美少女閻魔と転生剣聖、異世界戦国から宇宙征服へ──これは俺の天下布武録

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第27話 それでも日常は続くから──再定義戦争・番外編:昼寝と団子と転校生

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 昼下がりの教室。
 午後の授業が終わったあとの、あの絶妙な空気が、俺はたまらなく好きだ。

 

「……ふあぁ。さて、昼寝すっか」

 

 誰にも邪魔されない机の端。
 カーテンが揺れて、風が心地よく頬を撫でる。

 

「おにいちゃん、そこは“風通しBランク”だから、ベストじゃないよ?」

 

「ユヅリハ……おまえ、いつの間に!?」

 

 俺の真横、教室の隅で巫女服少女がちゃっかり座布団を敷いていた。

 

「今日は“昼寝日和”なんだもん♪ お兄ちゃんと添い寝希望!」

 

「どこで覚えたその単語!」

 

 

 その瞬間、ガラリと教室のドアが開いた。

 

「……やっぱりここか」

 

 ため息まじりに入ってきたのは、夜月だった。
 制服のネクタイをゆるめ、額に汗。

 

「昼寝の前に、団子だろ? 屋上、準備済み」

 

「さすが夜月……!」

 

「だが待て、それはわたくしの領分ではなかったか?」

 

 肩越しから、レイナが現れた。手には湯気の立つ急須。

 

「温度85度、三分蒸らし。抹茶入り玄米茶だ。和菓子にはこれが至高」

 

「レイナ、それもう本職じゃん……」

 

「わたくしは“日常演出官”としての心得を学んでいる。君も見習いたまえ」

 

 

 そして最後に、ゆっくりと扉を開けて入ってきたのは――

 

「……皆様。今日も、平和な時間が……嬉しいですね」

 

 天照だった。
 窓際に立ち、オレンジ色の光を浴びながら、静かに微笑む。

 

「それでは、お団子を屋上に運びましょう。皆様、お手伝いを」

 

 

 *

 

 屋上には、風鈴の音と、笑い声。
 いちばん“いつも通り”が似合う、そんな景色。

 

「……なあ、思ったんだけど」

 

 俺は、団子をくわえたまま、ふと呟いた。

 

「みんな、ちょっとだけ前よりも、優しくなった気がする」

 

「当然だ。審査をくぐり抜けた我らが絆に、隙などない」

 

「べ、別に変わってねーよ……! ただ、ちょっと“嬉しかった”だけだ!」

 

「うん、うん。みんな“選ばれた”んだもんね。えへへ」

 

 ユヅリハが両手を広げて笑う。

 

 

 そんなときだった。

 

 チャイムが鳴る。
 校内放送が、妙にざらついた声で響いた。

 

 《えー、本日付で、転校生がひとり追加されます》
 《一年C組、三上龍之介くんの隣の席に……》

 

 

「……え?」

 

 一同が振り向いたその先。
 教室のドアが、コン、と控えめにノックされた。

 

 

「あ、あの……今日からこちらに転入してきました……」

 

 少女は小柄で、黒髪を編み込んだヘアスタイル。
 制服の着こなしはきちんとしているけど、どこか――人工的な印象。

 

 そして、誰よりも“おずおずとした笑顔”。

 

「えっと……わたし、“観測者候補生”って肩書きで……。
 に、人間になりたくて……勉強しに来ましたっ」

 

 

「…………………………」

 

 全員の団子が、一斉に落ちた。

 

(つづく)
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