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Unhappy Halloween?
Unhappy Halloween?【14】
しおりを挟む「最初からこのくらいじゃなかったかなぁ」
と首を傾げたのはチルだけど、なんぼなんでもそれはない。開始直後といまとじゃ密集度合いが全然違うんだってば。
「気のせいじゃないか? もしくは、途中で帰った者が多いのかもな」
と答えたのはスー。よくご存知で。やっぱりこの子たちも今年初参加じゃないんだろうな。
こういうボランティアの中には、ほんの数分だけ参加していい事をしたつもりになって、早々に抜け出す参加者も少なくない。
私としてはそれもひとつのスタイルだと思うけど、できれば最後までいてくれると嬉しいかな。人数いたほうが早く片付くからね。
……そう。比べるべきは量だ。
ゴミの多さに対して早く片付いただけだというのなら、ありえなくもない。人の少なさに反して早く片付いただけ。これもありえる範囲。どちらもチルの言い分である『個々の努力が反映された結果』で説明がつく。
でも、そのふたつが重なって、『ゴミは多く人は少ないにもかかわらず、早く片付いた』場合は?
なおさら早く終わるなんてありえないはずなのに。この街でなにが起きてるんだろう。
巻き込まれちゃったもんはしょうがないから当社比真面目に考えつつ、ちゃっかりスーの手を盗み見た。まだ気にしてたのかって? モチのロンさ!
見たところ、チルのほうが若干大きそうかな。撫でてくれたらはっきりするけど、スーは硬派な感じだし難しそう。
「うーん、そっかぁ…………」
残念な事に、私には双子のおてて事情よりも先に、二人の不自然な態度について考える必要がありそうだ。
君たち、なにか隠してるよね? それも結構な厄ネタをさ。
疑惑がほぼ確信に変わったとき、明るい声が響いた。
「まぁまぁ。『最後までちゃんと真面目にやり切った俺たちサイコー!』……で、いいんじゃない?」
声の主については確かめるまでもない、ヴィニーだ。
「そうですよ。私含め、みなさんよく頑張りました。それではご満足いただけませんか? ……欲しがりさんですね。フフフ」
なんてこった、パンナコッタ。パック、いまのちょーイイよ。もう一回ダミヘで囁いてくれない?
言い値で買おうじゃまいか。言っておくがオタクに二言はない。従って常に預金残高も(ほぼほぼ)ない。ご利用は計画的に。
……じゃない! あっぶな!! うっかりなにもかもがどうでもよくなるとこだった。
でも、これで完全に確信した。もれなくみんな黒だって。残りの二人まで加わって、私の意識をそこから逸らそうとしてる。
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