同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一九〇話 ひとりじゃない恋──リアの告白と俺の答え

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 夕方。
 誰もいない書斎の隅で、リアは立っていた。
 窓から差し込む陽の光に照らされたその姿は、どこか幻想的で——そして、いつになく決意に満ちていた。

「……弘弥くん、少し……話せる?」

 声が震えていない。
 普段の彼女とは違う、真っ直ぐで揺るぎないまなざし。

 俺は黙って頷き、椅子から立ち上がった。

 リアは深く息を吸って、唇を開いた。

「……私、ちゃんと好きって言いたくて……今まで、冗談みたいに笑ってたけど……ずっと……本気だった」

 その一言は、あまりにも真剣で、まっすぐだった。

 俺は言葉を探した。
 リアを傷つけたくはない。
 でも、誠実でいたい。

 だから——。

「リア……ありがとう。正直、めちゃくちゃ嬉しい。けど……俺、まだ……決められない」

 リアが一瞬だけ目を伏せる。

「……そう、なんだ」

 俺は苦笑しながら言葉を続けた。

「いまの毎日ってさ……みんなでわちゃわちゃしてるのが、すっごく楽しくて。恋愛って、誰かひとりに答えを出すことで、他の誰かを悲しませることになる気がして……怖いんだ」

 リアは黙って俺の言葉を聞いていた。

「ちゃんと向き合いたい。でも、今はまだ“ひとりに決める”っていう重さを背負えるほど、俺は強くない」

 その正直な想いに、リアはしばらく沈黙した。
 そして——小さく、微笑んだ。

「……そういうところも、弘弥くんだね」

 ふわりと、肩の力が抜けたような笑顔。

「……じゃあさ。私のこと、保留でいいよ。そのかわり——ちゃんと、最後まで候補にしててね?」

「……ああ、もちろん」

 その約束は、そっと、でも確かに心に刻まれた。
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