上げる誠也さんは、今まぎれもなく私の中で快楽を得ている。
それが私にはとても不思議で、何だか幸せな事のような気がして。
私は、痛みの中、縋るように誠也さんの背中に手を回した。
(この人は、本当に私がいいの…? なんで…私なの…?)
端正な顔を色っぽく歪めた誠也さんの顔と、私の目の前を何度も行き来する胸板と腹筋は逞しい男の人のもので、凄く綺麗だと思った
。それを見ているとぞくぞくしてくるのは何故だろう。
出し入れされる熱くて大きな塊に身体を揺さぶられ、揺れる果実のような胸を両手で激しく揉まれながら、私はどれだけ続くのか判らない彼の激情を受け入れる他に術はなかった。
『ん…はぁぁぁああん… あ… ああん……ふ……あ……
いつの間にか、彼の動きは激しさを増していきパンッ!パンッ!と強くお互いの肌が打ち合う音が部屋中に鳴り響き、私は羞恥と共に身体の奥深くから快感を感じ始めた。
『あっ!あっ!だめー。せ…せいやさ…ん…ふ、あ… お願い…も…だ…め… 』
その瞬間彼の熱を帯びた肉棒がビクンビクンと震えてその重量を増した。
ギュッと抱きしめられた私に誠也さんは、囁いた。
『メッチャ幸せ… 瑞穂…瑞穂……もっと呼んで? 俺の名前…』
そう言って誠也さんは一層激しく私に腰を打ち付けてきた。
痛みとも快感とも判らない刺激が、何度も何度もこみ上げて、彼が一層腰を進めた子宮口を捏ね繰り回されるように腰を深く押し付けられた瞬間私は、彼の名を何度も呼びながら初めての絶頂に達した。
『あああぁぁっぁ---っ… もうダメぇ』
『瑞穂… 俺も… 一緒に…っ ぅは…』
その瞬間、膣奥で彼のモノが一際大きくなり、熱い液体が爆せられた。
まるで生き物のような熱い液体は私の中には納まりきらず、ぬぷっと蜜口から溢れ太ももを伝った。
その瞬間私は、呆然とする意識の中で呟いた。
『あ…赤ちゃんできちゃう…』
こんな状況で避妊具などないから止むを得ないことだったのだろうか。
“今日が最後の夜”ということが前提で求められた身体。
だからもし子供がなんて考えても仕方がないことなのだろうか。
そう思うと、心が冷えそうだった。
『なんて顔してるの… 言っとくけど “態と”だから… 中に出したの。』
『へ!?……』
その言葉に固まった。
それはそれで酷い話で、どう解釈したらいいのか判らない答えだ。
『欲しかったから… 瑞穂が… ずっと一緒にいたいとも想ってる。
だから… 俺と瑞穂の子供なら、できていて欲しい。 そしたら瑞穂もう俺から逃げられないよね? 』
そう言って誠也さんは私を背中からギュッと抱きしめた。
『瑞穂…好きなんだ。ずっと一緒にいよ……』
『……』
『………』
『瑞穂!?…』
『………』
『ずっと……一緒? ずっと“明日死ぬんだったら”…って言ってたよね??』
『え……っいや…そ…れは…』
『もしかして…私……騙されてたの?』
『っ…ご… ごめん』
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