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Interlude
Interlude<Ⅷ>
しおりを挟む「当日……も見たいけど、混んでてよく見えないだろうから、期間始まったらすぐ行こっか♡♡ 開催期間結構長くて、毎年11月入ったらクリスマス仕様になってた気がするし」
タッパーの蓋に置かれたヘタは、色こそクリスマスツリーだけれど、形はツリーのてっぺんで煌々と輝くベツレヘムの星のようだ。
「当日も行くには行くんだね?♡」
「行かないの?♡♡」
「行きたいけど……♡ 君とだったら、クリスマスっぽくないところでも楽しいよ?♡」
視線をヘタから彼へと戻したら、比較対象にもならない眩しさに目が眩んだ。
――――そうだった。最も身近な星は空でもツリーのてっぺんでもなく、いつもわたしの近くで輝いていた。
「クリスマスっぽくないところって、例えば?」
「どこだろう? ……ラーメン屋さんとか?」
おそらくみんな(※学園内に数多存在する彼のファンのことだ)の考える彼のイメージからは遠い気がするけれど、本人は結構なお値段の白い無地のトップスを着ていても、豪快にカレーうどんを啜るひとではないだろうか。
完食時にシミひとつ作らなかった場合の彼のドヤ顔が浮かぶような、世界地図におけるハワイのように目立つシミを作った場合も自分で自分がおかしくてお腹を押さえる姿が浮かぶような気がして、笑いを耐える。
「ラーメン屋さん? 確かにイルミネーションに比べたらクリスマスっぽくはないけど、きみとなら楽しいね♡ 違う味頼んでひと口ずつ交換したり、鼻水垂れないように格闘してるきみのことこっそり見たり♡♡」
彼は彼で、わたしと行くラーメン屋さんデートの想像をしたらしい。
「こ、後半……!!」
「あはは♡ でも、クリスマスはロマンティックな感じで過ごしたいなぁ♡♡ ラーメンはまた違うときに食べ行こ?♡」
「そうだね。…………わたしもベタで王道な恋人と過ごすクリスマス、興味あるし……♡♡」
「じゃあさ、いろいろベタなことしちゃおうよ♡♡ ベタベタひっつくのも、ふたりっきりのときだったらしていいかな?♡♡」
彼の言うベタベタとは、どのレベルを想定しているのだろう。
「……うん♡ いいよ♡」
クリスマスはまだまだ先だけれど、ふたりの関係性が一歩先に進む日も案外遠くないのかもしれない。
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