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第一四七話 磯の風と願い事──大洗磯前神社にて
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イルカショーで全員ずぶ濡れになった後、スタッフの厚意で更衣スペースとタオルを借り、なんとか人間の姿を取り戻した俺たちは、午後の散策自由時間を迎えていた。
向かった先は、海に面した美しい神社——大洗磯前(いそさき)神社。
鳥居の向こうに広がる海原と、切り立った岩場の上に立つ“神磯の鳥居”。
風は強かったが、空は晴れ渡っていた。
「ここが……神聖なる地、か……」
ユナが目を細め、風にマントをはためかせながら呟く。
「この場所、アニメの聖地としても有名らしいね。すごく景色が綺麗……」(すみれ)
碧純は手を合わせて何かを祈っていた。
「……お兄ちゃんと、ずっと一緒にいられますように……誰にも取られませんように……」
その声は風に流されて、聞こえなかったことにした。
「願い事、書こうかな~。“ひろくんがわたしにゾッコンになりますように”っと♡」
瑠衣は絵馬を前にしてニヤニヤしている。
「……“恋愛成就”を祈る場所の傍で“観察成功祈願”を書く私もどうかと思いますが……ま、いいか」
ひよりは鉛筆で静かに絵馬に文字を綴っている。
イザベラは、手を清めた後、真っ直ぐ鳥居の前に立ち、深く礼をした。
「異国の地でも、このように心を鎮められる場所があるのはありがたいことです」
彼女の姿はまるで絵になるような気品で、周囲の参拝客からもひそやかな視線が向けられていた。
「お兄ちゃん、一緒におみくじ引こう!」(碧純)
「あたしもあたしも!」(瑠衣)
「我も“運命の星の導き”をここで知るとしよう」(ユナ)
気がつけば、俺はヒロイン全員とおみくじを引く流れになっていた。
結果。
俺:小吉(“恋愛:熱くなりすぎると崩壊する”)
碧純:大吉(“恋愛:思いが通じる。努力を忘れずに”)
すみれ:吉(“縁を大切にすれば叶う”)
瑠衣:末吉(“誘惑はほどほどに”)
ひより:中吉(“観察対象に心の変化あり”)
イザベラ:大吉(“恋愛:真心は国境を越える”)
ユナ:凶(“我が星よ、何故……ッ!”)
「……なんで私だけぇぇぇ!? やっぱりあのイルカの水が呪いの水だったのよぉ!!」
ユナが泣きながら鳥居の下で膝を抱えていた。
そんな姿を、遠くから眺めながら。
俺は、岩場の先に立つ神磯の鳥居を見つめていた。
この旅が、思い出になることを願いながら——
(つづく)
向かった先は、海に面した美しい神社——大洗磯前(いそさき)神社。
鳥居の向こうに広がる海原と、切り立った岩場の上に立つ“神磯の鳥居”。
風は強かったが、空は晴れ渡っていた。
「ここが……神聖なる地、か……」
ユナが目を細め、風にマントをはためかせながら呟く。
「この場所、アニメの聖地としても有名らしいね。すごく景色が綺麗……」(すみれ)
碧純は手を合わせて何かを祈っていた。
「……お兄ちゃんと、ずっと一緒にいられますように……誰にも取られませんように……」
その声は風に流されて、聞こえなかったことにした。
「願い事、書こうかな~。“ひろくんがわたしにゾッコンになりますように”っと♡」
瑠衣は絵馬を前にしてニヤニヤしている。
「……“恋愛成就”を祈る場所の傍で“観察成功祈願”を書く私もどうかと思いますが……ま、いいか」
ひよりは鉛筆で静かに絵馬に文字を綴っている。
イザベラは、手を清めた後、真っ直ぐ鳥居の前に立ち、深く礼をした。
「異国の地でも、このように心を鎮められる場所があるのはありがたいことです」
彼女の姿はまるで絵になるような気品で、周囲の参拝客からもひそやかな視線が向けられていた。
「お兄ちゃん、一緒におみくじ引こう!」(碧純)
「あたしもあたしも!」(瑠衣)
「我も“運命の星の導き”をここで知るとしよう」(ユナ)
気がつけば、俺はヒロイン全員とおみくじを引く流れになっていた。
結果。
俺:小吉(“恋愛:熱くなりすぎると崩壊する”)
碧純:大吉(“恋愛:思いが通じる。努力を忘れずに”)
すみれ:吉(“縁を大切にすれば叶う”)
瑠衣:末吉(“誘惑はほどほどに”)
ひより:中吉(“観察対象に心の変化あり”)
イザベラ:大吉(“恋愛:真心は国境を越える”)
ユナ:凶(“我が星よ、何故……ッ!”)
「……なんで私だけぇぇぇ!? やっぱりあのイルカの水が呪いの水だったのよぉ!!」
ユナが泣きながら鳥居の下で膝を抱えていた。
そんな姿を、遠くから眺めながら。
俺は、岩場の先に立つ神磯の鳥居を見つめていた。
この旅が、思い出になることを願いながら——
(つづく)
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