三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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Interlude

Interlude<LV>

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(…………そういう君だから、期待しちゃうの。『もっとすごいことしたら、もっと好きになってくれるかも』って。『もっと深いところで繋がれたら、もっと好きになれるかも』って)

 ぎゅっと両目を瞑って、心の音を、声を聴いた。
 
(いまだって好きで好きで…………。たぶんもう『大好き』って何回言っても伝えきれないくらいに大好き。……『愛してる』でも、表しきれないレベルかもしれない。とっくに)

 飽和して持て余した愛情を、日常的に、うまく小分けにして彼のようにさりげなく渡してきていたら、こんなふうに悩みを抱えることはなかったのだろうか。

 ――――否。そんなことはないだろう。
 
 素直になれない自分を正当化したい卑しい気持ちも当然あるけれど、それだけではない。
 
(それでも、わたしはもっともっと君を好きになりたいし、君にもわたしのことを好きになってほしい。……やってみる前から諦めるのもよくないと思うけど、言葉だけで伝えるのは限界があるよ……。というか、絶対無理……!)

 『好きと言うほどに好きになる』という先ほどの発見が正しいとしたら、今以上に肥大した恋心に押し潰されそうになっていてもおかしくはないし、日に何度も『好き』とさまざまな手段で伝えてきてくれる彼を見ていればわかることだ。

(これからはちょっとずつでも伝えていこうとは思うけど、きっと全然追いつかないんだろうなぁ。君だって悪戦苦闘してるもんね)

 表に出さないように注意しているのだろうけれど、彼も自分の身体をはみ出すほどに大きくなった愛情を、いかに負担をかけずに伝えるかということに心を砕いている節がある――――というふうに、わたしには見えていた。
 
(…………だから、余計に『早くほしい』って思っちゃう。力技すぎるなぁとは思うし、急ぎすぎなのかもしれないけど……)

 身に纏っているものを一枚ずつ取り払われて、素肌同士を触れ合わせて。いろんなキスと言葉を交換して、全身で愛を伝え合う。
 
 そんな場面をひとつひとつ思い描くごとに、わたしの胸は重低音を奏でた。低音域に特化したイコライザで聴く音楽のように。

(もしかして『早く』ってそういう意味だった?♡♡ わたしたち、おんなじこと考えてたのかな……♡ そうだったら嬉しいなぁ) 

 先ほどの発言を思い返して、口元が綻びそうになった。
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