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生徒会長 白木緋編
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キーンコーンカーンコーン
お昼休みの鐘がなる。
僕はいつもの校舎裏で牛乳とプロテインバーを片手にお昼ご飯を食べている。
『この盗撮魔!そのスマホを渡しなさい』
「嫌です。このスマホは渡さない」
「私たちが紅(くれない)くんの私物を漁ってたの撮ってたよね!」
「たまたま写ってだだけですから」
「いいからよこして!」
「きゃ、やめて!」
「こらっ、抵抗しないで渡しなさいよ」
僕の近くで女の子同士の争う声がする。
おそらくこの建物の角を曲がったところだろう。こんなところに人はいないと思っているのだろうか、女の子の声と口調がだんだん激しくなる。僕は気になって建物の角から様子を眺めていた。
「い、いやー!」
意地悪そうな顔をしている女の子3人が見るからに地味な女の子1人に詰め寄っている。2人の女の子がその地味子ちゃんの両手を押さえて、もう1人が地味子ちゃんの手にあるスマホに手を伸ばす。
『やめなさい!』
「せ、生徒会長!?」
「こんなところでなにしてるの?」
現れたのはこの学校で一年生にしてなぜか生徒会長をしている白木 緋(しらき あか)さんだった。凛とした立ち振る舞いと風になびく腰まで届きそうな綺麗な赤い髪。誰もが見惚れてしまいそうな威風堂々とした雰囲気をまとっている。
「小説家さんがなんのようですか?うちらは長谷川 茶子(はせがわ ちゃこ)さんに用があるだけですから」
「生徒会長として争いごとは見過ごせないわ」
「黙ってて!優等生かぶれのコネ生徒会長は」
3人組の女の子たちは引くつもりがない。
長谷川さんからスマホを奪おうと再び襲いかかる。生徒会長の白木さんはそれを止めに入ろうとする。
「きゃっ」
生徒会長はいとも簡単に羽交締めにされて身動きが取れなくなる。
「あなたたちやめなさい!」
取り押さえられている生徒会長の声は虚しく遠くの空に消えていく。
長谷川さんも生徒会長も恐ろしいほどに弱かった。抵抗という抵抗もできずに押さえつけられている。
「うちらのことチクられたらやばいからこの2人の服を取って下着姿の写メ撮っとこうよ」
「確かに。弱み握っといた方が無難ね。脱がそう」
「や、やめてぇ」
長谷川さんは泣きそうになりながら抵抗する。
「やめなさい、タダじゃ済まないわよ。私が誰だか知ってるでしょ」
生徒会長は力は弱いのに気だけは強い。
「長谷川さん、隠れ巨乳じゃん。おっぱい大きいじゃん。地味な顔してムカつくなー」
長谷川さんはシャツを剥ぎ取られブラだけになっている。地味な見た目とは裏腹に可愛いピンクの派手なブラジャーだ。僕の位置から見てもわかるくらい巨乳だ。僕みたいに隠れた逸材がここにもいたのかと思ってしまうほどそのギャップに驚かされる。
「生徒会長も巨乳だったらマジムカつくね。まみ、抑えて」
「や、やめなさい、わたしにこんなことしたらどうなると思ってるの」
「相変わらず威勢だけはいいね、それが怖いからあなたの恥ずかしい姿を撮って人質にするんじゃん。バカなの?」
「や、やめて、お、おねがい......ゆるして......」
生徒会長はついに小さな声になって泣きながら懇願する。
『おい、やめろ!』
さすがにやりすぎだ。
俺は困っている人は助けてしまう性分だ。
俗に言う『正義感の強い』男だ。
俺は見るに見かねて助けに入った。
僕では登場したくない。
だから僕だとバレないようにアイドルの俺に姿、形を変身して助けに入る。
牛乳瓶の底メガネとマスクを外し、髪の毛を掻き上げ、ピアスをして、胸元のボタンを開けるとネックレスが光る。指にはクロムハーツの指輪。ガラッと雰囲気が変わる。
「え?だれ??」
(めっちゃイケメンじゃん、紅くんよりかっこよくない?)
