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第三章 美少女と異世界生活

再確認

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馬車はゆったりとした速度で砂利道の街道を進む。
村と住んでいたミラの家は馬車で30分ほどの距離だった。
ミラは毎回ここを往復していたのかな?なかなか遠いのでは?馬車って買えるのかな?億万長者なんだし買ってあげようかな。喜ぶかな?
などと考えると、馬車はギルドに横付けされた。
入口から馬車までは幌のもので覆い隠されていた。まるで犯罪者が警察車両に乗るようなイメージに見える。

「あの~これは?」

と、ケンに尋ねると

「えぇ~人だかりが苦手なのでございましょう?」

気を使ってくれたのね、うん、別にゴチャゴチャガヤガヤと集まらなければそこまで深刻ではないのですが。
馬車を降りて幌をくぐりながらギルドに入ると、今日はUFOを呼ぶかの如くの声を出すヒッミーおばあちゃんの姿は見当たらない?

「ヒッミーさんは?」

「あ~、クジ様が来た次の日旅立ってしまいまして」

えっと、本当に最後の神からのプレゼントか俺と会うって事だったのだろうか?それはそれでなんか複雑なんですが。

「で、用とは?」

そう言うと、カウンター脇の個室用の扉が開いた。
中には、眼鏡をかけたオールバックで髪を固めている中年のおじさんが待っていた。

「ギルド王都本店から来ました管理官、ギバルツ・ト・シアキーにございます。お見知りおきを」

と、紹介された。

「えっと、何でしょうか?用とは?」

「申し訳ありません、呼び出してしまいまして何しろこの魔晶板が使えるのはギルドの建物だけでして、外に持ち運びができないもので、本当に申し訳ないです。用とは確認のようなもので」

「えっと、ドラゴン退治の?」

「いえ、ドラゴン退治は村長の証言もありますので報奨金がどうのとは言いませんのでご安心ください、ステータスの確認と北斗神器の天叢雲剣を拝見いたしたく、ですのでこちらに手を出してもらえないでしょうか」

そう言うので魔晶板と呼ばれる板に手を置いた。

「お~確かにこれは素晴らしい能力、逸材素晴らしいこんな力のある人物はそうそういません」

ん~、閻魔ちゃんめんどくさくてステータスバー一気に上まで上げたんだな、周りのレベル無視して。

「で、申し訳ないのですが本当に申し訳ないのですが、あっもちろんわかっています、剣が騎士の魂に等しいことをですがどうしても見せていただきたく」

確かに日本の武士は刀が魂などと言っていたが私にはそこまで大事にはしていない。
ミラの家にいる間、枕元に置きっぱなしだったし、小太刀のほうは一応外に出るときは持ってはいたけど。

「はい、構いませんよ」

と、俺は刀を渡そうとするとギバルツはマスクを着用して、手袋をはめて両手で受け取る。

「お~この輝きはまさに神の作りし金属オリハルコン、抜かさせていただきます」

刀を鞘から抜き出して刀身を見るギバルツは涙を流し始めていた。

「素晴らしい、素晴らしい、まさか本物に出会えるとは」

「本物?」

「はい、オリハルコンであることと、この鍔に描かれし宝玉神の涙で描かれた北斗七星が何よりの証拠、クジ様はこの宝玉いくつ光られますか?」

「それ光るの?」

「まさかお気づきになられませんでしたか?それとも光らないのですか?」

「気にしてなかったけど確か光っていたような」

鞘にゆっくりと刀身を収めて俺に返すので俺は立ち上がり試しに抜いて正眼の構えを取って見せた。
すると、鍔の北斗七星は七つとも光っている。
おっ七つ光るじゃん。

「お~なんと、七つ星、剣とステータスの相性がベストマッチしているうえに最強レベルとは」

「ん~・・・・・・」

「王都にまいられませんか?ぜひとも王女にご紹介したい」

やっぱりそっとはしといて貰えないのね、でもここは病気を理由に断ってしまおう。

「病気療養中の身なので、お断りします」

肩の力が抜けてしまったのか手を下にぶらんと下げるギバルツ。
うん、用は終わったみたいだし逃げよう。いや、帰ろうっとその前にお金、お金を引き出さなきゃ。

「えっと、お金を引き出ししたいのですが」

ちょっと遠くを見つめて現実逃避をしているギバルツは、

「あ、はい、これも仕事なので、えっと残高確認しますね、ギルド登録証を魔晶板に置いてください」

腕から外して言われたとおりに置いた。

「残高、95ライトワールゴールドになります」

「え?」

「ですから、95ライトワールゴールドでございますが」

俺の794900000ライトワールゴールドはどこに行ったぁーーーーーー、億万長者ライフはーーーー




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