美少女閻魔と転生剣聖、異世界戦国から宇宙征服へ──これは俺の天下布武録

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第28話 ようこそ“観測者”──候補生アリエルと、ひとまずラーメンでも

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「……転校生? しかも“観測者候補生”だって?」

 

 放課後の教室に響いたその言葉に、俺たちは固まった。

 

「あのさ……観測者って、あの“世界の裏側から審査してきた奴ら”だろ……?」

 

 夜月が小声でつぶやき、レイナが眼鏡を押し上げる。

 

「正確には“階層観測群所属の下位候補者”。
 ……にしても、こうもあっさり“日常”に紛れ込んでくるとは」

 

「つまりどういうことなの……?」と、天照。

 

 そして、ユヅリハが――

 

「転校生ならまずラーメンだよねっ!」

 

「いや、なんでそうなる!?」

 

 

 *

 

 それから数分後、俺たちはいつものラーメン屋にいた。

 

 暖簾が揺れる。カウンターに並ぶ俺と、ヒロインたち、そして……転校生。

 

「……お、おいしい……っ!」

 

 アリエルと名乗った少女は、レンゲを両手で持って、嬉しそうにスープをすする。

 

「“にんげんの味”……すごく、あったかいです……」

 

 小柄な体。真っ直ぐすぎる視線。たどたどしい言葉づかい。
 でも、嘘はひとつもない。彼女の言葉も表情も、ただの“本気”だった。

 

「……自己紹介、まだだったよね」

 

 そう言って、彼女は立ち上がり、深々とお辞儀する。

 

「わたし、観測者候補生のアリエルといいます。
 上層から派遣されて、“観測記録”じゃなく、“共存記録”を取ることに決まりました」

 

「共存……?」

 

 レイナが首を傾げる。

 

「はい。これからの観測は、“感情の内側”に入る必要があるからって。
 だから、“人間らしさ”を学ぶために、ここに来ました」

 

 

 一瞬の沈黙。
 そして――

 

「つまりさ、ようするに、“友達になりたい”ってことなんだろ?」

 

 夜月の言葉に、アリエルはぱっと顔を輝かせた。

 

「っ、はいっ! ともだち、なりたいですっ!」

 

 

「……この子、完全に“感情観測”どころじゃないよね」とレイナ。

 

「かわいいから、オッケー!」とユヅリハ。

 

「審査の意図は分かりませんが……敵意は感じません。
 であれば、私たちの“日常”に、歓迎しましょう」と天照が頷いた。

 

 

 ラーメン屋の空気が、少しだけやわらぐ。

 

 けれど、俺の胸には、微かな“違和感”が残っていた。

 

(あのとき、ベータは確かに言っていた。
 ――“審査は完了した”。
 じゃあ、なぜ今……“候補生”が送られてきた?)

 

 それは、ただの“教育実習”か。
 それとも、“新たな観測”の始まりか――

 

「えへへ……ラーメン、おいしいです。世界、すごいです」

 

 アリエルの無邪気な声が、湯気とともに立ち昇る。

 

 俺は、その笑顔を見ながら、静かに答えた。

 

「……ようこそ、アリエル。
 まずは、ここから始めよう。俺たちの――日常を」

 

(つづく)

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