三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<CXCIII>

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(咄嗟に『硬い』って言っちゃったけど、すごく大きくなかった…………!? 大きいって言い方も曖昧だし、ちゃんと見せてもらったわけじゃないけど、元カレたちのとは存在感からして違うというか…………。どうしよう……♡ 見たい♡ 触りたい♡ 舐めたい♡♡ ……れてほしい……♡♡)

 だが、わたしからもう一度距離を詰める度胸はない。
 
「脚もじもじさせちゃってどうしたの?♡♡ もしかして、お股むずむずしちゃってる?♡♡」

 脚を閉じて膝と膝を擦り合わせていたら、彼の手が膝小僧を包んだ。

「お股もむずむずしてるんだけど、おなかのなかがきゅんきゅんしちゃってて…………♡♡」

 下腹のいちばんぷよぷよした部分の少し下を押さえて訴えようかとも思ったけれど、さすがにそこまではできなかった。

「おなかのなか?♡♡ おなかって、意外と面積広いと思うんだけど……♡ どのあたりかな?♡ こことか……?♡」

 しなやかな指の先がお臍の少し下に触れた。

「んっっ♡♡」

 本当はもう少し下のほうが疼いているのだけれど、彼に触られたことで疼きがそこにも広がった。
 
「いや、もっと下のほうかな?♡♡ きみのカラダのどの臓器が反応しちゃったかって考えたら、たぶん結構下のほう…………♡♡」

 答えてもいないのに、わたしの反応に気をよくしたらしい彼が、ぷにぷにした下腹に指を沈めながら、最初に疼きをおぼえていた場所に到達した。

「あぁ……♡♡ そこ…………♡♡」

 柔らかい肉に守られた場所を叩かれるごとに、その奥に振動が伝わって、切ないような苦しいような快感が込み上げ、催促とも取られかねない声を上げてしまう。

「ここ?♡♡ やっぱりこのあたりか♡ でもさ、きみ、『』って言ってなかったっけ?♡♡ きゅんきゅんしちゃってるのは、いま触ってるところじゃなくてこの下だよね?♡♡ …………なのに、外側から押されただけで、そんなに気持ちよさそうにしちゃって大丈夫?♡ ……ここなら……♡ たぶんだけど、ギリギリ俺の届いちゃうんじゃないかな?♡♡ これって、きみにとっていいお知らせと悪いお知らせのどっち?♡」

 彼の指先が何度も何度も円を描く。

「……ほんと?♡ こんなところまで届いた人、いままでいなかったけど……♡」

「はじめてなんだ?♡♡ ここまでは行ってなくても、他の男のが挿入はいったことがあるって思うと、少し…………どころじゃないな。めちゃくちゃムカムカするけど。逆に言うと、前人未到の領域はまだ残されてるってことだし、いちばん奥をまだつつかれたことないってことは、『そこまで届いちゃう』のがいいお知らせか悪いお知らせかはきみ自身もまだわからないってことだもんね♡♡ それはちょっとだけいい気分だなぁ♡」

 彼が天を仰いで笑う。その拍子に唇の隙間からちらりと見えた犬歯は、鋭く尖っていた。
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