「さち、あのイケメンて誰?」
「わかんないけどちょーかっこよくない?」
「うち、ちょータイプかも」
まみ、さち、かなの3人は小声で突然のイケメンの登場に心をドキドキさせる。
女の子3人と白木さんも長谷川さんもみんなが俺に目を奪われていた。
「泣いてるじゃん、もうやめてあげな」
「うるせーよ、どっか行ってろ」
(でもかっこいいからいてくれてもいいかも)
誰も俺が佐伯 蒼だとは気付いていないようだ。俺はニヤけてしまった。
「何にやけたんだよ。消えろよ、イケメン」
「一応、俺のスマホで君たちのこと全部録画したけど、これ、警察に提出しようかな」
「おい!ふざけるなよ。まみ、さち、あいつから奪うよ」
3人が一斉に俺に襲いかかってくる。
3人なら女の子でも勝てると思ったのかな。
『えっ!』
女の子3人が同時に声を上げる。
「なに、この身体。筋肉がすごい。抱かれたーい、じゃない。勝てるわけがなーいだ」
3人で襲ってきてもビクともしない俺の身体。
それはそうだ。仕事柄、週3でジムに通っている俺は筋肉隆々だ。アイドルという属性上、鍛えても細マッチョまでだが。
「い、行くよ!」
まみ、さち、かな達は走りながら去っていった。
「あ、ありがとうございます。助かりました」
生徒会長の白木 緋さんが地面に崩れながら涙目で俺を見つめていた。
「あ、あの、ありがとうございます。このご恩は一生忘れません」
長谷川さんはその豊満な巨乳を腕で隠しながら目をうるうるさせていた。
「気にしないでください。それと俺のこのスマホの動画は削除しておきますね。お二人のことも映っているので。じゃ、これで」
「待ってください。名前を教えてください。それとお礼を」
生徒会長は俺のことが気になっているようだ。
「名前は気にしないでください。じゃあ、お礼はその分、生徒会長として頑張ってください」
これ以上関わりたくない俺はその場をさっと立ち去った。
「あっ、まっ......」
生徒会長の声が聞こえてくるが無視だ。
長谷川さんはポーッと俺を見つめていたようだ。
(なんてかっこいい人.........)
生徒会長は心臓をギュッと握りしめられ、立っていられなくなった。男性を好きになったことのない白木 緋は初めての経験に頭が混乱していた。
そして俺を追いかける生徒会長の恋が始まったのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
1話目をお読みいただきありがとうございました♪
まだまだのレベルかもしれませんが
これからも頑張って書いていこうと思います。
お昼休みの鐘がなる。
僕はいつもの校舎裏で牛乳とプロテインバーを片手にお昼ご飯を食べている。
『この盗撮魔!そのスマホを渡しなさい』
「嫌です。このスマホは渡さない」
「私たちが紅(くれない)くんの私物を漁ってたの撮ってたよね!」
「たまたま写ってだだけですから」
「いいからよこして!」
「きゃ、やめて!」
「こらっ、抵抗しないで渡しなさいよ」
僕の近くで女の子同士の争う声がする。
おそらくこの建物の角を曲がったところだろう。こんなところに人はいないと思っているのだろうか、女の子の声と口調がだんだん激しくなる。僕は気になって建物の角から様子を眺めていた。
「い、いやー!」
意地悪そうな顔をしている女の子3人が見るからに地味な女の子1人に詰め寄っている。2人の女の子がその地味子ちゃんの両手を押さえて、もう1人が地味子ちゃんの手にあるスマホに手を伸ばす。
『やめなさい!』
「せ、生徒会長!?」
「こんなところでなにしてるの?」
現れたのはこの学校で一年生にしてなぜか生徒会長をしている白木 緋(しらき あか)さんだった。凛とした立ち振る舞いと風になびく腰まで届きそうな綺麗な赤い髪。誰もが見惚れてしまいそうな威風堂々とした雰囲気をまとっている。
「小説家さんがなんのようですか?うちらは長谷川 茶子(はせがわ ちゃこ)さんに用があるだけですから」
「生徒会長として争いごとは見過ごせないわ」
「黙ってて!優等生かぶれのコネ生徒会長は」
3人組の女の子たちは引くつもりがない。
長谷川さんからスマホを奪おうと再び襲いかかる。生徒会長の白木さんはそれを止めに入ろうとする。
「きゃっ」
生徒会長はいとも簡単に羽交締めにされて身動きが取れなくなる。
「あなたたちやめなさい!」
取り押さえられている生徒会長の声は虚しく遠くの空に消えていく。
