同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

第九十一話 ヒロイン逆襲計画、開幕！

翌朝、目を覚ました俺は、妙な胸騒ぎを覚えていた。

　りあと話した夜。俺の中では何かが整理されたような感覚があった。
　けれど、何か大事なことを忘れているような気もしていた。

　そして、それは——

「お兄ちゃん。朝ごはん、こたつの上にあるから。……じゃあ、いってきます」

　そう言って出ていく碧純の笑顔が、あまりにも“完璧”だった。

（……これは、まずい）

　笑ってる。
　でも、笑ってない。

　それが決定的にわかったのは、学校の昼休み。

「真壁くん、お弁当、今日は私と一緒に食べよう？」

　すみれがいつになく強引に俺の手を引き、屋上へと連れ出す。

「観察のためです。なお、距離は十五センチ以内を維持します」

　ひよりがついてきて、常に物理的に接近。

「今夜、空いてるよね？ ご飯作りに行ってあげる！」

　ルナがなぜか俺の家の合鍵（※勝手に作った）を見せつけてくる。

「真壁さま、放課後、お時間を少々。部屋の鍵をお返ししますので……個人的に少し」

　イザベラの声は静かだったけど、明らかに“尋問”の雰囲気だった。

　何より、放課後——

「ねぇ弘弥」

　帰宅途中、曲がり角で待ち伏せしていた碧純が、にっこりと微笑んだ。

「“誰の部屋に行ったか”くらい、言えるよね？」

「えっと、その……」

「言えないなら、バレるまでだから」

　そう言って彼女は、スマホの画面を俺に見せた。

　GPSログ、こっそり録ってやがった。

「ぴんぽーん♪ 正解は……黒瀬りあちゃんの部屋でしたー！」

「お兄ちゃんって、思ってたより本能に素直なんだね」

　その瞬間、わっと背後から現れる他のヒロインたち。

「というわけで“弘弥争奪 逆襲バトル”を開始します！」

「今夜からローテーション制で“恋人権”を主張します」

「私も料理で魅せます。観察対象への恋愛干渉、段階強化に入ります」

「ふふ……覚悟なさいませ？」

「ちょ、ま、待って！？ 一回、話し合おう！？」

　俺の叫びは風に消え、　その夜、ヒロインたちの“過激な逆襲”が幕を開けたのだった。

（つづく）