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第二五〇話 「ベッド、買いに行きます──夢と現実と“お姉ちゃん”に挟まれて」
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──毎夜、誰かが隣に寝にくる。
最初は碧純。
次にすみれ。
りあ、ルナ、ひより、イザベラ──
時には二人セットで、時には全員集合で。
そして俺は、何度も叫んだ。
「寝ろォォォォォオオ!!!」
──だが、無駄だった。
「お兄が“選ばない”から、誰が横に寝るかくらい自由でしょ?」
「心拍数的に、あなたの精神安定には“同衾”が最適なの」
「布団、あったかいし」
「いやもう、いるのが当然ってことでしょ?」
結果。
俺のシングルベッドは毎晩、ヒロイン満載の戦場になっていた。
◆ ◆ ◆
──だから、俺は決めた。
「ベッド、買おう。でっっっっっかいのを!!」
ヒロインたちを止められないなら、
いっそ受け入れて、快適な睡眠を取り戻すしかない。
「というわけで、キングサイズベッドを買いに来ました……高校二年生です」
場違いな高級家具店の入り口に立つ俺。
Tシャツにジーンズという庶民の服装が、ゴージャスな店内で浮いている。
だが、俺の決意は固い。
このままじゃ精神も肉体も持たない。
「サイズは……キング。いや、クイーンじゃ足りない。帝王の寝床だ。王の器だ……!」
そして──
「金はある。なぜなら俺は──ラノベ作家だからだ」
誰に向けてでもなく、誇らしげに呟いた。
数千万単位の印税。アニメ化による契約料。関連グッズ収益。
高校生にしては明らかにバグってる口座残高。
だが、それは俺にとって戦いの“資金”にすぎない。
──睡眠を取り戻すための戦費だ。
◆ ◆ ◆
案内されたのは高級ベッドコーナー。
ふかふかのシーツ。滑らかなマットレス。
天蓋付き、リクライニング機能付き、枕が6つ付いてる謎モデルまで。
「これで……今日から、ちゃんと寝られる……!」
そう、思った瞬間だった。
「──あら? ひろやくん?」
聞こえた、その声。
振り返ると、そこにいたのは──
白いブラウスとロングスカート姿の篠宮みつきだった。
初恋のお姉ちゃん、隣人、看護師、現在独身、
そして今、ベッドコーナーに立ってる。
「……へ?」
「奇遇だねぇ。まさか弘弥くんが、こんなとこで……。
あれ? あれあれ? その札、“キングサイズ”って書いてない?」
\\状況説明不可能ィィィィィィ!!!//
「いやっ、ちがっ、これはそのっ、俺一人で使う用というか!!」
「ふーん……“一人用”で、キングサイズ、ねぇ……♡」
「ちがっちがっちがっっ!!! これは、その、最近布団がせま……いや、それも違……!」
「もしかして、“毎晩誰かと一緒に寝てる”とか?」
「ナゼ知ッテルノデスカ……!?」
──隣で、にひにひ笑うみつきお姉ちゃん。
店員が近づいてきて、
「ご夫婦でのご来店ありがとうございます。お試し寝できますよ」と笑顔で案内してきた。
俺:「ちがいます!!!」
みつき:「まぁまぁ、せっかくだから“寝心地”だけでも♡」
──気づけば、
“キングサイズベッドの上で、元初恋のお姉ちゃんと並んで寝転んでる高校生”という地獄構図。
みつき:「うん、ふかふか♡ 弘弥くんが横にいると、安心するなぁ……」
「死ぬゥゥゥゥゥゥッ!!」
◆ ◆ ◆
その後、みつきは枕のコーナーへ。
俺は必死に会計へ。
だが、出口で再び声をかけられる。
「ふふ、これで“毎晩一緒に寝る子たち”にも安心ね♡」
「なぜ全部お見通しなんだこの人は……!!」
「だって、ひろやくん。顔に“毎晩、添い寝されてます”って書いてあるもの」
──笑いながら去っていく“元初恋のお姉ちゃん”。
その背中を見送りながら、俺は確信した。
