同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二五一話 「キングサイズ戦争──誰が隣で寝るのか決める会議、開幕」

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 ──俺は決めた。

 いや、覚悟を決めた。

 

「ベッドをキングサイズにしても、結局“誰がどこに寝るか”でもめるなら、最初にルールを決めよう!」

 

 その夜、リビングに全員集合したヒロインたちを前に、俺は宣言した。

 

「これ以上、夜中に“私が右!”“いや左は私よ!”“足元は絶対ダメ!”みたいな地獄絵図は見たくないんだ!!」

 

「ふーん。じゃあひろやは“どこに誰がいるのが一番落ち着く”の?」

 

「お兄……本音で言ってみて?」

 

「……それは……えーっと……」

 

(──本音:萌え美少女抱き枕と一人で安眠したい)

 

「言えるかああああああああ!!!」

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 こうして始まったのが、
 **『キングサイズ寝床の左右ポジション決定・第一回定例会議』**である。

 

【議題1】右側ポジションについて
【議題2】左側ポジションについて
【議題3】足元・頭上などの危険領域への侵入の是非
【議題4】そもそも「一人で寝る」という選択肢の撤廃

 

 ──この議題4が真壁会議史上、最大の地雷だった。

 

「“一人で寝たい”……? そんなの……寂しいじゃない……」

 

「ひろや、君はこの私たちが“添い寝係”としてどれだけ愛情を込めてるか……!」

 

「観察対象が孤独を求めるとかありえない。即却下」

 

「だめ。あたし、“隣のぬくもり”がないと寝れないの。弘弥のぬくもりじゃなきゃ無理なの」

 

「わたくし王族だけど、隣で寝る権利を主張します。民意ではなく、愛により!」

 

「観察データ上、同衾時の弘弥くんの睡眠効率が最も高かったのは──“ルナとすみれが左右”だったと記録されてるんだけど?」

 

「うっそ、ガチデータやめて!?!?」

 

 

 ──議論、紛糾。

 

 最終的には、俺が土下座で頼み込んだ。

 

「……頼むから! 交代制でいいだろ!? 平等にして! 俺を寝かせて!!」

 

「えー。でも一番長くいたの、わたしだよ?」

「愛情の深さで選ぶべき!」

「ひろやの“最初の夢精”を見たのは私だし……記念に右側固定でいいんじゃない?」

 

「だからその話題やめろおおおおおおお!!」

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 ──結果、まとまったルールがこれである。

 

【キングサイズ同衾スケジュール(初版)】

 月曜:碧純
 火曜:すみれ
 水曜:ルナ
 木曜:りあ
 金曜:ひより
 土曜:イザベラ
 日曜:自由枠(ランダム or “ガチじゃんけん”)

 

「……これ、よく考えたら週7で誰かいるじゃん……?」

 

「当たり前でしょ?」

「なに寝るの諦めたみたいな顔してるの?」

「愛ってそういうものでしょ?」

 

 ──はい。
 完全に、逃げ道はありません。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 ──その夜。

 新しく届いたキングサイズベッド。
 広い。広すぎる。感動すら覚える。

 

「ふふ、ひろやくん。このベッド、わたしの国でも王族しか使えませんよ」

 

 隣には、日曜ランダム枠の勝者・イザベラ。

 優しく毛布をかけてくれながら、
「おやすみなさいませ、我が王子」とウィンクをくれる。

 

 ──でも。

 

(……俺は今、声を大にして言いたい)

(本音では……美少女抱き枕をぎゅっと抱いて寝たいんだよォォォ!!)

(この右手には、“アニメ版・雪月ルリたんver.2.5”がいるはずだったのに!!)

 

 涙をこらえて横を見れば、イザベラが満面の笑みで手を繋ごうとしていた。

 

(ルリたん、俺の代わりに干されたんだな……)

(ごめんな、俺の等身大抱き枕──!)
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