同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二三四話「緊急勅令と、王族の選択」

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「──真壁弘弥氏、いらっしゃいますか?」

 

スーツ姿の男たちが屋上の扉を開けた瞬間、教室で散らかったラブコメ劇場は急転直下、“国家レベルの機密”の匂いに包まれた。

 

「ちょ、待って。弘弥に何の用? あんたら、誰?」

 

ルナが男子生徒ばりの威圧感で詰め寄る。

しかし、男はそれをさらりとかわし、懐から“とても一般高校生が受け取るべきではない封筒”を取り出した。

 

──【宮内庁発/極秘親展:緊急勅令】

 

「え……うそ。なにこれ、本物……?」

 

「身分証明はこちらに──ああ、イザベラ様、間に合われましたか」

 

そう言って頭を垂れた男に、イザベラが気品を保ちながらも、明らかに緊張した声で告げた。

 

「ありがとう。ここは、わたくしが引き受けます。彼らには下がってもらって」

 

「はっ。……ご武運を」

 

男たちが立ち去ると、屋上には再び、女子ばかりの空間──そしてひとりの困惑する男子、俺──が残された。

 

「……弘弥くん。これ、なに?」

 

碧純の目が、ジリジリと俺を射抜く。

俺はゴクリと唾を飲んだ。これはもう……言い訳できないやつだ。

 

「……いや、たぶんその、“王族関係のアレ”だと思うんだけど……」

 

「ふんっ、アレって何よアレって。説明が雑すぎて、女子たちの不安は逆に膨らむんだけど!?」

 

りあが震えるような笑顔で詰め寄ってくる。後ろではひよりが何か書き始めていた。

 

「観察記録:“真壁弘弥、隠された身分と王族通信──謎が深まる”」

 

「でもまあ、国関係の陰謀とか巻き込まれてても……“わたしは味方だから”」

 

すみれ先輩の優しい笑顔は、逆にこわい。

だって──この場にいる全員が“本気”だ。

俺の周囲のラブコメは、すでに生存競争の域に入っている。

 

 

──が。

 

ここで終わらないのがこの作品。

 

不意に、背後の突風が吹いた。

強風で、開きっぱなしだった屋上扉が勢いよく──

 

バァンッ!

 

風圧でめくれたのは──俺のシャツ。

 

「うわぁっ!?」

 

その拍子にバランスを崩した俺は──ルナとすみれとりあの“ど真ん中”に倒れ込んだ!

 

「きゃあああっ!?」「ちょっと!?」「ぐぇっ!」

 

──ぐにゅっ。

 

掌に感じる柔らかな感触。腹部に押し当てられるふたつの膨らみ。首筋に感じる吐息。そして──

 

「あ、あの、そこ……っ、わたしの、太ももっ……!」

 

──冷静に分析しよう。

右手:りあの胸。

左手:ルナの太もも。

顔面:すみれの胸と腹の境界線。

 

これを──

 

【ラッキースケベ三点セット・トリプルヒット】と名付けよう。

 

「弘弥くんの……えっち!!!」

 

 

「やっぱり最低だね、弘弥!」

「誠実な人だと思ってたのに……!」

「変態観察記録、更新だね!」

「……いつものことかも」

「殺す」

 

──五重奏の怒声が炸裂し、俺の背後から光速の平手が飛んでくる。

 

ペチーン!

 

「す、すまんってばああああっ!!」

 

 

だが、騒ぎの中、ひとりだけ──沈黙していたのは、イザベラだった。

 

彼女は静かに、俺の目を見つめていた。

 

「──弘弥。これは、“あなたの立場”に関わる重大な事案です。わたくしと共に、今夜、ある場所へ同行していただきます」

 

「場所って、どこに……?」

 

「……宮内庁の“特別会談室”です。あなたの“身分”が、ある国際問題に関与してしまったの」

 

「えぇえええええっ!? 俺のラッキースケベ、国家問題に発展したの!?!?」

 

「違います。ラッキースケベは国内問題です」

 

「誰がうまいこと言えとォ!」

 

 

──こうして。

ラッキースケベに始まり、国家の陰謀に巻き込まれる俺・真壁弘弥の新たな一日が幕を開ける。
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