長谷川さんも生徒会長も恐ろしいほどに弱かった。抵抗という抵抗もできずに押さえつけられている。
「うちらのことチクられたらやばいからこの2人の服を取って下着姿の写メ撮っとこうよ」
「確かに。弱み握っといた方が無難ね。脱がそう」
「や、やめてぇ」
長谷川さんは泣きそうになりながら抵抗する。
「やめなさい、タダじゃ済まないわよ。私が誰だか知ってるでしょ」
生徒会長は力は弱いのに気だけは強い。
「長谷川さん、隠れ巨乳じゃん。おっぱい大きいじゃん。地味な顔してムカつくなー」
長谷川さんはシャツを剥ぎ取られブラだけになっている。地味な見た目とは裏腹に可愛いピンクの派手なブラジャーだ。僕の位置から見てもわかるくらい巨乳だ。僕みたいに隠れた逸材がここにもいたのかと思ってしまうほどそのギャップに驚かされる。
「生徒会長も巨乳だったらマジムカつくね。まみ、抑えて」
「や、やめなさい、わたしにこんなことしたらどうなると思ってるの」
「相変わらず威勢だけはいいね、それが怖いからあなたの恥ずかしい姿を撮って人質にするんじゃん。バカなの?」
「や、やめて、お、おねがい......ゆるして......」
生徒会長はついに小さな声になって泣きながら懇願する。
『おい、やめろ!』
さすがにやりすぎだ。
俺は困っている人は助けてしまう性分だ。
俗に言う『正義感の強い』男だ。
俺は見るに見かねて助けに入った。
僕では登場したくない。
だから僕だとバレないようにアイドルの俺に姿、形を変身して助けに入る。
牛乳瓶の底メガネとマスクを外し、髪の毛を掻き上げ、ピアスをして、胸元のボタンを開けるとネックレスが光る。指にはクロムハーツの指輪。ガラッと雰囲気が変わる。
「え?だれ??」
(めっちゃイケメンじゃん、紅くんよりかっこよくない?)
「さち、あのイケメンて誰?」
「わかんないけどちょーかっこよくない?」
「うち、ちょータイプかも」
まみ、さち、かなの3人は小声で突然のイケメンの登場に心をドキドキさせる。
女の子3人と白木さんも長谷川さんもみんなが俺に目を奪われていた。
「泣いてるじゃん、もうやめてあげな」
「うるせーよ、どっか行ってろ」
(でもかっこいいからいてくれてもいいかも)
誰も俺が佐伯 蒼だとは気付いていないようだ。俺はニヤけてしまった。
「何にやけたんだよ。消えろよ、イケメン」
「一応、俺のスマホで君たちのこと全部録画したけど、これ、警察に提出しようかな」
「おい!ふざけるなよ。まみ、さち、あいつから奪うよ」
3人が一斉に俺に襲いかかってくる。
3人なら女の子でも勝てると思ったのかな。
『えっ!』
女の子3人が同時に声を上げる。
「なに、この身体。筋肉がすごい。抱かれたーい、じゃない。勝てるわけがなーいだ」
3人で襲ってきてもビクともしない俺の身体。
それはそうだ。仕事柄、週3でジムに通っている俺は筋肉隆々だ。アイドルという属性上、鍛えても細マッチョまでだが。
「い、行くよ!」
まみ、さち、かな達は走りながら去っていった。
「あ、ありがとうございます。助かりました」
生徒会長の白木 緋さんが地面に崩れながら涙目で俺を見つめていた。
「あ、あの、ありがとうございます。このご恩は一生忘れません」
長谷川さんはその豊満な巨乳を腕で隠しながら目をうるうるさせていた。
「気にしないでください。それと俺のこのスマホの動画は削除しておきますね。お二人のことも映っているので。じゃ、これで」
「待ってください。名前を教えてください。それとお礼を」
生徒会長は俺のことが気になっているようだ。
「名前は気にしないでください。じゃあ、お礼はその分、生徒会長として頑張ってください」
これ以上関わりたくない俺はその場をさっと立ち去った。
「あっ、まっ......」
生徒会長の声が聞こえてくるが無視だ。
長谷川さんはポーッと俺を見つめていたようだ。
(なんてかっこいい人.........)
生徒会長は心臓をギュッと握りしめられ、立っていられなくなった。男性を好きになったことのない白木 緋は初めての経験に頭が混乱していた。
そして俺を追いかける生徒会長の恋が始まったのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あとがき
1話目をお読みいただきありがとうございました♪
まだまだのレベルかもしれませんが
これからも頑張って書いていこうと思います。
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