84 / 489
Interlude
Interlude<XLIV>
しおりを挟む「ぁ……っ♡♡」
手のひらを軸にして展開するその動きは、同年代の男子や女性に対する思いやりに欠けた男性にありがちな無遠慮なものとは一線を画している。
(変な声出ちゃった……♡ 胸揉まれるのって、こんなに気持ちよかったっけ?♡♡ きっと彼にも聞こえちゃったよね? 我慢してるけど、また出ちゃいそう……♡♡)
唇を内側に巻き込んで耐えるけれど、いつまで保つかわからない。
息を吐くと同時に、さっき出してしまった以上のいやらしい声が漏れてしまうことを恐れ、息を止めた。
「あれれ?♡ 自分から『触って触って♡♡』してたくせに、覚悟決まってなかったの?♡ こんな近くにあったら揉むに決まってるのに♡♡ これに懲りたら、もう二度とこんな軽率なことしちゃダメだよ?」
わたしの様子を眺めていた彼は、指先を動かすのをやめ、胸全体を下から持ち上げて大きくゆっくり円を描く動きに移行した。
「いつまで揉んでるの……?♡♡」
あまり息を吸えなかったためにすぐに限界がきて、おとなしく呼吸を再開した。
「いつまでだろうね?♡ あったかいし、柔らかくて思ってた以上に落ち着くのと、きみの反応がかわいいのとで止まらなくなっちゃったみたい♡♡」
彼はそう言って、胸元に視線を落とした。
「揺れなくする効果は十分にあると思うけど、ブラってそこまで防御力ないからね。柔らかいの隠せてないもん♡♡ こんながっつり揉まなくても、抱き締めるだけで…………いや、抱き締めるまでもないか? ちょっと当たるだけでわかっちゃうんだから……」
「…………覚悟なら済ませてあるよ。いまみたいに揉まれるのだけじゃなくて、下触られるのも……きみとひとつになるのも、全部…………」
わたしの処女喪失は文字どおりの『喪失』だったし、『捨てる』という言葉がふさわしい体験だった。
自ら望んで『捨てた』のであれば、まだ納得のいくものだったのかもしれないけれど、心身ともに準備の不十分なまま、そして、言うまでもなく未成熟なまま『捨てさせられた』ようなものであり――――短い人生でもワースト上位に入ってくる屈辱に塗れた記憶だ。
(…………君が相手だったら、きっと全然違うものになってたよね。怖くなかったと思うし、嫌にもなってなかっただろうし……。多少は痛かったり苦しかったりはしたかもしれないけど、君はできるだけわたしがつらい思いしないようにって、頑張ってくれたんじゃないかなぁ……)
過去を悔いたところで意味なんてないのに、涙が視界を歪めていく。
(もっとちゃんと抵抗すればよかった。わたしの処女は君にもらってほしかった。……『捨てる』んじゃなくて、君に『捧げ』たかった)
そればかりか、腕を持った手にも力がこもる。君はなんにも悪くなんてないのに。
「……そうだった。言ってたもんね。『ココロもカラダも準備済ませてある』って……。ごめんね、すぐに応えてあげられなくて。……きみは俺のことをそこまで好きでいてくれて、信頼だってしてくれてるのに」
彼はわたしの様子から、なにを考えているのか察したのだと思う。曲げた人差し指の第二関節で、目尻から溢れた涙を拭ってくれた。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる