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アフター・アフター・レイン・トーク
アフター・アフター・レイン・トーク<CLXXIII>
しおりを挟む「……それとね、君にだったら、本当になにされてもいいと思ってるよ……♡♡」
涙袋に落ちた長い睫毛を取りながら告げた。
突然顔に触れられて不思議そうにしていた彼も、指についた睫毛を見たら納得したように微笑んだ。
「…………軽々しくそういうこと言っちゃダーメ♡♡ 鵜呑みにされて、困るのはきみのほうでしょ?♡ 軽い気持ちで言ってるわけじゃないのはわかってるけど、聞く相手によっては軽く聞こえちゃうこともあるかもしれないし。……あと、これは本当に悔しいと思ってることなんだけど、俺だって最大限努力はしてるけど、きみの気持ちを完璧に理解してあげられるかっていうと、全然そんなことないからね。いまだって、きみが伝えたかったことそのものじゃなくて、俺自身に都合のいいように受け取っちゃってるかもしれないでしょ?」
「もし違って伝わっててもいいの。わたしが君に話したのは、軽い気持ちでも一時的なものでもないし、君を喜ばせようとしたわけでもなくて……。痛いことでも苦しいことでも、君からなら耐えられる気がするって思ったから、君にも知っててほしかったし、もし君の考えが変わって、わたしにひどいことしたくなってもいいよって言いたくて。……わたしでも思いつかないようなえっちなことされても、全然いいし……♡ そういうのだったら、はじめから嫌じゃないよ……?♡」
「ふふふ♡ そっか?♡♡ きみって別にエッチなことに詳しいイメージないから、『わたしでも』って言い方は不思議な感じしたけど、きみの気持ちはよくわかったよ♡ なにか誤解されてる気はするけどね。きみが考えてるのとは違う感じの意味でなら、『ひどいことしたいな』って思うこともあるし。あんまり詳しく言うと、怖がらせちゃうかもしれないから、このあたりはまだ封印しておくことにするよ」
口角を上げたまま結ばれた唇は皺が目立たず、羨ましくなるくらい美しかった。
「…………そうだな。さっきの話がやっぱりちょっとまずかったのかな……。たぶんそれだろうな。俺、きみと一緒に死にたいのは本当だけど、苦しい死に方選んでまで心中したいとは思ってないんだ。きみには苦しいこと悲しいこともさせたくないし、きみにつらい思いや痛い思いをさせる男は自分でも許さないから。…………あ。いや、男とも限らないとは思うんだけど!」
進行方向を向いていた彼が、目線だけをわたしに寄越した。
「うん、わかってるよ。……お話聞いてて、死ぬことが目的じゃないって、すぐにわかった。君が言ってくれた『一緒に死にたい』は、『ずっと一緒にいたい』と同じような意味で、『一緒に生きたい』の延長みたいなものだったんだよね?」
「! ……よくわかったね?」
彼の声音と眼差しが一瞬にして驚喜に染まった。
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