同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二四九話 「帰宅即・同衾!そして夢精再び──お姉さんは見た」

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──退院した夜。

俺は、自分の部屋のベッドに横になって、しみじみと思った。

 

「……やっぱ、家の布団って最強だな……」

 

入院中のベッドは固くて、薄っぺらで、冷たかった。

でも、この家のベッドは違う。
体に馴染む。香りも落ち着く。枕はふかふか。幸せ。

 

……ただし。

 

「はーい、失礼しまーす♡」

「ひろや、寝る前の体温チェックしよっか?」

「観察対象の就寝データ、毎日欲しいのよね」

「隣、あたしでいーい? ううん、むしろあたしが本命でしょ?」

 

「……で、ですよねーッ!!!!!」

 

──ヒロインたち全員、当然のように俺の布団に突撃してきた。

 

部屋の広さ:そこそこ。
布団の広さ:シングル。
女の子の数:6。
密度:地獄。

 

「お兄の退院祝いだし、今日は特別♡」

 

その一言で、合法的・密着同衾ナイトが開幕した。

 

◆ ◆ ◆

 

深夜0時過ぎ。

俺の右腕には碧純が抱きつき、左側にはすみれが静かに寄り添い、
足元にはりあが潜り込んでいる。

顔の前にはルナの髪がふわふわ当たり、ひよりは腹の上で寝落ち。
イザベラは俺の脚に手を絡ませ、完全に安心しきっている。

 

「お兄ちゃん……だいすき……んぅ……」

「ひろやくん……ご無事で、よかった……」

 

囁く声が、甘く脳を溶かす。

 

「──これ……絶対寝れない」

 

◆ ◆ ◆

 

翌朝。

 

──夢の中で、誰かの胸元に顔を埋めていた。

誰かが俺の手を握り、
誰かが耳元で「だいすき」って言ってた。

 

──そのまま、俺は、
体を震わせるように、ひとつ、熱を放った。

 

 

──気がつくと。

 

「……っ!」

 

目覚めた布団の中。

 

明らかに、濡れている。

しかも──

 

「ひろや、起きた!?」

「よかった、熱も下がってる!」

「うん、心拍数安定、体温正常、あと……下腹部の生理現象も確認っと」

 

「やめろやああああああああ!!!!」

 

 

──そう、俺は。

またしても──

 

夢精していた。

 

◆ ◆ ◆

 

「でも、よかった。弘弥くんが……元気だって、証拠だもんね」

 

すみれが、どこか恥ずかしそうに言った。

 

「観察記録的にも“完全回復”で問題ないわ。すごい量だったし」

「そ、そんな実況やめろってばああああ!!」

 

「ふふ、すぐ洗濯するよ。……“お兄ちゃんの”だけ、ちゃんと別洗いにするから♡」

碧純が柔らかく笑って、俺の顔に近づいた。

 

──ああ、もう無理。

羞恥で死ぬ。

今すぐ、もう一度病院に戻らせてくれ。

 

 

◆ ◆ ◆

 

──そして。

その数時間後。

 

「……あー、これも全部濡れてたのか……」

 

バルコニーに出て、洗い終えた布団を干していた俺。

太陽はジリジリと眩しく、乾いた風が吹き抜ける。

羞恥を振り払いながら、思わず深呼吸したそのとき──

 

「あらあら……♡」

 

背後から、聞き慣れた声がした。

 

振り返ると、隣のアパートのベランダに立っていたのは──

 

篠宮みつき。

 

ゆるい白ニットにジーンズ、
麦茶の入ったコップを片手に、にひにひ笑ってる。

 

「退院したばかりなのに、もう布団干し? それも……濡れてる布団、でしょ?」

 

「──!!」

 

 

「……あらあら、若いねぇ~~♡」

 

笑いながらウィンクしてくる初恋のお姉ちゃんに、
俺は盛大に叫んだ。

 

「違うんです!! ちがうんですみつきお姉ちゃんこれは!! 事故であって!! なんかこう、成長確認とかじゃなくてですね──!!」

 

「うんうん、大丈夫。若い男の子って、そういう時期よねぇ♡」

 

──
羞恥:MAX。
絶望:限界突破。
トラウマ:絶賛生成中。

 
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