同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二二八話 重なる姿と本音──キャラクターと私たち

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 リビングに広げられたキャラグッズの数々。
 タペストリー、アクリルスタンド、ぬいぐるみ、スマホケース……
 それらはただの“作品関連商品”ではなく、ヒロインたちの胸に小さなざわめきを生んでいた。

 ソファに腰を下ろし、すみれがそっと呟いた。

「……ねぇ、これ。やっぱり私に似てるよね」

「うん。髪型も表情も、すみれ先輩の雰囲気そのまんま」(碧純)

「観察対象、キャラと実在人物の一致率、約92.3%。偶然の域を超えてます」(ひより)

 ルナが笑いながら抱き枕カバーを手に取り、くるりと回す。

「これ、露出ヤバいけど……あたしっぽくて嫌いじゃない♡」

 りあは自分にそっくりな黒衣装キャラのアクリルスタンドを見つめ、ぽつりと漏らした。

「……弘弥の理想って、こういう女……なんだ」

「待って。それ、ちょっとズルいよ」(碧純)

 碧純が声を強める。

「弘弥が理想を描いたとしても……それ、全部私たちを見て描いたものじゃん」
「だったら、恥ずかしいのは……弘弥でしょ?」

 みんなが顔を見合わせ、ふふっと笑う。

「私……少し、嬉しい。だって、この子たち、全部、私たちのこと見てくれてる証拠だもんね」(すみれ)

「……可視化された“愛”のようなもの、ですね」(ひより)

「王子様……私という存在を、物語の中にまで……刻んでくださっていたのですね……」(イザベラ)

「ねぇ……みんな。わたし、ちょっとだけ泣きそう」(りあ)

 その夜、ヒロインたちは思い思いにグッズを抱えたまま布団に入った。

 その胸にはそれぞれ、ぬくもりと、照れと、ほんの少しの誇らしさ。

 そして、彼女たちは静かに思った。

 ——私たちも、彼の“物語”の一部なんだ。
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