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親友転序
親友転序<23>
しおりを挟む『嫌だったら言ってね』とも言ってあるし、性的なことを連想させる部分にはなるべく触れないように気を付けてはいるよ。
それ以上に、硬いモノを押し当てるアクシデントが起こらないように神経使ってるんだけど、ハグしてるとなかなか難しいね。
「鏑木くん、疲れてるの?」
演技に熱が入りすぎたのかもしれない。
眉を八の字にした彼女が向ける眼差しには、労りが感じられた。
「そうかも。……あ、でも今日のじゃなくて、一週間分の仕事の疲れだから、紗世ちゃんが気にすることじゃないよ! 今日のデートは逆に充電されたから! 今もめっちゃ充電してくれてるし」
「ほんと? じゃあ、張り切って充電するね! 元気になれ~……。元気になれ~……!」
目を閉じて呪文を唱える彼女は、至って真剣なんだけど――――。
「あはは! 『元気になあれ♪』じゃなくて?」
「そ、そっか! さっきのは黒魔術中の魔女とか怪しい呪術師みたいだったかも?」
『あわよくばそっちバージョンも聞きたいな』ぐらいの下心込みで指摘したら、彼女ははっとして詠唱をやめたけど、言い直したりはしなかった。
恥ずかしかったのかな?
それはそうと、ぎゅうっと抱き着いてくれてるから、ブラトップの向こうのむにゅっとした感触がかなりダイレクトに伝わってきていい感じ。
今夜は使う予定のないモノがもっと元気になっちゃうのは困りものだけど。
「……いつもお疲れ様。近くで見てるわけじゃないから完全に想像なんだけど、きっと会ってないときもずっと頑張ってて……頑張りすぎなくらいなんじゃないかと思うから、今ぐらいはゆっくりしてね?」
「紗世ちゃん…………!」
あたたかい言葉をかけられたら、堰き止めていた感情が一気に溢れ出して、嚙み付くように口付けてしまった。
「ん……っ!?」
彼女は突然のことに驚いてこぼれちゃいそうなくらい目を大きくしてたけど、二秒後にはもう瞼を閉じてキスを受け入れてくれた。
歯磨き粉の無機質な味がするはずなのに、桃の甘い香りがふわっと鼻の奥に届いた気がした。
「…………ごめん! ここまでする予定なかったんだけど、我慢できなくなっちゃって……」
「謝らないで? びっくりしたけど、私たち、もうそれ以上のこともしちゃってるみたいだし、このくらい全然別に…………ていうか、気持ちよかった……♡♡ もっとしてもいい?」
長めのキスを終えたあと、彼女はお酒が入っているときと程近い、色っぽい雰囲気になった。
「いいよ♡♡ したい?♡ されたい?♡」
「両方……♡」
お伺いを立てたら、眠たげな瞳を仕舞い込んだ彼女は、それと入れ替わりに舌先を出した。
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