同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一四六話 イルカショー大惨事──びしょ濡れヒロインたちと青春のしぶき

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 水族館ドタバタ劇の余韻もそこそこに、俺たちは屋外のイルカスタジアムへと移動していた。

 晴れ渡る空。
 席に着けば海風と潮の香りが心地よく、舞台上では既にイルカたちがジャンプの練習をしていた。

「わあ……可愛い……」

 すみれが目を細め、イルカの跳ねる姿を見てうっとり。

「このしなやかな動き……見てるだけで癒されるな」(ひより)
「ふふ、イルカは魔力感知にも優れているという噂。これは試してみる価値があるかもな……」(ユナ)

「お兄ちゃん、こっちの席ね! 一番前!!」

 碧純に強引に手を引かれ、なぜか最前列へと押し込まれる俺。

「ちょ、ちょっと待て、最前列って……!?」

「濡れても大丈夫だよ~タオルあるし!」(瑠衣)

 嫌な予感がするな……と思った矢先。
 イルカショーが本格的に始まった。

 スタッフの笛が鳴ると、イルカたちは次々と空中高くジャンプ。
 そして——

 バシャァァァン!!!

 思いっきり水しぶきが、俺たち最前列を直撃。

「きゃああああっ!?」「つめたっ!?」「っく、これは計算外っ……!」

 ヒロインたち、全員がびしょ濡れになった。

 すみれの髪が濡れてしっとりと額に張り付き、制服のシャツがうっすらと透ける。
 碧純は顔を真っ赤にして、腕で胸元を隠してる。
 瑠衣はというと、まさかの「ノーブラ」で来ていたらしく、俺の顔面にタオルを投げつけてきた。

「ひろくん!! 見た!? 今の絶対見たよね!? あーもう、やばいやばいやばいっ!」

「違う! 見てない! 今のは事故だろ!!」

 イザベラは濡れた髪を整えながらも、凛とした姿勢を崩さず、ただ一言。

「弘弥様、王族としてはこの程度の事態、想定内でございます」

「本当!? 本当に想定してたのか!?」

 ユナはマントが水を吸ってずっしり重たくなっており、顔だけ出した状態で口を開く。

「……この服、魔力防水処理しておくべきだった……くっ」

 ひよりはノートを守るためにずっとビニール袋をかぶっていたらしく、まったく濡れていなかった。

「観察優先、常識です」

 その冷静さに、逆にちょっとムカつく。

 そして最後に——
 びしょびしょの制服をぎゅっと絞る碧純が、上目遣いで俺を睨んできた。

「お兄ちゃん……全部見たよね……?」

「い、いや! その……あの……」

「……責任、とってもらうんだから」

 そうして始まった“タオル争奪バトル”第二ラウンド。

 俺は、今度こそ本当に魚になりたかった。

(つづく)

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