同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一一八話 暴かれた供出──パンツの所有権をめぐる戦い

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俺の朝は、沈黙の白から始まった。

 机の上に置かれていた“白いパンツ”。
 清潔感のある布地に、控えめなレース。
 香りは仄かで、どこか懐かしい。
 ——そして、犯人はきっと、あの観察者。

 だが問題は、そこからだった。

 登校後、俺がうっかりロッカーにしまい損ねた“白”が、カバンの隙間から少しだけ覗いていたらしく……。

「…………なにそれ」

 最初に見つけたのは碧純だった。
 廊下で俺の横を通りかかった瞬間、彼女の目が釘付けになった。

「お兄ちゃん、それって……まさか……」

「ち、違う! これは、その……落し物で! 匿名で届けようと!」

「嘘つけえええええええ!!!」

 廊下に、響き渡る絶叫。

 数分後。
 教室にはすでに、主要ヒロイン全員が揃っていた。

 碧純、ひより、すみれ、瑠衣、そしてユナまで。
 全員の視線が、俺の机の上に置かれた“供出物”に集中している。

「このパンツ……誰のよ」

 碧純の声は低く、震えていた。

「このリボン……私のじゃない。つまり、別の誰か」

「調べても無意味ですよ。私が供出したとは、断言できないので」(ひより)

「ひよりちゃんなの!? やっぱりアンタなの!?!?!」(碧純)

「確認方法としては、繊維検査や香り成分の残留検査が適切かと——」

「黙れぇぇええええ!!」

 空気がピリつく。

「ん~? なんの話? ってかそれ、見覚えあるなぁ……」

 のんびりと瑠衣が言う。

「え、もしかして……あたしの、だったり? てへ♡」

「は!? ウソでしょ!? そんな訳——」

「え? だって前に弘弥くんの机の上にちょこっとだけ置いた気が……ごめん、記憶曖昧~」

 ひより:「供出重複説、浮上」

 すみれは手を合わせて目を閉じている。

「みんな、落ち着いて……でも、もしかしたら私も……」

「え、すみれさんまで!? 何それ!? 供出文化なの!?!?!」(碧純)

「いや、でも違う。サイズ的にこれは……わたしのじゃないわ」

「ちょ、そこ比べるところ!?」

 その時、教室のドアがガラッと開いた。

「我の布は……まだだ」

 中二病全開のユナが、マントを翻しながら登場。

「だが、次に供出される“儀式布”は——我がものだ」

「ユナ!? ちょっと意味わかんない!」(碧純)

 もはや誰のパンツか、議論は混迷を極めていた。

 俺はといえば、机の下で完全に石化していた。

(な、なんでこんなことに……)

 そのとき、碧純が叫んだ。

「……もう、わかった! 弘弥がそんなにパンツ欲しいなら、今から私が——」

「やめてええええええええええええ!!!」

 俺の魂の絶叫が、教室に木霊した。

(つづく)
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