三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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アフター・アフター・レイン・トーク

アフター・アフター・レイン・トーク<CXCV>

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(そうだよね。結婚がゴールじゃないんだよね。……勝手にゴールのつもりでいたけど、ひとつの節目でしかないんだよね。むしろ、そこからが本番で……。まだ全然、現実感がないなぁ。……『ふたりっきりでもいい』って言ってくれたけど、わたしは『ふたりっきり』でいたいよ……)

 祈りを込めて握った手はちっぽけで、こんな頼りない手では子どもを守るなんて夢のまた夢で、彼のことを支えることすらままならないのではないだろうかという不安が過り、氷水を一気飲みしたように、胃の腑に冷たい感覚が急速に広がっていった。

「慣れないうちは苦しいかもしれないけど、最初からこのあたりが疼くってことは、素質ありそうだよね♡♡ きみが最初から奥で感じられるラッキーな子でもそうじゃなくても、いちばん奥がいちばん感じられるエッチなカラダにしてあげる…………♡♡」

 器用な指先がカラダのいちばん深いところに話しかけるように沈み込んでいく。

「……ぁっ♡♡」

 おなかのなかがその呼び掛けに応えるように、よりいっそう激しく疼き出した。

「あはは♡ 気持ちよかったかな?♡♡ かーわいい♡♡ ……ここ、わりと壁厚いみたいだから、きみくらいの声量なら我慢しなくて大丈夫だよ♡ 耐えてるお顔もかわいいけどさ、唇怪我しちゃったら悲しいから……ね?♡♡」

短く声を上げてしまってから、唇を巻き込んだところ、彼の手が先ほどまで攻めていたのと同じ場所を擽り始めた。

「……ふふ、擽ったいよ……♡」

 中心部のみならず脇腹にも伸ばされた指が肌に触れるか触れないかのところで踊るたび、むず痒い快感に襲われて、身体を揺らしてしまう。
 
「よかった♡♡ 元はと言えば、俺が緊張させるようなこと言っちゃったのが悪いんだけどさ、力抜いてたほうが絶対気持ちよくなれるから、いまのその感じでね?♡」

「うん、ありがと……♡♡」
 
「さて、本題に戻ろうか♡♡ むずむずしてるって言ってたのは、おなかと…………お股だっけ?♡♡ そっちも指で触ってほしい?♡ それとも、舐めてあげたほうがいいかな?♡ 痛くなりにくいのは、舌のほうだと思うけど……♡♡」

 いつものようにわたしの意思で決められるように、いくつか選択肢が与えられたけれど、舌なめずりをしたまま仕舞われない舌が彼の気持ちを教えていた。

「…………舐めるとき、見る……よね?」

「目瞑っててもできないことはないと思うけど、俺も経験あるわけじゃないし……。気持ちよくしてあげられないかもしれないけど、それでもよければ、見ないようにしながらやってみようか?」

 わたしの背中を支えながら彼が上体を起こし、上下関係が逆転した。
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