新しいベッドを買っても、平穏は来ない。
むしろ、
「キングサイズになったから全員いけるね♡」
とか言い出す未来しか見えない。
最初は碧純。
次にすみれ。
りあ、ルナ、ひより、イザベラ──
時には二人セットで、時には全員集合で。
そして俺は、何度も叫んだ。
「寝ろォォォォォオオ!!!」
──だが、無駄だった。
「お兄が“選ばない”から、誰が横に寝るかくらい自由でしょ?」
「心拍数的に、あなたの精神安定には“同衾”が最適なの」
「布団、あったかいし」
「いやもう、いるのが当然ってことでしょ?」
結果。
俺のシングルベッドは毎晩、ヒロイン満載の戦場になっていた。
◆ ◆ ◆
──だから、俺は決めた。
「ベッド、買おう。でっっっっっかいのを!!」
ヒロインたちを止められないなら、
いっそ受け入れて、快適な睡眠を取り戻すしかない。
「というわけで、キングサイズベッドを買いに来ました……高校二年生です」
場違いな高級家具店の入り口に立つ俺。
Tシャツにジーンズという庶民の服装が、ゴージャスな店内で浮いている。
だが、俺の決意は固い。
このままじゃ精神も肉体も持たない。
「サイズは……キング。いや、クイーンじゃ足りない。帝王の寝床だ。王の器だ……!」
そして──
「金はある。なぜなら俺は──ラノベ作家だからだ」
誰に向けてでもなく、誇らしげに呟いた。
数千万単位の印税。アニメ化による契約料。関連グッズ収益。
高校生にしては明らかにバグってる口座残高。
だが、それは俺にとって戦いの“資金”にすぎない。
──睡眠を取り戻すための戦費だ。
◆ ◆ ◆
案内されたのは高級ベッドコーナー。
ふかふかのシーツ。滑らかなマットレス。
天蓋付き、リクライニング機能付き、枕が6つ付いてる謎モデルまで。
「これで……今日から、ちゃんと寝られる……!」
そう、思った瞬間だった。
「──あら? ひろやくん?」
聞こえた、その声。
振り返ると、そこにいたのは──
白いブラウスとロングスカート姿の篠宮みつきだった。
初恋のお姉ちゃん、隣人、看護師、現在独身、
そして今、ベッドコーナーに立ってる。
「……へ?」
「奇遇だねぇ。まさか弘弥くんが、こんなとこで……。
あれ? あれあれ? その札、“キングサイズ”って書いてない?」
\\状況説明不可能ィィィィィィ!!!//
「いやっ、ちがっ、これはそのっ、俺一人で使う用というか!!」
「ふーん……“一人用”で、キングサイズ、ねぇ……♡」
「ちがっちがっちがっっ!!! これは、その、最近布団がせま……いや、それも違……!」
「もしかして、“毎晩誰かと一緒に寝てる”とか?」
「ナゼ知ッテルノデスカ……!?」
──隣で、にひにひ笑うみつきお姉ちゃん。
店員が近づいてきて、
「ご夫婦でのご来店ありがとうございます。お試し寝できますよ」と笑顔で案内してきた。
俺:「ちがいます!!!」
みつき:「まぁまぁ、せっかくだから“寝心地”だけでも♡」
──気づけば、
“キングサイズベッドの上で、元初恋のお姉ちゃんと並んで寝転んでる高校生”という地獄構図。
みつき:「うん、ふかふか♡ 弘弥くんが横にいると、安心するなぁ……」
「死ぬゥゥゥゥゥゥッ!!」
◆ ◆ ◆
その後、みつきは枕のコーナーへ。
俺は必死に会計へ。
だが、出口で再び声をかけられる。
「ふふ、これで“毎晩一緒に寝る子たち”にも安心ね♡」
「なぜ全部お見通しなんだこの人は……!!」
「だって、ひろやくん。顔に“毎晩、添い寝されてます”って書いてあるもの」
──笑いながら去っていく“元初恋のお姉ちゃん”。
その背中を見送りながら、俺は確信した。
新しいベッドを買っても、平穏は来ない。
むしろ、
「キングサイズになったから全員いけるね♡」
とか言い出す未来しか見えない。
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