「突然、幼馴染が『これから女の子として生きる』って言い出したんだけど、俺、どう反応すればいいんだよ!?

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第31話:「守りたいものを選んだその先に」 数日後の放課後、教室での出来事。

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 文化祭から数日が経ち、学校生活は元に戻りつつあった。
 でも、誠と奏の関係は、もう以前とは少し違っていた。
 奏は、誠の隣にいることが当たり前のように感じ、誠もまた、奏を守りながら支え合うことを、心から望んでいることに気づいていた。

「誠、今度の日曜日、少しだけ出かけない?」

 奏が、放課後の教室で誠に声をかけた。

「どこ行くの?」

「私、ずっと行きたかった場所があって。
 でも、一人じゃ行けなかったから、誠と一緒に行きたかったんだ。」

「そうなんだ。どこだろう。」

「秘密。着いたら教えるね。」

 奏が少しだけいたずらっぽく笑うと、誠もつられて微笑んだ。

「わかった、じゃあ行こう。」

 誠は、つい口にしてしまった。

「どんな場所でも、君が行きたいところなら、どこでも一緒に行くよ。」

 奏の顔が少し赤くなる。

「……ありがとう、誠。」

 日曜日、二人の秘密の場所
 日曜日、誠と奏は、ひっそりとしたカフェに向かって歩いていた。
 そのカフェは、一般的な観光地ではなく、地元の人たちだけが知っているような小さな場所だった。

「ここ、私が小さいころからずっと知ってたんだ。」

 奏が、カフェの前で足を止めた。

「でも、ずっと一人で来るのは寂しくて。」

「だから、今日、誠と来たかった。」

 誠は、少し驚きながらも、真剣な目で奏を見つめた。

「俺と来たかったって、どういう意味?」

「そのままの意味だよ。」

 奏はにっこりと笑いながら、誠の手を引いてカフェの中に入った。

 カフェでの時間
 二人は窓際の席に座り、温かいコーヒーを飲みながら静かなひとときを楽しんだ。
 奏がふと視線を外に向け、遠くの景色をぼんやりと見つめていた。

「ねえ、誠。」

「ん?」

「私、今、すごく幸せだと思う。」

 その言葉に誠は微笑んだ。

「俺もだよ。君がここにいて、ちゃんと隣で歩いてくれてることが、こんなに嬉しいって感じたこと、今までなかった。」

 奏は、少し驚いた顔をして誠を見つめた。

「誠、それ、ちゃんと言葉にしてくれてありがとう。」

「これからも、ずっと言い続けるよ。」

 誠が笑顔で答えると、奏もそれに応えるように笑った。

 帰り道、二人の決意
 帰り道、二人は並んで歩いていた。

「誠、あのね。」

 奏は、少しだけ歩幅を合わせてから、ふと誠に話しかけた。

「私、これから先、もっと自分の道を決めていくつもりだよ。」

「うん、君が決めた道なら、俺も一緒に歩いていきたい。」

「でも、私が今、やっと言えるようになったことがある。」

 奏は、誠の顔を見上げて言った。

「誠、私は、これからもあなたを守りたい。」

 その言葉に、誠は少しだけ驚き、でもすぐに笑顔を浮かべた。

「ありがとう、奏。俺も、君を守りたい。でも、それ以上に、君と一緒に未来を歩いていきたい。」

 奏の目が少し潤んだ。

「その未来が、どんなに遠くても、今のままでいられるなら、それで幸せだと思う。」

 誠はその言葉に、深く頷いた。

「俺も、それを感じてる。」

 その夜、誠の心の中で
 その夜、誠はひとり部屋でスマホを開いていた。

【奏:誠、今日一緒に過ごして本当に嬉しかった。】
【誠:俺も。君がいてくれるから、すごく幸せだよ。】

 誠はそのメッセージを何度も見返しながら、心の中で決意を固めた。

「君といることが、これからも一番大事なことだと思ってる。」

 その思いを胸に、誠は再び心の中で誓った。
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