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第一八三話 もぬけの殻──引っ越しと闇部活の騒乱
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火曜日の放課後。
ついに、俺は妹の碧純に打ち明けた。
「なあ、碧純……実は、家、買ったんだ」
部屋で着替えながら言うと、彼女は一瞬まばたきした。
「……へ? 家って、何? あの“家”のこと?」
「うん。一戸建て。中古だけど、庭もあるし、部屋も多い」
「え、ええええええええええっ!? いつの間にそんな大金が!?」
「内親王の翻訳版効果だな……まさか本当に印税ってここまで伸びるとは思ってなかったけど」
「えっ、もしかして、引っ越すってこと!? わたしも!?」
「もちろん。一緒に住むために部屋も用意してある」
そう言うと、碧純の顔が一気に真っ赤になり、うつむいた。
「……そっか……それなら……ちゃんと支度しなきゃね」
その反応が、なんだか妙に嬉しかった。
その日の夕方、俺たちは引っ越しを完了させた。
荷物は最低限。
家具や家電は、新しい家に合わせて少しずつ整えていくつもりだった。
夜には、初めての新居での晩飯を、コンビニ弁当で済ませた。
でも、なんだかとても贅沢な時間に感じられた。
一方その頃——。
「……あれ? 弘弥、いないじゃん」
放課後。
闇部活のメンバーたちは、いつものように俺のアパートへと向かっていた。
ルナがドアノブをガチャガチャと動かし、首を傾げる。
「鍵、開いてない。弘弥くん、今日は外出?」
「でも連絡は来てないわ。部活で使う資料、貸してくれるって言ってたのに」(すみれ)
「……むぅ。観察予定がズレる」(ひより)
ふと、ひよりがドアポストを覗き込んだ。
そこには、光が差し込むだけの、もぬけの殻の空間。
「……家具が、ない」
「は?」
「中、空っぽ」
次の瞬間——。
「えええええええええええええっ!?!?!」
部屋の前で大騒ぎになる闇部活。
「なにそれ! 引っ越したってこと!? 連絡もなしに!? 私たちに黙って!? なにそれーっ!!」
「え、これ、どゆこと……? 裏切り? 夜逃げ? 新しい女?」
すでに騒動は、混乱と修羅場の予感に包まれていた。
(つづく)
ついに、俺は妹の碧純に打ち明けた。
「なあ、碧純……実は、家、買ったんだ」
部屋で着替えながら言うと、彼女は一瞬まばたきした。
「……へ? 家って、何? あの“家”のこと?」
「うん。一戸建て。中古だけど、庭もあるし、部屋も多い」
「え、ええええええええええっ!? いつの間にそんな大金が!?」
「内親王の翻訳版効果だな……まさか本当に印税ってここまで伸びるとは思ってなかったけど」
「えっ、もしかして、引っ越すってこと!? わたしも!?」
「もちろん。一緒に住むために部屋も用意してある」
そう言うと、碧純の顔が一気に真っ赤になり、うつむいた。
「……そっか……それなら……ちゃんと支度しなきゃね」
その反応が、なんだか妙に嬉しかった。
その日の夕方、俺たちは引っ越しを完了させた。
荷物は最低限。
家具や家電は、新しい家に合わせて少しずつ整えていくつもりだった。
夜には、初めての新居での晩飯を、コンビニ弁当で済ませた。
でも、なんだかとても贅沢な時間に感じられた。
一方その頃——。
「……あれ? 弘弥、いないじゃん」
放課後。
闇部活のメンバーたちは、いつものように俺のアパートへと向かっていた。
ルナがドアノブをガチャガチャと動かし、首を傾げる。
「鍵、開いてない。弘弥くん、今日は外出?」
「でも連絡は来てないわ。部活で使う資料、貸してくれるって言ってたのに」(すみれ)
「……むぅ。観察予定がズレる」(ひより)
ふと、ひよりがドアポストを覗き込んだ。
そこには、光が差し込むだけの、もぬけの殻の空間。
「……家具が、ない」
「は?」
「中、空っぽ」
次の瞬間——。
「えええええええええええええっ!?!?!」
部屋の前で大騒ぎになる闇部活。
「なにそれ! 引っ越したってこと!? 連絡もなしに!? 私たちに黙って!? なにそれーっ!!」
「え、これ、どゆこと……? 裏切り? 夜逃げ? 新しい女?」
すでに騒動は、混乱と修羅場の予感に包まれていた。
(つづく)
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