三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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DESTINY CHAIN

DESTINY CHAIN<XXVII>

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「うーん? …………確かに、少し冷たいね? だけど、それでも俺は、やっぱりきみのほうが心配だなぁ……。を除いて、基本的には人間の身体ってあっためておいたほうがいいでしょ。冬限定じゃなくて、オールシーズン。――――で、女の子なんて特に、全身冷やさないほうがいいはずだし…………。なのに、こんなに冷たくなっちゃって…………。きみも、こんなに冷え冷えしてると、落ち着かないんじゃない? ……よければ、俺にあっためさせてもらえないかな?♡♡」

 その光景を見ても、なんとも思わなかったのだろうか。

 微笑を湛えた彼は、至って紳士的な――――王子様然とした提案をしているように思える。

(あっためるって、どうやって?♡ やっぱり、彼ので塞いでくれたり……?♡♡ 気になるなら訊けばいいだけってわかってるけど、それ以外考えられないことをわざわざ訊くのもなぁ……)

 際限なく湧き上がる疑問符を無視して、すぅっと息を吸った。
 
「……た、確かに、あったかくはなると思うけど……♡ あったかいとか通り越して、熱出ちゃいそう……というか…………♡♡」

「なるほどね?♡ ……でも、いまのきみの身体、たぶんきみが思ってるより全体的に冷えちゃってるから、熱出ちゃうくらいでちょうどいいんじゃないかなって気もするんだけど♡」

 肘から下を滑り降りた手には、下心が燻っている気がした。
 
「そ…………っ、それは……えぇと…………♡♡」

 丸め込まれる気配を感じ、身を固くしたけれど、手遅れだということはわかっていた。

 わたしにはもう纏うものもないし、彼より回る頭も、彼より優れた力も、はじめから持ち合わせてはいないのだから。

「…………ん?♡ なに?♡ ……あぁ、お口も寒くなっちゃった?♡♡ それなら、俺があっためてあげるね……♡♡」

 口をぱくぱくさせていると、ちょうど口を閉じたタイミングで整った唇が重なった。

「…………どう?♡♡ 少しは俺の熱、分けてあげられてるといいんだけど♡♡」
 
「ここは…………寒い……というか、寂しかっただけだけど…………。でも、嬉しい……♡♡ 君とちゅーするの好き♡♡」

 恐ろしささえ感じるほどの美貌が離れたあと、まだぬくもりの残る唇に指で触れた。

「俺も好きだよ♡♡ きみとちゅーするの♡♡ いっぱいしてるのに、ちっとも飽きる気配ないし、もう趣味のひとつって言ってもいいかもってくらい♡ ……でも、ちゅーするのが好きだからこそ、にも興味あるんだよね……♡♡」

 情欲の種火を移された唇は、さらに深い交わりを求めて自ら熱を発していた。
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